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第九話 謀略

カゼンがギリュウによって牢に囚われた。キノフジはそれを助けようと言う。

「助ける……。どうやって? 不可能よ」

私は叫んだ。

 カゼンが囚われているドワーフの城はかなり堅牢な城で、難攻不落に思えた。

 城は、大きな洞窟の中にあるが、入口は、五メートルほどの幅しかない。そこには大きな門があり、高所から弓矢で門前の敵を射貫く事ができるように、四方の洞窟に細工がされている。

 そして、厄介なことに、民家の地下室と城が縦横無尽に走る地下道で、全て繋がっている。地下室の扉は鉄でできた強固な物で、カギはドワーフが持っている。

 こちらが、攻める事ができるのは、ドワーフ城の洞窟の入り口からのみ。片や、ドワーフは街中の好きな所から攻撃できる。

 そんな、ドワーフの国をキノフジはどう攻めようというのか?

「大丈夫。考えがあります」

キノフジは冷静に話し出した。


 次の日、私とキノフジはケンとチャーに跨って、ケンタウロス国に向かった。キノフジの説明を聞いてから、一晩考えた結果、キノフジの案にのる事にした。しかし、上手くいくだろうか? 不安は残る。

 ケンタウロス国に出発する前、カツエにも相談した。

「そんな事が上手くいくはずないじゃないですか。キノフジの浅知恵に乗るのは危険です」

カツエはあからさまに反対した。

「乃菜様は契約の首輪の力で、運が上がっているのできっと上手く行きます」

キノフジは自分の意見に固執する。

 確かに成功の確率は高くないように思えるが、ドワーフ国とはいずれ戦う時が来るだろう。それなら、国の纏まりが悪い今が一番のチャンスだと判断した。

 とにかく、ヘイゲンの協力が必要だ。チョウキの了解も得ておきたい。

 ケンタウロス国に着くと、真っ直ぐにヘイゲンの下に向かい、事情を話した。

「ほう。面白そうですな。キノフジ殿が考えたのか。策略家じゃな」

ヘイゲンは以外と乗り気だ。

「いえいえ。もう、カゼン様を助けたい一心で……」

キノフジは気恥ずかしそうに答えた。

 次に、三人でチョウキの隠れ家に向かい、チョウキに説明する。チョウキは息を殺して説明をきいていた。そして、小さな声で言った。

「わかりました。全ての事は皆様にお任せ致します。でも、兄の命だけはお助け下さい。父親は違いますが、私には血をわけたたった一人の家族なのです」

もとより、ギリュウを殺すつもりはない。

「できるだけ。誰も殺さないように、進めるつもりですので安心して下さいね」

私は答えた。チョウキは黙って頷いた。


 キノフジの計画を実行するにあたって、最初にやるべきことは、ドワーフの城が良く見える場所に砦を築く事だ。丁度、ドワーフ国との国境にドワーフ国が見渡せる丘がある。場所はそこに決めたが、当然、ドワーフ城からも良く見えるため、素早く作らないと、妨害がはいるだろう。

 砦の建築にはケンタウロス達の応援を頼んだ。人海戦術で作るのが一番だ。準備は入念にする。まず、鉄で二十メートル程の長さのU字溝を作った。壁の材料として板に薄く伸ばした鉄板を貼り付けた。門の材料として長さ六メートルのH型鋼を作った。

 国境の丘では、夕暮れ時を待って、縄張りを始めた。塀の設置予定地に沿って、地面を十センチメートルほど掘り下げる。出来た頃には、日が沈み、辺りは暗闇になっていた。ここからは松明の灯りで作業を続ける。

 掘り下げた地面の中にU字溝を埋め込み、鉄板を貼り付けた板を差し込んでいく。上部にはH型鋼をはめ込んだ。塀は取りあえず出来たが、まだ強度に不安がある。そこで、塀より内側に階段状に土嚢を積み上げた。これで、壁の強度の補強になり、壁の上からも攻撃できる。門の所には二本のH型鋼を立てた。門の扉はH型鋼の溝に沿って滑車で上下するようした。

 壁が完成したのは、お昼ごろだった。ヘイゲン、チョウキと共に壁の上に立っていると、

「乃菜殿。ほらそこに……」

と木陰を指さした。

 壁の建設に気が付いたドワーフの斥候がうろついている。チョウキの姿も見ただろうか? もし、見たのなら、早急に兵を整えて攻めて来るだろう。私は中の設備の建設も急がせた。

 

 ドワーフ兵が砦を囲んだのは、次の日の早朝だった。それは五千を超える数だ。砦に籠るのは、戦闘型ゴブリンとケンタウロスを合わせて、三百ほど。身体の大きさが、二倍あるとはいえ、ドワーフの攻撃を、支え切れるか不安が募る。

「乃菜よ」

ギリュウが前線に出て、私に呼びかける。隣にアンシュウとヨウテツも一緒に立っている。カジゾウはいない。ギリュウは、一番信頼できるカジゾウを、留守の城の守備にあたらせているのだろう。ここまでは、キノフジの計画通りだ。

「チョウキを匿っておるであろう。悪い事は言わぬ。大人しく引き渡してもらおう」

「何のこと? 変な言いがかりはつけないで!」

塀の上から、ギリュウを見下ろしながら答えた。チョウキは既にキノフジと行動を共にしており、ここにはいない。

「とぼけるでない。チョウキを匿うだけでなく、こんな砦まで作りおって……。一気に叩き潰してやる」

そう言うとギリュウはアンシュウとヨウテツを引き連れて、本陣の方へ引き上げた。次は攻撃がくる。


 三十分後、甲冑を身に着けた弓隊が姿を現した。こちらも甲冑を身に着けているとはいえ、真っ直ぐに甲冑に当たると矢は甲冑を突き抜ける。油断はできない。

 ドワーフ弓隊の一斉攻撃で弓矢が雨のように降り注ぐ。盾で弓を避けながら、こちらも弓矢を打ちかける。

弓隊の援護の下、巨大な丸太に縄をかけ、何人ものドワーフが担いでいる。その周りを盾で覆い、弓矢の攻撃を防いでいた。

 門の前まで来ると、丸太を撞木の代わりに釣鐘を叩くようにして、門を破壊しだした。壁全体が揺れる。それと同時に壁に梯子をかけて、ドワーフが壁を登り出した。

 掛かった梯子は、飛んでくる弓矢を避けながら倒す事で侵入を防いだが、門を叩く敵は盾に守られ弓矢が効かない。

「油を持て―!」

油の入った土器をいくつも投げつける。

「火矢隊! 打て―!」

 火は、敵の盾にたっぷりと掛かった油に移り、盾の上は火の海となった。盾はどんどんと熱くなる。盾の下に流れこんだ油にも火が移る。門の前の敵は、堪らず逃げだした。それを契機にドワーフは潮が引くように戦闘を打ち切った。

「ふう。どうにか防げたわね」

私はカツエに言った。

「おそらく、今のは、威力偵察でしょう。今度は、もっと、凄い攻撃がきます」

「えっ。本当に―。キノフジ、本当に大丈夫でしょうねえ―」

今、ここにはいないキノフジに愚痴を言った。


 ドワーフの第二波の攻撃は一時間後に始まった。門の攻撃には攻城槌が登場した。鋼鉄製の円錐を丸太の先に着けて、それを車輪に乗せている。さらに、周りを鉄板で囲い攻城槌の押手を保護している。さっきのような、火の攻撃は効きそうにない。

 さらに、投石器も登場した。弓矢の中に人の頭ほどある石が紛れて飛んでくる。梯子は壁に隙間なく掛けられ、歩兵がどんどんと登ってくる。

 壁の上部を止めているH型鋼の上には油をたっぷりと染み込ませた布を敷き詰めていた。カツエが火を点けると、塀の上部全体が燃え上がり、梯子の上のドワーフは侵入を諦めて下に降りる。

 ほっとするのも束の間、今度は、坑道が掘られ、地面に穴が開き、そこからドワーフが侵入してきた。用意していた鉄板で塞ぐが、すぐ別のの穴が掘られ、ドワーフが侵入してくる。

 守備兵にはドワーフを出来るだけ殺さないように指示を出していた。

「これは厄介な!手加減をしながら持ちこたえる事など出来ませんぞ」

ヘイゲンが悲鳴を上げる。甲冑で防御しているとはいえ、小さなドワーフの下半身への攻撃は防ぐのが苦手そうだ。

「あんなキノフジの言う事を聞くから、こんな事になるのです」

カツエも不服そうだ。

「キノフジ。早くして!」

私は心の中で叫んだ。

 その後もドワーフの攻撃は、どんどん激しさを増した。塀の上で燃えていた炎も油が尽き、梯子を伝ってドワーフが侵入してきた。

 かなり数のドワーフが砦の中に入り、ゴブリン、ケンタウロスと戦闘を繰り広げている。

 門も攻城槌で潰されそうだ。もし、門が突破されれば、砦の中に入ってくるドワーフの数は今と比べ物にならないだろう。

 砦が陥落するはすぐ目の前に迫っていた。

 が、その時、ドワーフ城の周囲に、ゴブリン国の軍旗、「大一大万大吉」が高々と上がった。

「ドワーフ城が落ちたぞ―!」

誰かが叫ぶ。

 砦に侵入しようとしていたドワーフも一斉に城のほうに眼をやる。そこに、ゴブリンの軍旗を目にしたドワーフは明らかに狼狽えだした。この砦が、囮であることに気づいたようだ。

「城が落ちたぞ! 退け―! 城を取り戻す!」

アンシュウが叫んだ。その声に、砦を攻めていたドワーフが一斉に退き出した。砦に侵入していたドワーフも潮が引くようにいなくなる。

 ギリュウは何が起こったのか よく理解できていないようだ。呆然とした顔で軍を率いて、城に向かう。

「我らもドワーフ城に向かう。兵をまとめよ!」

私は大声で叫んだ。

 カツエとヘイゲンは、負傷者たちを回復薬で治療した後、軍をまとめ、ドワーフ城に向かって行軍を始めた。

 ドワーフ城に着くと、チョウキとカゼンそれにキノフジが、軍をまとめて城の入口に陣取っている。

 それに対して、引き上げてきたギリュウがチョウキを睨みつけていた。アンシュウとヨウテツは、それを横目て見ている。

「チョウキ! カジゾウはどうした!」

「気の毒ですが、死んで頂きました!」

チョウキの毅然とした姿に、ギリュウは少し驚いた様子だ。

「チョウキ! バカな事をするな! おとなしく、城を明け渡せ! さもないと攻め落とすことになる。命を落とすぞ!」

ギリュウは、まだチョウキを見くびっており、脅せば、城を明け渡すと思っている。

「兄上! お相手いたします! 兄上も死ぬつもりで、かかってきなさい!」

「おのれ―!」

ギリュウは憎しみを込めた眼でチョウキを睨んだ。

「アンシュウ! ヨウテツ! チョウキに矢を射かけよ!」

「弓隊! 前へ!」

ギリュウの命令に従いアンシュウとヨウテツは、兵たちに弓に矢をつがえさせた。

「標的はギリュウ様。チョウキ様にお味方申す」

アンシュウとヨウテツが異口同音に命じる。命令を聞いた時、弓兵たちは驚いた顔になったが、やがて笑顔に変わっていった。ギリュウよりキョウキの方が一万倍いい。

「チョウキに加勢します!」

私も弓隊に矢をつがえさせ、矢先をギリュウに向けた。

 ギリュウの軍は完全に劣勢だ。兵たちは怯えて後退りを始め、やがて、背を向けて敗走しだした。まだ一本の矢も射ていない。

 ギリュウは、兵をまとめようと努力していたが、壊滅状態になった兵達は聞く耳を持たなかった。どうしようもなくなったギリュウも兵と一緒に敗走しだした。

 この兵の半分ぐらいが、許しを乞い城に戻ってきたが、残りの半分の兵とギリュウは城に戻る事もなく、それ以降、行方が分からなくなった。

 アンシュウとヨウテツの行動はキノフジとを謀ったものだ。かなり冷や冷やしたが、危うい所で成功した。ドワーフ城の攻略が、もう少し遅ければ、この作戦は失敗し、私の命もどうなっていたことやら……。

「キノフジ! もっと手際よく、ドワーフ城を攻略できなかったの?」

私は、恨みがましくキノフジに言った。

「乃菜様。私、これでも頑張ったんですよ!」

キノフジは、ふくれっ面でドワーフ城攻略の顛末を報告しだした。


 ここからは、キノフジの武勇伝だ。キノフジ自身の報告による。

 キノフジと子分になったショウリクら元盗賊たち、それと百人程の魔導士型のゴブリンは、夜陰に紛れて、数日前から少しずつドワーフ国に侵入していた。その潜伏場所は、キノフジと気心のしれた住民の家だ。

 城と民家とを繋ぐ地下道はドワーフ城の守りの要だが、住民がチョウキとゴブリン国の味方となった今は 大きな弱点となった。住民のチョウキへの尊敬に加えて、キノフジが日頃から住民との信頼関係を築いてきたことが、大きな力となった。

「チョウキ様。大丈夫かしら」

ドワーフ兵が出陣してから しばらく経つが、チョウキが姿を見せない。チョウキは砦に姿を見せた後、ドワーフ兵が出陣するのを見届け、合流する手はずになっている。

 当初、私はチョウキが参加することに反対した。ギリュウはチョウキの命を狙っているのだ。しかし、チョウキは私の忠告を聞かなかった。

「このままでは、ゴブリン国とドワーフ国の戦いになってしまいます。城の者も必死で抵抗するでしょう。でも、私が出向けば、私とお兄様の戦いになります。城のドワーフ兵から味方する者が出るかもしれません」

チョウキはそう主張した。道理である。私は、心配しながらもチョウキの申し出を受け入れた。

 そのチョウキの参加が遅れている。捕まったのではないのか? キノフジは、やきもきしながらチョウキを待った。そして、二時間ほど後、二人の護衛に守られて、やっとチョウキが現れた。

「遅くなってすみません。ドワーフ兵を避けて来たら遠回りになってしまって……」

「無事に着いてよかった。心配していました」

「ごめんなさい。さあ、出発しましょう」

チョウキは休む間もなく地下室に降りてゆく。

「いよいよ。進撃だね。私は他の家に伝えに行くよ」

この家の持主であるトメさんが、出口に向かった。他の家に潜んでいるゴブリン兵に攻撃の開始を伝えに行くのだ。

「キノフジちゃん。カジゾウは強いよ。気を付けてね」

「ありがとう。トメさん。秘密兵器を持っているから、私は大丈夫。安心して下さい」

キノフジは微笑みながら言った。

地下道を進むと、頑丈な鉄の扉がある。

「ショウリクさん。お願いします」

キノフジは、元盗賊の親分を呼んだ。

「ヘイ。任せて下さい」

ショウリクは先頭に進み出て、鍵穴に二本の細い鉄の棒を差し込んだ。そして、手を器用に動かすと、鍵が開く。

 キノフジ達は地下道をさらに進む。幸い、ドワーフ兵は一人もいない。ここから、侵入されるなど想像だにしていないようだ。途中、さらに下に降りてゆく階段がある。

「そこを降りると、牢獄です。カゼンが囚われているかもしれません」

チョウキが言った。

「俺が。行って助けて来ます。お前たちも来い!」

ショウリクが部下を引き連れて、カゼンの救出に向かった。

「私達は、先に進みましょう」

グズグズしていると、私が守る砦が落ちてしまうかもしれない。この時、キノフジは、かなり焦っていたようだ。

 さらに、進むと大広間に出た。ここまで侵入して、ドワーフたちは初めて敵襲を認知したらしく、カジゾウが、兵を引き連れて、キノフジの前に現れた。

 カジゾウは、ドワーフ兵の中にチョウキを見つけ、最初は驚いた顔をしたが、その後喜びの顔に変わった。

「カジゾウ! カゼンを釈放しなさい!」

チョウキはカジゾウを睨みつけた。

「チョウキ! 死地とも知らずに、のこのこと現れよって! 者共! チョウキを殺せ!」

カジゾウが兵に命令する。しかし、兵は動かない。

「敵に味方する裏切り者ぞ。殺せ!」

カジゾウは再び命令するが、兵は躊躇している。カジゾウは「捕らえよ!」と命令すべきだった。そうすれば、兵も動いただろう。

 しかし、カジゾウは「殺せ!」と命じた。先代の主君の姫であるチョウキを大切に思う者はいても、憎む者はいない。

「カジゾウ様。でも……」

剣を抜いて構えこそすれ、誰一人として、チョウキに斬りかかる者はいなかった。

「ええい。俺がやる」

カジゾウは痺れを切らし、自ら剣を構え、チョウキを睨みつけた。顔は憎しみで満ちている。チョウキの二人の護衛が前に出て剣を構えた。

「貴様ら! そこを退け!」

カジゾウは叫びながら、突進する。

 そのカジゾウの前に、キノフジは、彼女が言うところの秘密兵器を投げつけた。容器が割れ、中からゴブリンソープが飛び散り、よく磨かれた大理石の床に広がる。

 走るカジゾウはゴブリンソープに足を滑らせて尻もちを付いた。そのカジゾウ目がけて、さらにゴブリンソープが入った容器を投げつける。ゴブリンソープに塗れたカジゾウは、滑る。滑る。滑る。立ち上がる事も困難だ。

 二人の護衛は、剣を弓矢に持ち替え、カジゾウを狙う。

「貴様!」

カジゾウの顔は怒りで真っ赤になっている。その顔に二本の弓矢が襲いかかった。そして、弓矢の一本は額に もう一本は口の中に突き刺さり、カジゾウは絶命した。

「カジゾウ様!」

城の兵士たちは狼狽するだけで、動くことができない。カジゾウを殺したのはゴブリンでなく、チョウキの護衛だ。護衛はチョウキを守っただけ。チョウキに反逆するのも躊躇われ、ただ、その場に立ち尽くした。

 そこへ、カゼンがショウリクに連れられ広間に入って来た。

「カゼン! 無事でしたか」

チョウキの顔がほころんだ。ショウリクに肩を借りて歩いているが、命に別状はないようだ。

「姫様。危険を犯してまで、命を助けて頂き、感謝の念に絶えません。今後、この命は姫様に捧げます」

「カゼン。父の忠臣を助けるのは当然のことです。貴方の命は、ドワーフ国民のために使って下さい」

「はっ! 姫様の仰せの通りにいたします」

カゼンは深々と礼をした。

「皆の者! これから、私はチョウキ様にお味方する。異論のある者は前に出よ。私が、お相手する」

カゼンは城の兵達に向かってそう言うが、とても戦えそうな身体ではない。一人で歩くことさえできないのだ。それでも、一人も前に進み出る者はいなかった。

 こうして、城の兵士は 全員 チョウキの味方となった。


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