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【Web版】従弟の尻拭いをさせられる羽目になった  作者: 紫音
第二部

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2話


 ディンやレックスたち王太子専属護衛らを筆頭に近衛隊士が数人、そして騎士団員が数人。今回は華やかな場ではなく、死者を弔う国葬。多数の人数は必要ない。侍女も不要だとしたが、アンナだけは連れていくことになった。自身の身を守る術があるというのが理由だ。


「馬ならばかなり短縮できるんだが」

「国内ならともかく、国外なら無理だな」


 用意された馬車を見て思わず本音が漏れてしまう。それを隣で聞いていたレックスに一蹴された。アルヴィスとて、本気でそう思っているわけではない。ただ馬車で移動するということは、道も速さも制限される。ルベリア王家の紋章が入っているので、下手に急ぐ様子を国民に見られれば何事かと不安を与えてしまうかもしれない。ゆえに、急がず余裕を持って移動する必要があった。


「アルヴィス」

「リヒト、そっちの準備はいいのか?」

「あぁ。けど、本当に俺なんかがお前と一緒の馬車に乗っていいのかよ?」

「お前だからいいんだ。それにお前、馬乗れないだろう?」


 そう、今回リヒトはアルヴィスと同乗することになっている。平民出身であったリヒトは馬に一人で乗ることが出来ない。学園での講義ものらりくらりとサボっていたほどだ。リヒト曰く、それが必要になる場面はそうそう来ないということだったのだが、そのまさかの事態が今回起きてしまった。


「あはは、まさか本当にそんな日が来るとは思わなかったんだよ。それより、あの侍女さんは一緒に乗らないのか?」

「俺が侍女とはいえ他の女性と二人きりになるわけにはいかないし、そもそも彼女は馬に乗れる」


 リヒトが同乗するので二人きりになることはないが、それでもエリナ以外の女性と同乗することは避けたい。それにアンナとて王族であるアルヴィスと同乗するなど御免だろう。それならば一人で馬に乗った方がマシというものだ。


「へぇ、侍女さんってすごいんだな」

「……彼女は特殊なんだろうな。侍女でも馬に乗れる者は多くない。そこは勘違いするなよ」

「あいよ」

「あと、いざという時はお前には俺の後ろに乗ってもらうからな」

「お前の馬って結構荒っぽいんだけど」

「いや、大体があんなもんだ。速さを出すならそうなる」

「えー」

「我慢しろ、それくらい」


 学園で何度かリヒトを後ろに乗せたことがあるが、その時のことを思い出しているのかリヒトは嫌そうな顔をする。速さは出ていたが、それほど不安にさせるようなことはした覚えがない。ただ馬に乗ること自体がなかったリヒトからしてみれば、不安だったのかもしれないが。もっと荒い乗り方をする者たちなど探せばいくらでもいるはずだ。


「アルヴィス」

「ルーク?」


 二人で話をしていると、ルークが近づいてきた。後ろには副隊長のハーヴィ、そしてフィラリータの姿も見える。付き添われているのはエリナだった。


「そろそろ時間だろうと思ってな」

「あぁ。見送りありがとう」

「いや、まぁなんだ……気を付けて行ってこい。何が起きているのか不安定なところだが、お前の実力なら最悪は起きねぇだろう。やりすぎには注意しろよ」

「……善処する」


 やりすぎという言い方に、アルヴィスは苦笑してしまう。あちらが何かをしてこない限り、アルヴィスも手を出すつもりはない。平穏無事に終わればそれが一番なのだから。


「隣国の情報も何か持ち帰るつもりだ。動きがあればすぐに知らせる」

「わかった」

「それじゃあ……」


 言いかけてから言葉を止めた。そしてエリナの元へと向かい、アルヴィスはエリナと視線を交わす。


「アルヴィス様」

「俺がいない間無理だけはするな。我慢もだ。何かあればちゃんとサラやエドたちに告げてくれ」

「はい、わかりました。アルヴィス様も、ご無理をなさらないように」

「あぁ」


 エリナがアルヴィスへと抱き着いてきた。軽く抱擁を交わしてから、アルヴィスは身体を離す。


「では行ってくる」

「行ってらっしゃいませ」


 笑みを浮かべれば、エリナも微笑みを返してくれた。そのまま背を向けて馬車へと乗り込む。窓を見下ろせば、傍にエドワルドが立っていた。


「エド、エリナのこと任せた」

「お任せくださいませ。アルヴィス様も、くれぐれもご自身を大事にお考え下さいますようお願いします」

「わかっている」


 御者の合図で馬車が動き出す。これからマラーナの国境まで暫し国内の旅だ。目の前に座るリヒトを見れば、肩を竦めて呆れた様に笑っていた。


「どうした?」

「いや、お前本当に変わったよなって思ってさ」

「……」


 学園でのアルヴィスの姿を想い出しているのだろう。そう言われるような真似をしていた自覚はあるので、リヒトの言葉には一切反論出来ない。アルヴィスは眉を寄せて、リヒトから視線を外し窓を見た。


「まぁ良かったんじゃないか」

「そういうお前はどうなんだよ」

「俺?」

「……リティのことだ」


 とぼけたような声を返してきたリヒトへと視線だけそちらへ向けながら、リティーヌの名前を出す。するとリヒトは目をパチパチをさせてから、肩を竦めた。


「お前さ、俺が平民だってことわかってる? 俺が姫さんとどうにかなるって考える奴なんていないだろうよ」

「周りがじゃない、お前がどう思ってるか聞いてるんだが?」

「面白い姫さんだなとは思うけど?」

「それだけか?」

「さてね」


 はぐらかしただけなのか、それとも本当にそれだけなのか。そんなリヒトの態度に、アルヴィスは溜息を吐いた。


「お前は全く変わってないよな」

「誉め言葉として受け取っておく」




いつも誤字脱字報告、ありがとうございます!!

最近、本当に多くて……ごめんなさい。。。

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