走りながら木を殴る
俺は必死になって走る、走る。もちろん木を素手でぶん殴りながら。
目的地である、大きな岩がたくさんある森の中のエリアへと向かって。
実は、この走りながら採取するのは、ランニング採取とプレイヤーたちの間では呼ばれていて、ゲームの時だと、走りながら、カーソルを常に素材に合わせなきゃいけないので、これができたら、中級者と言われるテクニックだ。
モンスターから逃げながら採取できるので、戦闘を避けたいが、素材も採取したい時に重宝された。
「もう少しだ!」
エリアボスと言うだけあって、エリアボスは自分の領域、つまり自分の縄張りのエリアからは出られないそういう仕組みだ。
おれは、エリアボスのゴブリンの縄張りから出ようとしていた。
「着いた~。はぁ~」
大きな岩がたくさんある森の中のエリアにつくと、俺は石の裏に身を隠す。
いくら、エリアボスが、縄張りのエリアから出れないと分かっていても、怖いものは怖いのだ。
岩の裏に身を隠している俺は、身を隠している岩とは、違う岩を思いきりぶん殴る。
不思議と手は痛くない。
「揃った!これで、石斧と石のピッケルが作れる!」
喜んだのもつかのま、すぐに、ゲームではクリエイト画面を開いて行っていた製作ができないことに気付く。
待てよ。ゲーム見たいな世界に転移したのならステータスと唱えると、ステータスが現れるのが、常識だ。
幸いなことに、サバイバルクリエイトにはステータスがある。
よし、ステータスと唱えよう。
「ステータス」