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大人たちは忙しい(子供たちが眠った後で・・・)

剣父ちゃんのモノローグです。

ちょっと子供を虐める表現があります。

嫌いな方は、すっ飛ばしてくださいマセ。申し訳ないっ!

ウチの親族にいくつか寺社があるのは、知っているだろう?


と、兄ちゃんに酒を取り上げられてしまったので、仕方なく出されたお茶をちびちび飲みながら

語りだす。


ゆーたんは、意識を失ってそのまま寝入ってしまい、心配をしていた健斗も明日起きられなくなるからと、自分の部屋で寝るように言われて、渋々ながら眠ったようだ。


だから、今ここで話を聞いているのは、我が家長男、賢太郎と、次男の研司だ。

二人ともチビたちは寝たんだから、ちゃんと説明しろって詰め寄って怖いのなんのって。


しっかり者なのは助かるんだけど、もう少し父ちゃんに優しくしてくれたっていいじゃないかって言ったら、「オヤジ、うぜぇっ!」と研司に言われたっ!


ジーくん、反抗期突入の件っ!って言ったら、「マジ、止めろ!」って睨まれました。


父の威厳ってどこに、売っているんでしょうか、探しています、切実ー!



えーと、俺? 俺は、こいつら父ちゃんの桑月 剣。 歳はナイショー。趣味は、魔改造でぇーす♪

お仕事は、荒事全般を引き受ける何でも屋さんだと思ってくれればいいかな。

まあ、桑月の本家が、代々用心棒みたいな事をしていたので、その流れで、色々な厄介事が持ち込まれたりするわけだ。


話を戻せ? はいはい。

とはいえ、俺が知っている事なんて少しだぞ。なんたって、酒を飲みながら聞いてきたことだけなんだからな。


ゆーたんなぁ・・・。

うちの一族にいくつか寺社あるのは、知っているだろう?

その中の一つが、悠太の生家だ。


その寺社は、お神楽をはじめとする舞に特化したところで、神事には代々の巫女が舞と嘉納する事になっている。

そこでは神職ではなく、「巫女」を中心に神事が動いてきたんだ、そんな事もあって珍しい女系家族でもあったらしいしな。

しかし、例外があった。それは「神児」の存在だ。巫女の上に位置する神児は、全てにおいて優先される。


その神社の言い伝えでは、100年に一度、「神児」が生まれると言われている。

100年だぞ、誰も前の神児の事なんて覚えていない。せいぜいが伝え聞いた話がある程度だろう。

だから、誰も予期していなかったんだ。「神児」が生まれる事を。



悠太が生まれた時、託宣が降りた。「神児である」と。


そりゃあもう、年寄りは大喜びだったそうだ。

なんたって、悠太は、そこの神職と、筆頭巫女でその神社の長女との子だったからな。

その上、筆頭巫女は舞手としても、超優秀。


これで、全てが上手くいく。みんなが明るい未来しか見えていなかった。


しかし、ある時悠太の母が事故で盲目になった。

次に神職である父が車の大事故で足を無くした。

禰宜が病で入院し、その神社の中がどんどん中心となる人間がいなくなっていったんだ。


悪い事は重なるもので、神事に出る巫女たちが次々と不幸に見舞われた。


そんな事から、まだこんなに小さい悠太にすべての神事が回って来た。

まあ、祝詞をあげるのは神職がやるし、そこに座っているだけでもよかったんだ。


だが、巫女の一人がそれを許さなかった。


「神児なのだから、ちゃんとやるべきです!」と。


よく考えたら、いい歳したオトナが言う事じゃねぇ。幼児相手にナニを言っているんだと止めるべきなんだが、そう言って止める人間がその時誰もいなかったんだそうだ。


修行中の神職たちと同じような精進潔斎に、巫女と同じように舞いをすること。

普通の大人にだってキツイことだ。


当然だが、悠太は倒れた。


その姿を見て「こんなの神児じゃないっ! こんなの要らない!」と叫ぶ巫女。

お前らのハル伯父さんは、それを見て周りの神職や巫女をなぎ倒して悠太を抱っこして、さっさとそこをおん出たそうだ。


「お前らは、この子を殺す気かっ!」と叫んで。


その後、知り合いの病院に悠太を預けていたんだが、体の調子が戻ってきたところで丁度良くやってきた俺に、おっつけてきたってワケだ。


ハルが言うんだわ。

「頼むから助けてくれ、あの子の躰が、心が死んでしまう前に、頼むよ、剣!」


頼まれたからな、悠太はウチの子。兄ちゃんたちの弟だ。



なあ、兄ちゃん、今はしゃべってくれないけどな、ゆーたん、可愛い声でよく笑っておしゃべりとしてくれるんだそうだ。


聞きたいよな、ゆーたんが「とーたん、にーちゃん!」って言ってくれるのをさ。


お、もうこんな時間か!


明日からよろしくな!! 

え、俺? 一緒に遊ぶ係、かなぁ。ええっ? ダメ? 


はい、考えておきます! じゃあ、おやすみー!




ハル伯父さんは、子供大好き。なのでちっさい子を虐めている奴らを見ると激おこです。

タロ兄ちゃんは、はあ、とため息をつきながらも、引き取って来た父ちゃんに賛成です。


続きも、お付き合いいただけると嬉しいです!

次話からは、愉快な日常に戻ります。


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