表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イキモノツキモノ  作者: 源 蛍
第一章『虎と猿と犬と猪』
1/26

プロローグ『イキモノ達の競争』

全六章予定です!

1話は5千文字程度となっております。

バトル物……しかも格闘などの表現は下手で、もしかしたら分かりにくいかも知れませんが、どうぞよろしくお願い致します!

『鼠』『牛』『虎』『兎』『龍』『蛇』『馬』『羊』『猿』『鶏』『犬』『猪』──世に知られる『十二支』と呼ばれる生き物達。『双銀波山』では、神と呼ばれた十二支の動物達の総力戦が繰り広げられていた。誰が最も強いかと、鼠が零した為らしい。

 それは今から、千年以上昔の言い伝えから知られている。


 神達に立ち向かった一種類の哺乳類を除き、彼らの競争は決着を見せることはなかった。そして鼠を筆頭に、神達は全て封印され争いは治った。

 そんな事象があったにも拘らず、封印した人間を現世で知る者は数少ない。そしてそのことを、誰も伝えようとはしない。


 ──封印されたとあっても、神達の一種一族は滅んだ訳ではない。故に、いつ何時でも封印が解かれるのを待ち望んでいるのだ。

『双銀波山』は革奏町(かわかなちょう)の中心部に、国一番の高さを誇る電波塔よりも高く聳える。革奏町は古来より武闘の精神を持ち続けていて、現代でも二十程格闘道場や武術道場などが存在している。

 全国的に見て、最も野生的な町と呼べる程だ。


 封印されて数百年が経ち、神達には絶好のチャンスが訪れた。

 山に、十人程度の子供達が侵入したのだ。


 その子供達は武術など習ってもおらず、ただただ好奇心で立ち入り禁止のこの山に入ってしまっただけ。恐らくまだ十歳にも満たず、伝説も知らないことだ。

 そんな子供達は肝試しなどの真似事か、真昼間にして懐中電灯を持ち歩き登山を開始。途中で飽きて隠れん坊を始めた。


 隠れん坊によって一人となった子供の脳に直接語りかけ、半ば催眠をかけた様に誘導した『龍』は、それぞれの方角に封印する為の札が貼り付けられていることを知っていた為、それを剥がさせた。

 当然というべきか、『龍』は自由の身となり山から飛び出した。次いで『兎』、『鼠』など全ての神が同様に。


 いざ勝負、と互いに睨みを利かせるも、己の肉体が既に滅んでいたことに気がつく。それまで、凡そ一分。

『龍』を始め、驚愕した神達は指向を変える提案をする。


 それは、現存する『強い人間』に憑依し、肉体を借りて争うことだった。

 強い人間に、己のちからが合わさればより強力となるのは当然。負けた者は大人しく山へ戻る、としっかり取り決め、十二の神達は散り散りに飛んだ。

 同時に、あるイキモノまでが蘇ったことには誰もが気づかずに──。


 この提案を出した『虎』は、まず全く興味の無い一人暮らしの中年男性に憑依し、オリンピックや武術大会などの番組を物色。そこで、遠くまで向かうのは面倒故にこの町から捜そうと決める。

 当然、強い人間はこの町に多数存在する。先程も述べた様に、ここは格闘道場などが二十程現存しているのだから。


 その中でも一際目立つ人間をマーキングし、普段の様子なども伺った上で決めることにした。勿論、中年男性からは出た。

『虎』のお眼鏡に適った者は、いつでも他人をしっかりと観察しているが、余りにも面白みが足りない為敬遠されている男子高校生だった。

 肉付きも良く、格闘道場の子な為かセンスもある。どうしても、面白みが足りないのが惜しかった『虎』だが、他の神々に勝つ為ならと、その男子高校生に憑依した────。



 十二の神達が憑依する人間を決め終え、そこから慣れるまでに一ヶ月半かかった。因みに『虎』は憑いた者の生真面目さに心侵され、戦う気など失っていた。

 ただダラダラと日々を過ごして行くうちに、他の神はじんわりとその牙を光らせて行く────。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ