閑話 妃が気づいていたこと
前回はコメントありがとうございます!
ご心配をおかけしましたが、何とか復帰です!!
軽い方だったのだと思いますが、画面見るのもキツイとかは初めてでした(´;ω;`)
今回は、エリナ視点のお話となります。
引き続き、楽しんでもらえるよう頑張りますので、どうかよろしくお願いします(*- -)(*_ _)ペコリ
アルヴィスを見送ったエリナは、その後ろ姿を思い出して深く息をつく。
「エリナ様?」
「私の勘違いなのかしら。でも、やっぱりちょっとお疲れの様にも見えるわ」
「アルヴィス殿下のご様子のことでしょうか?」
サラの言葉にエリナは頷く。今のアルヴィスはエリナが行うはずだった作業も一部補ってくれている。疲れていないはずはないのに、彼から「疲れた」という言葉を聞いたことはなかった。最早それだけの仕事量など、アルヴィスにとっては苦ではないのかもしれない。
それでも、最近のアルヴィスは時折考え込んでいるようにも見えた。それが疲れからだけではなく、何か気にかかることがあるのだとすれば……。
「お帰りも遅いですし、お疲れだとは思いますが……」
「それだけではないのよ。何と説明をすればいいのかわからないのだけれど、思考に耽っているというか……この前は、ほんの一瞬だけ苦しそうにしていらっしゃったの」
エリナの気のせいかもしれない。けれど、気のせいでは済ませられない何かがある様な気がする。確信はない。もしかしたら、リュングベルで負った怪我がまだ残っている可能性だってあるのだ。傷は塞がり、痕は残ったが日常動作に影響はないと言われた。だが、剣を振るう時には暫く違和感を抱くこともあるだろうと聞いている。それが原因だとすれば、アルヴィスだってエリナには伝えないだろう。
「でも、どうしてなのかしら。それだけではない。どうしてかそんな気がするの」
「エリナ様」
「ごめんなさい。自分でも何を言いたいのかわからなくて……サラたちからすれば、きっといつも通りなのよね?」
「そうですね。お変わりない、と思います」
「そう、よね」
であれば、やはりこれはエリナの考えすぎなのだろう。妊娠中は不安になることも多いと聞く。きっとその所為なのだ。
エリナがアルヴィスと過ごす時間は、朝の時間くらいしかない。ずっと話をしているわけでなく、お互いが黙ったまま過ごすこともある。それでも、エリナにとっては苦ではない時間だった。隣にアルヴィスがいて、のんびりとお茶を楽しむだけの時間。視線を合わせれば、アルヴィスも微笑みを返してくれる。ただそれだけのことが幸せだと感じる。だから少し不安になっているだけ。エリナはそう己を納得させた。
「アルヴィス殿下もエリナ様については心配をなさっておられますよ」
「え?」
「今は大事な時期ですし、エリナ様がどうしているのか。毎回お聞きになられますもの」
「そうなの?」
「はい」
「きっとアルヴィス殿下も同じなのだと思います。ですから、あまり深く気になさらない方がよろしいのではありませんか? それでエリナ様が体調を崩すことにでもなれば、殿下は心配できっとお傍を離れませんよ」
アルヴィスに限ってそのような真似はしないだろう。それでも心配をさせてしまうことは間違いない。エリナは、サラの言葉に困ったように笑った。
「ありがとうサラ。ちょっと落ち着いたわ」
「いいえ。気になることがあれば、何でも仰ってください。話をするだけでも、気持ちは変わると言いますから」
「えぇ、そうするわ」
きっと考えすぎなのだ。この時のエリナはそう思っていた。その予感が気のせいではなかったことに気が付くのは、もう少し後。その時エリナは、後悔することとなるのだった。
『女神様……どうか――』




