1話 出会い
魔法。それは、摩訶不思議な事を起こさせる術。妖術や魔術とも呼ばれ
その魔法を完璧に操ることが出来る人間こそ、神聖たる魔法使い!
ある日、平和な村に不幸の神が落としていった小さな忘れ物。それは強大な魔力の石!その名も『 魔法結石』!
神秘的な光を放つダイヤモンド型の魔法結石は村人の手に渡り、
村人たちに強大な魔力が埋め込まれた!
そして村人たちは魔法を死ぬまで好きに使える魔法使いになった!
「というのが、魔法使いが現れた有力な説と言われているらしい…」
と自慢げに話しかけてきたこの人の名前は
「フォーリン・エンジェルだッ!」
というらしい。
「てか!なんで俺の考えていることが分かるんだよ!」
「魔法使いなんで、僕。」
なんかドヤ顔で決めゼリフっぽく言ってるんですけど!
「ふっ、少年よ。なにか言ったか?」
うっぜぇええええええ!
「聞こえているぞ。」
「分かったから、もう黙ってろ!この変態厨二野郎!」
なんで俺はこんな大変な目にあったのだろう…
思えば1時間前、なんか妙な出来事があったな…
1時間前ーーー
その日はいつも通り、部屋の中で引きこもっていた。
そうだ。俺はゲームをしてたんだ!
ピコピコ…バシッ…ドーン…
虚しくBGMとSEだけが部屋の中で響いていた。
デーンデデーンデデデッデーン
そして、超難解ステージをクリアして…
エンディングが流れはじめた…ときくらいだったかな。
「ふぅ、やっとクリアかぁ。結構難しかったけど、バランス強化型の編成だったから、スムーズだったかな。」
「…エンディング長いな。まぁ、だいたいのゲームのエンディングって長くて、スタッフロールが永遠と続いてるよねぇ。」
ははっと笑って、ふと時計を見る。
「おっ、もう夜の7時か飯作らんとな。よいしょっと。」
この時、まだ俺は知らなかった。エンディングの恐怖を。
…ブツブツ
「ん?なんか喋ってる…?」
…ブツッ…ブツ
「ノイズが入ってて聞こえないなぁ、電波状況悪いのか?」
………グチャ…グチュ…ブチッ!
「は、はひぃ!な、なにかが切れた音がした…けど…」
ついには通信が切断された。
なぜか、俺は慌てて
「デ、データがあああ!!」
「まずいまずい!早く起動しないとおお!」
ポチッ
「いや〜間に合った〜♪」
電源ボタンを押して一安心して画面を見る。すると。
『 神に支えし我が帝国軍の使者たちよ! 』
『 今こそ!我ら魔法使い一族に力を!』
といかにも厨二病感溢れる男の声が聞こえて、
「なんだこれ。」
と惚けていた。
『 階位最高魔術式 リ・ステイト・ウォーバーズ! 』
突然画面に吸い込まれるような、強い力を感じた。
俺は運動神経が全くなかったので、
「う、うわあああああああああ!!!」
あっさりと吸い込まれてしまった。
目が覚めたら、ゲームの世界、というよりも、
もはや異世界へと迷い込んでいた。
脱出する方法なんてない。なぜなら、
脱出するなんてこと考えてなかったし、
こんな素晴らしい世界を脱出するなんて
考えるほうがバカだと思ったからだ。