閑話 朝
エリナ視点翌朝です。短いです。。
翌朝、エリナは目を覚ます。まだ薄暗い部屋でエリナが身じろぐと、横に温かな体温があった。顔を横へ向ければ、そこには金色が視界へ入る。その隙間から除くのは、綺麗な顔立ちだ。
「っ」
昨夜のことを思い出して、エリナは顔が火照るのを感じる。だが、声を上げそうになるのを掌で押さえた。目を瞑ったままのアルヴィスは眠っているのだ。起こしてはいけない。
ふぅと深呼吸をして、エリナは身体を起こした。静かな室内は、見慣れない部屋。いつもの部屋ではないことに、エリナは今更ながらに実感をする。
「私は本当に結婚出来たのね」
結婚した。今は隣に眠るこの人と。アルヴィスと婚姻の誓いを交わし、夫婦となった。エリナは王太子の婚約者ではなく、王太子妃となったのだ。じわじわと溢れてくる感情が、エリナを襲っていた。それを言葉で表すならば、「喜び」だろう。
「アルヴィス様……」
隣へと視線を移すと、何度も見たアルヴィスの寝顔があった。だが、あの時にエリナが見ていたような苦痛の表情ではない。穏やかな表情だ。エリナは微笑みながら、そっとアルヴィスの髪へ手を伸ばす。相変わらずサラサラな髪だ。女性としては羨ましく思う。そのようなことを言われたところで、アルヴィスは困るだけかもしれない。苦笑しながら「そうか」と言ってくれるその姿が浮かび、エリナはクスクスと笑った。
「もう少しだけ」
侍女を呼ぶにはまだ早い時間だ。エリナは再び身体を横にすると、眠るアルヴィスの胸元へと頭を寄せた。今は、まだこの余韻に浸っていたい。
ドクンドクンという心音がエリナへ届く。一人で寝ることが当たり前だったのに、こうして誰かといることに安心感を覚えるのだから不思議だ。それは相手がアルヴィスだからなのだろう。安心出来る人であり、エリナが愛する人だから。
その音を聞きながら、エリナは再び夢の世界へと誘われるのだった。
どうしてもエリナ視点の翌朝を入れたくて、入れてしまいました。
短くでごめんなさい。
本日二話連続投稿になりますので、引き続き次話もご覧ください!




