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第3話 魔法と科学が混ざりし戦い

AM9:00 航空自衛隊蒜山基地


 ここは、かつて行われた大戦の際に日本中に置かれた自衛隊基地の一つである。そして現在は、東瀬戸内エリアの最北基地となっており、大戦で人が住めなくなった旧鳥取県の哨戒任務に利用されている。

 だが、今回はいつもとは違う。敵対している組織の物と思われる飛行物体が接近してきているのだ。

 滑走路からは既に、戦闘機が幾つか離陸している。この戦闘機の形状は、21世紀のF-2戦闘機と大して変わらないが、性能やスピードは遥かに良く、パイロットに掛かる負担も少ない。なにより、使う燃料が21世紀とは違う。この時代は、『魔素』と呼ばれる物が主な燃料となっている。


 魔素は2100年に、突如世界中の地中から吹き上がってきたガスで、人体に悪影響はでなく、石油などのエネルギーの代わりになるものだ。もちろん魔素と呼ばれるからには、魔法を使う事も出来る。


 戦闘機が飛び立ったあと、滑走路には一機の輸送機だけが残った。それに、20名の男女が乗る。

 彼らは、この時代の航空自衛隊の中でも特にエリートと呼ばれる『航空魔導部隊』である。首にぶら下げているペンダントが魔素を吸い込み、その魔素の力により生まれた浮力を体全体に分散し、浮く事ができる。さらに、魔素のエネルギーを武器であるライフルや小型のバズーカーに送る事で、本来の力の数倍の火力を出すことが可能だ。そして、1人では無理だが、複数の魔導士がいる場合は、その内の半分が武器に使う魔素を敵性攻撃遮断装置(バリアのようなもの)に回し、部隊丸ごとそれで覆う事ができる。外からの攻撃を弾いたまま、内側から外側に向けて攻撃できるので、彼らにとっては案外戦争も楽らしい。そのため、ほとんどの魔導部隊は5人以上で構成されている。


 その魔導部隊は、輸送機に乗ってターゲットの近くまで行く計画だ。


 今回のターゲットは、敵対してる組織の物で、既に特例で爆撃命令も出ている。


 彼らを乗せた輸送機が飛び立つ。勿論そのスピードは21世紀のどの輸送機よりも早く、あっという間に県境の壁を越え、大山だいせんを通り過ぎる。


 輸送機の中では、隊員たちが互いに今回の任務について話している。その内の1人は、口元を歪ませながら、不気味に笑っている。


「どうしたんだ?薬物にでも手を染めたのか?」


「いや。ただちょっと嬉しくなってさ……。こんな形で連中に仕返しができるなんてな」


「君はそんなに連中を恨んでいるのかい?」


「俺だけじゃないさ。今の日本人は全員そうだろ。連中が起こした9年前の戦争で、家族や友人、故郷を失った者は、山ほどいるだろ」


「まあ、それもそうだね。っと、そろそろ目標地点のようだな」


 隊員の1人がGPSに目をやる。場所は隠岐諸島よりも少し北に位置する。


「今回の作戦は、北からやってくる連中を日本に入ってくる前に撃退する任務だ。無論、撃ち落としても構わない。ロシアと中国からの情報によれば敵は大型飛行物体が一機らしいが、ひょっとしたら5連円盤機かもしれない。警戒せよ。」


 輸送機内で、1人の隊員が全員に呼びかける。他の隊員は、弾や薬莢の確認、魔力が使えるかなどの最終点検を行う。


 因みに、「5連円盤機」とは、今回戦う敵が独自に開発した物で、形状はよくあるUFOに近い形をしているが、それが5機連結する事により、一機としてカモフラージュすることができる。なお、この円盤は一機につき高さは2mだが、縦横共に20mを超え、5機重なれば、高さは10mにもなる。


 隊員がそれぞれ単独飛行準備に入った時、レーダーが何かを捉えた。その大きさから、敵の飛行物体だと判断された。


 魔導部隊が輸送機から飛び立つ。すぐに5人ずつの部隊が4つ編成され、敵の飛行物体に向かう。


 その時、隊員の1人、40代ぐらいの男性が他の隊員にこう呼びかけた。



「さあ、弔い合戦といこうか!」


◆◆◆◆


AM9:00 岡山県倉敷未来都市開発地区 クミライ学園イベント広場


「広いなー!この学園……!」


 タカオ達は、クミライ学園のイベントなどで使われる広場にいた。この広場は直径2キロメートルのの広さを誇る、円のような形をしている。


 そして、この学園の第1階層とも呼ばれる場所でもある。学園の最上階であり、高さ80メートルの地点にある。

 第2階層には大学があり、総生徒数は2万人を超える。

 第3階層には高等部があり、総生徒数は1万弱にものぼる。

 第4階層には、タカオ達がこれから通う中等部があり、総生徒数は1万人あたり。

 そして、地上の第5階層には、部活動で使われるエリアと寮、さらに地下鉄の駅があり、この学園の入り口である。

 さらに、この学園の中央には、全ての階層を貫く高さ200メートルの管理棟がある。この中には職員室や学園全体の設備の管理を行う、学園の心臓部と言ってもいいだろう。


 この学園は、まさに夢を揃えた物だろう。学園全体を覆う壁に設置されている物騒な物を除けば……。


「なにあの砲台と兵士……」


「さあな、このご時世だし、自衛目的であるんじゃね」


 タカオとトモスケの見る先には、前方向に向けて設置されている砲台と、兵士の姿がみえる。


「てかさ、あの兵士の服装。自衛隊とは違うような気がするけど……」


 タカオは、よくテレビで見る自衛隊の服装とこの兵士の服装が違うことに気付いた。陸上自衛隊の服装は密林などに溶け込めるような物を想像するが、目の前の兵士は白い服で、陸上自衛隊というよりも海上自衛隊の服装をイメージさせるものだ。


「あれはいったいなんなんだ……」


『皆さん、静かに。これより入学式を始めます』


 不意に、入学式の開始を告げるアナウンスが流れた。


『まず最初に、学園長のお話です……』


 タカオ達は会場にある椅子に座り、学園長の話を聞く。

 ステージに出てきた学園長は、見た目的に20代あたりだろう。きっちりとしたスーツを着ており、髪は普通だが、尻尾が生えている。

 実はこの世界、亜人と呼ばれる人種が存在している。現れたのは2100年以降と云われており、ちょうどその時代に魔素が現れた事から、魔素が何らかの影響を与えたのではないかと云われている。


『えー、新入生の皆さん。ようこそ!クミライ学園へ!!私は学園長の伏見創太郎です。

 このクミライ学園が出来てから、今年で30年。この間この国は大幅に領土を減らし、人口も2億人から6000万人になりました。今、この国には、社会を支える人材が必要です。この学園は、社会で生き抜く知恵を学び、学力や人間関係の構築など、様々な事を学べる機会が沢山あります!

 それから、皆さんも既にご存知かと思いますが、この国も含めた多くの国では、兵士育成プログラムというものがあります。勿論義務なため、この学園もそれに参加しており、その点は保護者様も不安かと存じますが、ご安心ください。彼らは死にません。死なない戦争に行くのです。ですが、我々もこのプログラムが無くなるよう国に訴えていきますので、その事をご理解のうえで、お子様を通わせてください』


 何故かその部分だけを念入りに伝える学園長。タカオはその姿を見て疑問に思った。


「どうして学園長はあんなに念入りに伝えてるんだろう?」


 そのタカオの問いに、隣に座っている目つきの悪い男子生徒が応えた。


「昔、どっかの学校が訴えられたんだ。その学校に子供を通わせている奴が、あの有名な兵士皆殺しを訴えてる宗教団体の信者だったんだ。そいつは、自分の息子が兵士育成プログラムにより、兵士としての訓練を受けていると知って、殺した。兵士だという理由だけでな。で、そいつは事前にそれを説明してなかった学校側の責任にしたんだが、そもそも兵士育成プログラムは国民の義務になってるからな。結局その訴えは退かれたんだが、それ以来どの学校も入学の時点で説明するようになったんだ」


「へぇー。ところで、突然話しかけてきた君は誰だい?」


 タカオは少年に名前を聞く。


「あ、俺は君と同じクラスになる、大綱ケイタだ。よろしく」


「大綱ケイタ……?どこかで聞いたことある気が……」


「は?俺は有名人でも何でもないぞ。」


 ケイタは冗談か何かだと思っているようだが、タカオはその名を聞いたことがある気がした。


 何でだろう……。会ったことなんて一度もない筈なのに……。



◆◆◆◆


AM9:15 岡山県上空


「こちらアルファ1、現在日本の岡山県上空!クミライ学園まであともう少しです!」


『了解した。これは、いつまでたっても我々の配下にならず、独自に軍事技術を高め、各国と連携しようとしている罪深き日本に対する天罰を神の代わりに下すんだ。光栄に思え』


「了解!それと、後ろから自衛隊の魔導部隊がしつこく追いかけてきて、現在5機中3機が撃ち落とされています!」


『そんな事気にするな!神のご加護がついている我々には負けなどない!』


 この話し合いは、健全な人からみれば、異常な程の宗教家に見えるだろう。だが、彼らの一番の問題は、神のご加護さえあれば戦いに勝てると本気に思っている事だ。事実、このように宗教が関わる戦争は、神のご加護やらなんやらで面倒な事になるのは歴史的に証明されている。


 この組織の飛行物体は南下しており、進路の延長線には、クミライ地区もある。連中はそこに向かっているのだ。


「我が組織に逆らうような真似をしたらどうなるか。思い知るがいい、日本人よ!」




「これはマズいな……」


 敵を追いかけている自衛隊の航空魔導部隊は、敵の進路に不安を覚える。このままだと3分後には倉敷の中心街に着き、5分後にはクミライ地区に着く。それだけはなんとしても阻止せねば!


 魔導部隊の隊長は、隊員に命令する。


「私は、左にいる1機の円盤を狙う!お前たちは私に魔力を送れ!」


「「「「了解!!」」」」


 隊長の男は、手に持っているランチャーを、左の円盤に向ける。周りの隊員は、魔力を彼に送り続ける。


「神よ、我が国、我が友、我が家族を滅ぼそうとする愚か者に、裁きの鉄槌を!第2階級能力魔法『火の鳥(フェニックス)』!」


 彼が呪文を唱えると、周りに魔法陣が浮かび上がる。そして、その魔法陣は一瞬で小さくなり、ランチャーに吸い込まれる。


 そして、敵に向かって打ち込む。その弾は、まるで獲物を追う鳥の様な炎を出し、敵の戦闘機はそれに飲まれ、爆発した。


「こちら瀬戸内第34航空魔導部隊。たった今、敵の戦闘機1機を撃墜した。これより、残る1機の追撃に向かう。」


『了解した。敵機は現在倉敷中心街上空だ。他の魔導部隊や自衛隊、岡山特殊防衛軍と共に迎撃にあたれ。それから、連中の狙いはクミライ学園だと解った。一応念のため、避難指示を出したが、できるだけ急いでくれ』


「了解!」


 隊長は命令を聞き、隊員と共に敵機のいる方向に向かう。その間も、敵機はクミライ学園に向かって進んでいるのであった。


◆◆◆◆


AM9:18 クミライ学園イベント広場


『で、あるからして、君たちには勉強以外にも、様々な事を……』


「ちょっとトモスケ」


 タカオはトモスケに話しかける。本来、人が壇上で話をしている時に私語をすると怒られるのが普通だが、誰も叱ろうとしない。それには訳がある。


「学園長の話、いくらなんでも長すぎでしょ……」


 あの学園長、あれからかれこれ20分間ずっと話し続けているのだ。しかも、終わる気配が一向にない。

 進行役の学生が止めに入るも、『まだこのメモの5ページも話は終わってないぞ』と言いながら百科事典並みの分厚さがあるメモを見せる。


 いったい何時間話し続けるんだ……?


 この会場にいる誰もがそう思った。


(長すぎるだろ……)

(帰ってゲームしてー)

(偉い人の話は長いって、はっきりわかんだね)


 タカオも含め全員が、長すぎて飽きてしまっていた。


 タカオは暇つぶしにと後ろを見る。すると、そこには忙しそうに移動し、武器を構え、大砲を北に向ける兵士の姿があった。


「あの兵士の人達は、何をしてるんだろう……」


 タカオがそう気にかけてると、1人の生徒がその横を通り過ぎた。その生徒は手に薙刀の様な物を持っており、長年戦い続けた者の気配を感じさせる。全体的には黒だが両目の上の部分だけは赤い髪、右は青で左は赤い瞳を、タカオはどこかで見たような気がした。これは、ケイタと会った時と同じ様な感じだ。


 何でだろう。初めて見る人なのに会った事がある気がするのは……。


 タカオは何故か考えようとしたが、それは大音量のサイレンの音に遮られた。


「こ、このサイレンは!?」


「国民保護サイレンだ!!」


『皆様、すぐに第2階層に避難してください!正体不明の飛行物体が迫って来てるとの情報が入りました!』


 それを聞いた人々は、皆一斉に逃げ出した。下の階層に降りる道は幾らでもあるので、そこに人が集まる。現在ここに集まってる人数は3万を超える。この下層に降りる道は1万人を想定して作られてるが、全員が降りるのには時間がかかりそうである。


 兵士達は、この事態を事前に聞いていたため、サイレンがなる前から敵機の迎撃の準備をしていたようだ。慌ただしく走り回り、魔法陣の様なものを作っている。恐らく、爆撃魔法を使うのだろう。


 だが、敵の進行は速すぎた。敵は、真っ直ぐ学園に向かって来る。タカオは爆発に備えて身構える。


 敵機がミサイルを発射した。このままでは5秒後には学園で爆発する。これを避けるには、奇跡でも起こすしかない。


 その時、一筋の光の矢がミサイルに向かって飛んでいった。


◆◆◆◆


AM9:20 東京 霞ヶ関 首相官邸


 2513年の首相官邸は、21世紀のものとはこれまた違う。要塞の様な構造になっており、対空ミサイルや戦車、魔導部隊を常に配置されていて、上空には戦闘ヘリが飛んでいる。


 その官邸の広い廊下を2人の男性が歩いている。その中でも背が高い方は、内閣官房長官の成東なると 冬弥とうやは、若くして数々の問題を解決に導き、内閣の人間の中では今もっとも国民からの人気が高いといわれる。


 彼は、隣にいる補佐官から資料を受け取る。そこには、『第5次岡山襲撃事件に関する資料』とかかれており、彼はこれから記者会見に臨むようだ。


 会見の会場には、マスコミ関係者の他に、招いても無いのに来た厄介な連中がいる。


「戦争はするなー!」

「兵士は皆殺しにしろー!」

「戦争国家は滅べー!」

「戦争するぐらいなら、戦わずに死ぬほうがまだましだー!」

「日本はすぐに人類連合の支配下になれー!」

「平和の為に行動しろー!」




「成東官房長官、またあの宗教の連中が来てますね。どうしますか?」


「一応、いつでも潰せるように準備をしろ。

 にしても、あの連中はよくもまあ平然とした顔で『兵士を皆殺しにしろ』なんて言えるよなぁ。あいつら、平和とか何とか言ってるが、兵士皆殺しの時点で平和的思想じゃねえだろ……。だから、愛国団体だけじゃなく頭の中お花畑の平和団体からも嫌われてるんだよ」


「そうですね……。ところで、岡山県の今の戦況はどうなっているのでしょうか?やつらの戦闘機を撃墜できたのでしょうか?」


 補佐官が成東にそう聞く。だが、成東は余裕そうな表情をしている。


「確か君はクミライ地区出身だよな。なら、彼の存在を知ってる筈だ」


「彼、ですか……。確かに、彼ならやりそうですね」


「そうだ。そのため、総理も既にこの件は解決済みだとしているそうだ。と、そろそろ会見が始まる。君はあの宗教団体を見張るように」


 そう補佐官に言った成東は、会見場に足を踏み入れた。


◆◆◆◆


AM9:20 クミライ学園イベント広場


 もうダメかと思った。ミサイルは学園に向かって飛んできて、誰もが死を覚悟した。


 ただ、1人の少年を除いて……。


 タカオはステージに誰かいるのに気付いた。それは、あの薙刀を持った少年だった。


 その少年は、何か呪文を唱える。


「我、運命さだめに抗う者。神よ、我に力を……」


 そこまで唱えると、周りに見たこともないような魔法陣が現れた。それは、ミサイルに向けて一直線に繋がっている。


「神よ、世界を破壊し、人を壊す者に、裁きを……!第1階級能力魔法『羽々はばきり』!」


 少年は、能力魔法を使う。能力魔法とは、魔法と違い、出せる人間がこの世に数十人ぐらいしかいない魔法の事である。さらに、階級が10まであり、数字が低くなればなる程能力魔法の力は凄まじいものとなる。


 少年は第1階級能力魔法を使った。これは、能力魔法の中でも特に強い部類に入る。


 第1階級能力魔法『羽々斬』。それは、日本神話でヤマタノオロチを斬ったといわれる天羽々斬が元となっている。

 魔法陣の中を燃え盛る剣が通る。その剣は、ミサイルを爆破し、その後ろの飛行物体に迫る。


『くそっ!撤退する!』


 飛行物体は慌てて逃げ始める。だが、剣はそれを追いかけ、飛行物体に追いつき、爆発した。




「凄いな、これは……」


 飛行物体を追いかけていた魔導部隊は、飛行物体が爆発する様をこの目で見た。爆発した飛行物体からは塵一つ残らず、中にいた乗組員も即死だろう。


「凄すぎる。あの少年の力は、噂通りだな」


「隊長、あの少年はいったい……」


「ああ、あの少年は……」




 タカオは凄いものを見た。有り得ない程の力の能力魔法を使い、敵はそれに為すすべがなく、一瞬にして爆発した。


「か、彼はいったい……」




「彼は、ジンタク。日本の長い歴史の中でも類を見ない最強の兵士だ。彼がいたら、9年前の戦争も、結果が変わってたかもな……」




 ジンタクは、近くで腰を抜かしてるタカオを無視して、その場を離れる。


 タカオにとってそれは、今後の人生を左右するものだった。


◆◆◆◆


 ここは、どこの国にも属さないエリア。そこを統治している組織は人類連合と名乗っている。


 その中にある巨大な建物。、東京23区よりも広い面積と、天を貫くような塔。その一室、会議室のような場所で、何人もの男が、テレビを見ていた。それには、日本の成東官房長官の記者会見が映っていた。



『以上の事から、この度の岡山県を狙った侵略行為には、あの組織が関わっているとみています。なお、敵機の爆撃は完了しましたので、先程まで出していた避難指示は解除しました。この度の行為は許されるものではなく、これからもあの組織の侵略行為には、各国と連携して対処していきます。それでは、質問に移りましょう。では、そちらの方から』


『日の本新聞の木城です。この度の武力衝突は、ただちに戦争に直結するものでしょうか?』


『その心配は無いものと考えています。ですが、国には国民を守る義務があるため、防衛費の増加はするでしょう』


『京阪都市新聞の難波です。まだ敵の組織は攻めに来ると思いますか?』


『恐らく、また攻めに来るでしょう。あの組織は年に10回は来ますので。それから……ブツッ』


 テレビはここで切れた。この部屋にいる最年少の男が切ったのだ。


「作戦は失敗ですか……。まあ、成功するとも考えていませんでしたが」


「どうしますか。既に日本の外交官から説明を求められています」


「いつも通り追い出しなさい。日本如きに説明する事などない」


「分かりました」


 若い男が命令すると、他の男は部屋から出た。


 その後すぐ、1人の青年が入ってきた。この場に似合わないような服装をしており、邪魔なテレビを蹴飛ばしながら、若い男に近付く。


「よう、無様だなぁ、てめえら。わざわざ俺様が付いてるのに、ジンタク如きに負けるとはなぁ、ヒャハハハ!」


「相変わらず口が悪いですね。人壊ジンカイさん。」


「へいへい。それよりも、てめえらは弱いなぁ。これじゃあ日米ロ中どころか、高麗帝国すら潰せないだろ。」


「それよりも人壊ジンカイさん」


(無視かよ……)


「我々は既に次の作戦の用意をしています。決して、邪魔だけはしないでください」


「分かってるよ。ヒャハハハ!」


 人壊ジンカイは話すことが終わったのか、部屋から出る。廊下で、口元を歪ませながら、笑いを堪えるように独り言を呟く。


「ゴミ同士の戦い、楽しませてもらおうじゃねえか……!ヒャハハハ」


 その後、人壊ジンカイはこの場から姿を消した。まるで、この世からいなくなったかのように……

 本編の次の更新は、4月15日となります!たぶん設定集や番外編を途中で投稿する事になると思いますがね

 それでは、また来月にお会いしましょう

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