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Mousse chocolat framboise 〜 おじさんのお話 〜  作者: カフェと吟遊詩人
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不機嫌に憂鬱と

今日は早めに会社に戻る為に


仕事を頑張り移動も頑張り


横を歩く亜紗美はやや小走りになっている


「貴則さん、今日はなんでそんなに急いでるんですか?さっきの営業先も、いつもならもっと推しを強く行くのにサラッと諦めてませんでしたか?」


「お前は馬鹿か?」


『??貴則さんにはあの営業先はどれだけ頑張ってもダメだとわかるという事かな?』


「何にもわからないのか?」


「はい。スミマセン」


貴則の上から目線はいつもの事だが


ここまで「はあ?」って感じの顔をしてくる貴則は珍しく亜紗美は小さくなってしまった


しばらく会話は無かったが


亜紗美は今後の勉強の為と勇気を出して聞いてみた


「あの、もし宜しければ教えて頂けませんか?」


「はあ〜、お前さ今日は金曜日だぞ。早く終わらせて飲みに行かなきゃ損だろ」


「、、、、、、」


「お前と今夜飲みに行く為に結構良い店予約してるんだぞ。ほら急げ次のアポもサッサと終わらせるぞ」


「、、、、、、」


亜紗美は急いで歩く気を失いその場に立ち止まった


「何だよ、本当はサプライズで連れて行くつもりだったのにお前が聞いてきたからだろ」


「私は貴則さんと飲みに行くなんて一言も言ってません」


「俺も言ってないぞ。サプライズだからな」


「いや、サプライズ要らないです」


「ちゃんと誘われた方が嬉しかったのか?次回はそうするから今日は我慢しろ」


「いやいやいや行きませんて」


「なんでだよ」


「行く理由が見つかりません」


「理由?金曜日だからだろ」


「金曜日だからってなんで貴則さんと飲みに行くんですか?」


「それは、俺たちが良い仲だからだろ」


「全然、良い仲じゃ無いです」


「じゃあ、お互いをわかりあう為に行くぞ」


「知りたく無いし、知られたくも無いです」


「お前、俺が誘ってるんだぞ」


「はい、私は好きな人と飲みに行きたいです」


「じゃあ、俺で良いだろう」


「いや、貴則さんはそういうんじゃ無いんで」


「もう予約してんだから行くぞ」


「行きませんから。着きましたよ、最後の営業先。貴則さんが歩くの早いから20分前に着いてますよ」


「早く着いちゃったからいいですか?って電話してみろ」


「嫌ですよ。馬鹿な新卒の営業のやる事じゃ無いですか」


「馬鹿なフリしてかけろよ」


「お断りします。貴則さんがかければ良いじゃ無いですか」


「そんな馬鹿みたいな営業出来るか」


「自分が出来ない事やらせないで下さい」


その後仕方なくコンビニで時間を潰した2人だった。





貴則の前に座る女性はニコニコしている


目の前にはお洒落な料理が並び


窓からは東京タワーが見える


青山にあるダイニング


ベルコモ


ベルコモンズの跡地に出来たホテルのダイニングだ


「貴則さん、こんなに良いお店を予約してくれたんですね」


「ああ、結構良い店だろ」


菊池さんは普段は居酒屋にしか連れて行って貰えない為、心から喜んでいる


その嬉しさでいつもより口数多く貴則に話しかけている


貴則の返事が素っ気ないのはいつもの事なので


菊池さんはオシャレな空間と料理を楽しんでいる


『はあ、本当は亜紗美と来るつもりだったのに。あわよくば上の部屋に移動とも考えてたんだけどなぁ。今夜はコイツとかぁ。家に帰るかな、コイツにこのホテルの部屋代は高いよなぁ』


性格のちゃんと悪い貴則は半端なく理不尽な理由で不機嫌だった


『亜紗美とだったらガンガン呑ませて、、、、んっ?コイツいつもより呑むペース早く無いか?』


「お前、大丈夫か?飲み過ぎじゃ無いか?」


「え、だいじょぉ〜ぶでふよ。料理も美味しいしお店もお洒落だし。貴則さんはかっこいいし。幸せでふ」


「酔ってるじゃねーか、、、」


少し呆れたが


最後のカッコいいという言葉で少し気を良くしたのか、真っ直ぐと座り直し菊池さんを見た


「お前、俺の事カッコいいと思ってるのか?」


「当たり前でひゅよ〜。凄ぉ〜くカッコいいでふゅ」


もはやかなり呂律が怪しい


「お前、明日は用事あるのか?」


「ないでひゅ。貴則さんに誘われる為にあけてま〜ふ」


少し考えて


「お前、今日オレとこのホテルに泊まるって言ったらどうする?」


「本当ですか?嬉しいです」


菊池さんの酔いが嬉しさで一気に吹っ飛んだ


『まあ、しょーがねぇーか。女子がこれだけ喜んでくれるんだ。男ならそれ位してやらねえとな』


「いいんですか?」


「ああ、デザート食ったらフロントに部屋が有るか聞いてみよう。無かったら家に帰るからな」


「わかりました。凄く嬉しい」


そう言って、はにかむ菊池さんは誰から見ても可愛い女性だった




家に着いた亜紗美はイライラしていた


玄関で靴を脱ぐ前に鞄を奥に投げ入れ


鞄に八つ当たりをする


しかし投げた先はしっかり柔らかい場所


買いだめしている‘ほろよい’を開けて一気に飲む


『はぁ〜、美味しい。これで横に勇輝さんが居たら最高。今頃は家で1人かなぁー。電話しちゃおうかなぁ〜。横に沙都美さんが居たら怖いなぁ〜』


そう考えているとイライラが増してくるのだが


ピークを超えると


不安になってくる


『このまま勇輝さんと沙都美さんが結婚したらどーしよぉ〜、、、、、、、沙都美さんが違う男に行って、、、、それは嬉しいんだけど、、、、勇輝さんが哀しい想いして昔みたいにあまり喋らない人になったらどうしよう。元気な勇輝さんが良いなぁ〜。沙都美さんと居て明るくなって来たから諦めてるのに、、、、勇輝さんが哀しい想いしたら嫌だなぁ〜。でも、別れて欲しいなぁ〜。』


そんなどうしようもない事をグダグダ考えていたが


何もする事が無いので取り敢えずテレビを付けてみた


気になる番組もとくに見つからなかったが何となくテレビを眺めていた


『勇輝さんが振られるんじゃ無くて、私が勇輝さんに好きになって貰って、沙都美さんが振られるのがベストだなぁ』


と、またどうしようも無い事を考えていた


スマホの画面を見ると


沙都美からメールが来ていた


《勇輝さんには私が必要だし、私には勇輝さんが必要だから。亜紗美にはあげられないなぁ〜♡》


と、ご丁寧に最後にハートマークまで付けて送られて来ていた


『ううううううう、悔しい』


そう思いながら


もう1缶‘ほろよい’を開けた亜紗美の夜であった

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