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Mousse chocolat framboise 〜 おじさんのお話 〜  作者: カフェと吟遊詩人
19/55

彼女と理由と

話は進むと言うより戻ります


いつも読んで頂きありがとうございます

今日は天気が良い


土曜日の午後


おじさんは都会のカフェに居た


「本当に今の若い子が解らなくてさ。ずっと揶揄われてるんだよ」


「それ、揶揄われてるって捉えずに。惚れられてるって思っちゃった方が幸せじゃね」


「おいおい、俺はもう38だぞ。25歳や22歳の女の子が本気で惚れる訳ないだろ。周りに男が少なくて、たまたま今は俺が気になっているだけだよ。惚れてるまでじゃ無いと思うぞ」


「お前さぁ、沖川さんと別れてからもう何年経ってるんだよ。もうそろそろ彼女作って良いと思うし。信じても良いと思うぞ」


「わかってるよ」


「そういえば半年前位かな、沖川さんと仲の良かった、、、なんだっけ、、、水野さんだ!街で会ったぞ。旦那さんと子供と幸せそうに歩いてて。。。お前の話になって、、、まだ独身なのかってなんか少し怒ってたぞ」


「なんで、俺が怒られなきゃいけないんだ?」


「沖川さんの話をしようと思ったけど何となくはぐらかされた感じだったなぁ」


「まあ、水野さんは誰よりも仲が良かったからな。まだ哀しいのかもよ」


「誰よりも仲が良かったのはお前じゃ無いのか?」


「他にもっと良い男を見つけてフラれたのにか?」


やや笑いながらおじさんは応えた


「でも、亡くなった時は彼氏いなかったポイよな」


「知らないよ。亡くなった事さえその時は知らなかったし。。。それに、、、別れた後、水野さんが彼氏が出来てたと俺達に教えてくれたんじゃ無いか」


1年振りに会った大学時代の友人と


まだおじさんに女っ気が有った頃の話をしていた。


「お前の子供はもう幼稚園だっけ?」


「何言ってんだ?もう年長で来年小学生だぞ」


「えっ?もうそんなに大きいのか?」


「どうりで入園祝いが来なかった訳だ」


「スマン、今度送るよ」


「家に遊びに来いよ」


「秋寛、お前の幸せそうな家庭には行かん」


「嫁も結婚式以来お前と会ってないから、お前と会うと言っても女じゃないのかって疑われるんだ。頼むよ」


「大学時代の友人は出来る限り会いたく無いんだよなぁ。昔の話しが今日みたいに出るだろ」


「悪かったよ。お前が結婚しないからダメなんだろ」


「結婚したかった女にフラれて、数年後に亡くなってたと知って。別れた原因が別に男が出来たからって、、、女を信じる気にもなれないわ」


「たまたま沖川さんがそうだっただけだろ。女が皆んなそうじゃないだろ」


「まあ、将来どうなるか解らない不安だらけの男より。既に安定している男を見つけたんだろ。仕方がない。それに死んじゃったんなら文句も言えない」


「まあな」


「生きてたら、「あの時全部俺のせいにして別れやがって!別の男に行きたかっただけじゃねーか」って言ってやりたいよ」


「確かにな。言えないのが辛いよな」


「まあ、俺に恋愛は無理だよ」


「墓参りでも言って文句の一つでも言ってやるか?」


「嫌われて別れた相手がお墓に行っちゃダメでしょ」


「まあ、取り敢えず。若い子はやり直しが効くんだから、付き合うみたいな事をやってみて良いんじゃないか」


「心が保たないよ」


「俺がフォローしてやるよ。何が有っても」


「おいおい、友情みたいな事言うじゃないか」


「お前さ、俺はマジでお前が心配なんだからな」


「ごめんごめん」


「大学卒業したばかりの頃のお前は本当にボロボロだった。あの頃のお前に戻って欲しくは無い。だから傷付いて欲しくは無いけど、それ以上に幸せになって欲しい。俺が嫁と付き合う様になれたのはお前と沖川さんのお陰だったんだから」


「あの頃の俺はポジティブだったな。あの子のお陰だったな。彼女が出来たら、あの頃みたいに明るくなるかね」


「なるよ」


「自信ないなぁ」


「取り敢えず、付き合ってみろよ」


「もう少し歳が上の方がいいな。それと、もう少し悩んでみるよ」


「そうか、40越えたらお見合いさせるからな」


「40越えた男とお見合いしてくれる女はいるのか」


笑いながら2人は違う話しに移っていった








あれは大学を卒業して数年後、秋寛と久し振りに合った時だ


「沖川さんのお葬式、やっぱり行きたく無かったのか」


この言葉で元カノの死を初めて知った


「えっ?死んだの?」


「病気だったらしいぞ」


「えっ?いつから?」


「知らなかったのか?なんか、お前と別れた後に仙台に引っ越してた事は?」


「それも知らないよ。だって連絡しても返信が来なくなって。こっちからも連絡しなくなってたから」


「病気が理由で別れたんじゃ無いの?」


「えっ?そうなの?知らない」


この時、勇輝はそうである事を願った


そうしたら今までの自分が半分救われる


しかしもう半分は、今までは彼女を許せなかったのに、そんな事も知らずに勝手に落ち込み続けてた自分を許せなくなる




「沖川さんと仲の良かった、、、水野さんに聞いてみるか?」


「どうやって?」


「連絡してみるよ、今」


「いま?」


正直、知りたい気持ちと、、、怖い気持ちが有り、、、どう自分がしたいのかさえわからなかった


そうこうしているうちに秋寛は水野さんにメールをしている


彼女がいつから病気だったのか。病気が原因で勇輝はフラれたのか。なんで仙台に行ったのか。なぜ、勇輝には彼女の死が知らされていなかったのか。


「あっ!返事来た。早。。。。えっ?」


「どうした?」


「お前と一緒に居るって言ったら。今すぐ来るって」


「えっ⁉︎」


勇輝は逃げ出したい気持ちと真実を知りたい気持ちで固まっていた

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