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07.お茶に誘ってみよう

ゼフィリーは第一印象で誤解されるタイプ、ただし少し話せばどんどん上方修正されて、結果的にフレンドが多いタイプ?というイメージで書いてます。

上手く書けていたら嬉しいのですが。

 07.お茶に誘ってみよう


 冷静になって考えてみれば解る。

 いや・・・ゼフィリーにも本当は、最初から半分わかっていたのだ。

 ナインとアルリールの二人もBABELで長い。

 姫プレイヤーや、それによる人間関係のトラブルは嫌という程見てきたし、直間接的に巻き込まれそうに成った事とてある。


 そんな二人が、あっさり騙されるはずがない。

 仮に人の良いナインがバカっ正直に騙されたとしても、アルリールが・・・あの『氷の魔女』が、利用しようと腹の底で考えながら、外見で媚を売ってくるような相手を、見抜けないはずも、冷たく突っぱねないはずもない。


「嬢、ウチと一緒にレベル上げとか行かへん?」


 震える声を、無理にも抑えつけ、顔に笑顔を浮かべて見せながら。

 ゼフィリーはなんとか俯けていた顔を上げ、軽い調子で如何にも普通を装って声を掛けた。


 対するベルティータはといえば、小首を傾げ何処かぎこちない仕草で呼び出したステータスカードを、ゼフィリーに見せる。

 それが、フレンド登録をする際に交換するもので、つまりはフレンドになりませんかという誘いの行為になると理解しているために、何処か恥ずかしそうに。

 カードの名前欄を小さくつつくようにして自分を指さし、その横にあるレベル1の文字をつついて同じ仕草を繰り返す。

 自分はレベル1で、役に立たないと言っているのだと、直ぐに理解しながらも、ゼフィリーはそのステータスカードから、目を離せずにいた。


 それは、違和感の詰まった箱だった。


 名前欄は、文字も記号も半角スペースすらなく完全な空欄で、アルファベット二文字に略され表記される職業欄は『SP』

 トッププレイヤーであり、自身が特殊個体特有の職業を選んだゼフィリーをして、見た事も聞いた事もない代物。

 その上、種族名に関しては更に酷く『???』と、誰がどう見ても、データがバグっている。


 ぱっと見ただけでそれだけ異常な所があり、設定年齢の4才という部分がおかしいと・・・頭が感じてくれない。

 寧ろ、頭が回ってしまうことを危険だと、本能が警報を鳴らしている。

 この箱は、開けてはいけない呪いの箱なのだと。


 しかし、一度疑問を持ってしまえば、その呪いからは逃れられない。


 職業欄の『SP』という物が、単に特殊の略でないとしたら?

 目の前の少女は見るからに、敵性種族のダークエルフだ。

 それならば『S』というイニシャルの意味はわかる

 NPCのダークエルフが魔法を使ってくることを考えても、精霊術の類を使うシャーマンのSだろう。

 であるのなら白黒の魔法使いのように、初期装備の杖を持っていなくともおかしくはない。


 初期・・・装備品


 そこまで思い至ると、ひとつの可能性が思い浮かぶ。

 違う・・・思い浮かんだのではない。

 必死に目をそらそうとしていた現実に、足首を掴まれたのだ。


 アルリールに言われた言葉の意味

 目の前の現実を直視して、そのままの現実を自分自身の答えで

 卑怯者にも、臆病者にもなるな、と。


 『S』というイニシャルが示すもの、それがSLAVEの『S』だと認めた先に




 唯の特殊個体――自分と同じだと侮っていた貴女は、どんな答えを導き出すのか、と




 わかっていなかったのは、アルリールではなくゼフィリーだったのだと知った後。

 ベルティータの虐待された姿を見て、どれだけ見当違いなことを自分達に口にしていたのかを知って尚。

 そこから逃げるなと、アルはゼフィリーに釘を指していたのだ。


「えと・・・ゼフィリーさん?その子誘っても無駄だよ」


 唐突に掛けられた声に、泥沼に沈みかけたゼフィリーの思考が途切れた。

 遠巻きに二人を囲んでいた群衆の一人が、おずおずと近寄って来るのを、ゼフィリーの黒瞳が細まった目の中を動き、相手を鋭く睨みつける。

 視線の先で、小さく身体を震わせ立ち止まったのは、茶色の髪を片方小さく結んだ、子供っぽい外見の人族の少女。


 服装と雰囲気からしても、まず間違いなく白魔法使いだろう。

 ゆったりとした感じの明るい色のローブなど、他の職業であればまず間違いなく有り得ない。


「無駄てな、どういう意味や?」


 相手に当ってもしょうがないとはわかっていた。

 寧ろこの状況で、見ず知らずの自分に――ダークエルフの少女と一緒にいる相手に――声を掛けてくれるなど、余程勇気を振り絞ってのことである。

 かなりお人好しな、親切な相手なのだと頭で理解はしても、声が低くなり険がこもってしまうのは止められなかった。

 相手が目に見えるほど大きく体を震わせ、目に怯えの色を浮かべるのを見て、自分の両頬を挟むように一度叩き気分をリセット、頭を掻きながら苦く笑う。


「すまん、ほんとごめんな、態々親切で教えてくれとんのに。

 もちっと詳しゅう話し聞かせてもろてもええ?出来ればこのちびっ子と一緒に、オススメの喫茶店かどっかで。

 嬢、レベル上げの前に、ウチにナンパされたって」


 言うなり手を握ろうとして、あまりの身長差に手をつないで歩くことが、物理的にむすかしいことを理解し

 特に深く考えることもせずに、その小さな体を軽々と肩車して・・・蹲る。


「その前に服屋よってもええか?

 嬢、始めたばっかの初心者で何もわからんのも、金持っとらんのもわかる。

 やから、ウチが買うてやるから服着替え。ウチも今まで結構凄い戦闘経験してきたが・・・血生臭くて目眩するてな初めてや」




 ☆ ☆ ☆




 脚をぶらぶらとさせながら、両手でグラスを抱えるようにして、そこから伸びるストローを咥えて薄桃色のスムージーを、少し顔を赤らめながら吸い込む。

 一旦口を離して、ストローでグラスの中をぐるぐるかき混ぜてから、再びストローを咥えると、今度は幸せそうに笑みを浮かべて、やはり少し顔を赤らめながら喉を鳴らす。


 そんななんでもない日常の光景も、ダークエルフの幼い少女が行うと、非現実的なほどの愛らしく見える。


 二人してぼーっと眺めて、口元がだらし無いほど緩んでいることにはたと気づき。

 何となく気不味くなって、ゼフィリーと白魔法使いの少女ミリアは、お互い誤魔化すように笑い合う。


「な、なんかちょっと暑いですね・・・あはは」


 手で顔を扇ぎながら、視線が落ち着きなく揺れるミリア。

 今まで自分より年齢設定の低い相手を、これほど間近でじっくり見たことがなかったのだろう。

 活発そうな見た目ながらも照れ屋なのか、肩口で揺れる茶色の髪が柔らかく広がり、覗いた首筋も桃色に染まっている。


「そやな、それにしても・・・こんだけガラガラで店やってけるんか此処。最近良く見る、外資系のコーヒーショップにおされた喫茶店みたいやんか」


 ミリアに視線をまっすぐに送れず、ゼフィリーもあらぬ方に向けた視線で、店内の様子見たままを口にする。

 三人が陣取ったのは店の端の方のテーブルだが、周囲には結界でも貼ったかのように人がおらず、遠く反対側の端に数人の客が居るのみ。

 その客から刺さるような視線を受け、そういうことかとゼフィリーも悟る。

 それは嘗て自分に向けられた、奇異と好奇と妬みの視線とは、似て非なるものであると。


「え?お姉ちゃんにもくれるの?」


 ゼフィリーが声の方に視線を向けると、小さな手でスムージーの入ったグラスを差し出すダークエルフの少女、誤魔化しにミリアが口にした言葉に素直に反応したのだろう。

 完全に素でそう問いかけたミリアの反応に、一瞬驚いたように僅かに目を見開いたが、首を傾げて逡巡し何か納得したような表情を浮かべ、ニッコリと頷き返す。


 まぁ、本人が納得したならええけど、ミリアは完全に素で子供扱いしとったな今。


 苦笑いを浮かべつつ、この街にいるということはミリアも低レベル・・・つまり経験の浅い初心者であることに思い至り、そういう遊び方もありかとゼフィリーも口を出すのを止める。

 美味しいねー、などと明らかに小さな子供相手の対応になっている、優しい笑顔のミリアにも和まされ、見守るように二人のやり取りを眺めていると、ゼフィリーの目の前にも汗をかいたグラスが差し出される。


「お、ウチにもくれるんか?ありがとうな」


 差し出されたグラスに顔を寄せ、ストローを咥えて一口吸い込むと、口の中にほんのり甘みと苺の香り、ひんやりした感覚が広がっていく。


「なんかそうやってる所を見ると、親子みたいです」


 唐突に投げられたミリアの言葉に、ゼフィリーはむせ込みかけるのを何とか耐え。

 ストローからゆっくり口を離し、ダークエルフの少女の頭を撫で、撫でているのと同じ色の髪を揺らしながら、顔だけをミリアの方に向けて、にこやかに話しかける。


「自分はねぇちゃんで、ウチはかーちゃん・・・

 それはアレやな、ミリアはウチのことババ臭い大女て思っとる、ちゅうことやんな?

 宣戦布告やな?そうやろ?運営もたまには気の利いたことやるなPvP実装するなんて」


 ゼフィリーに、実に楽しげな声色でにこやかに凄まれ、赤らんでいたミリアの顔が一気に真っ青に変わる。

 両手を振り、同時に首も振り、涙目で必死に否定しながら

 自分がトラの尾を踏んでしまったのだと遅まきながら悟ったミリアは、恐怖に震えながら


 ゼフィリーさんは、微妙なお年ごろ?


 などと、頭の片隅でぼんやりと考えている自分が居ることに気づき、人間の頭の構造って凄いなぁなどと、のんきに感じていた。




「んで、無駄言うてたけど、どうしてそういう結論になったん?」


 咳払いを一つしながら、そう切り出したのはゼフィリー。

 まだ低レベルのミリアが見たこともないような、スキルや強化魔法を見せつけるように自分に掛けて。

 腕を大きく回しながら、肉食獣の様な凄絶な笑みをその美しい顔に浮かべながら、顎で店の直ぐ目の前にある表通りを示し。


 『そんなに怖がらんでも、5,6回しか殺さへんて』とさんざん脅したのだ。


 ちょっとやりすぎたかなと反省するまでの時間が、ミリアの現実逃避能力や恐怖に対する許容限界をあっさり乗り越えた結果、ミリアは未だに目の前でぐったりとテーブルに上体を投げ出している。

 そんなミリアの頭を、テーブルに手をついて身を乗り出しながら

 先程までミリアが完全に子供扱いしていた、ダークエルフの少女の小さな褐色の手が、子供をあやす様に撫であやし。

 その、服というのも憚られるスモッグ状のボロ布の裾を、ゼフィリーが慌てて手で抑えた。


 この店に来る前、服屋に行って服を買い、その場で着替えさせようとしたのだが、予想外に少女は逃げ回り。

 店の中で転がり、捕まえたゼフィリーから逃れるために、掴まれた服を身代わりにしてまで逃げ。

 狭い隙間の手の届かない奥の方に逃げ込んで、半裸で籠城戦を始めた幼いダークエルフの少女は、どんな説得にも応じず。


 ミリアはミリアで、ダークエルフの少女ではなくゼフィリーの方に、本人が嫌がっているからと強く説得をしだし・・・

 結局、根負けしたゼフィリーが、無理に着替えさせようとしないと約束するまで、出てこようとしなかった。

 結局もとのボロ布をいそいそと頭からかぶって、服屋は商品をひっくり返されただけという酷い営業妨害をされて、嵐のような三人組は何も買わずに店をでていき、ダークエルフの少女の評判が、NPCから少し悪化するのに貢献しただけに終わる。


「えっと、この子がまずレベル上げに興味が無いみたいなんです。

 その・・・今はみんな遠巻きにしてても、最初はこの子に興味があって、パーティにも結構誘われてたんです。

 レベル差はあったかもしれないけど、みんな親切で色々教えてあげようって思ってたと思います。

 この子も、誘ったらパーティに入ってくるんです・・・でも」


 酷く言いにくそうな表情で顔を俯け、ミリアは下から伺うようにゼフィリーに目を向ける。

 それに無言で頷くことで先を促すと、ミリアは一度大きく深呼吸をして頷き返す。


「実際に見てもらった方が早いです。

 ごめんね、嫌なのは解るんだけど、ちょっとこれ持ってくれる?」


 ダークエルフの少女に泣きそうな顔でそう声を掛けて、自分の帯に差していた短いワンドをテーブルに置く。

 そんなミリアの頭を小さな手で一度撫で、大丈夫だよとばかりに微笑むと、ダークエルフの少女は恐る恐る手を伸ばし・・・指先がワンドに触れる寸前で、鋭い音と共に指先で黒くスパークし、手がはじかれた。


 伸ばしていた指先を逆の手で握りしめ、苦痛に絶えるように強く目をつぶっている少女に、ミリアが直ぐさま低級の治癒魔法を諳んじて唱え、今度は柔らかい光が指先を包み込むと、ようやく少女の顔から苦痛の色が消えて行く。


「何やいまの!?」


 レベルキャップまで育てたゼフィリーが、今まで見たこともない現象。

 最も近い物をあえてあげるのなら、静電気を十倍以上派手にした感じといえば解りやすいだろうか?


「武器だけじゃなくて、装備品はみんなこの子に弾かれちゃうんです。

 だから、さっき服屋で逃げまわってたのは、そういうことなんだと思います。

 私はてっきり服は着てるから平気なのかと思ってて、だから服屋に行くのも止めなかったんですけど、この子の嫌がり様からして、多分・・・

 それと、もう気がついているとは思いますが、魔法も使えません」


 直接的な表現を避けて伝えるミリアは、先ほどの素の反応を見ても分かる通り、街の他の連中と比べるまでもなく、ダークエルフの少女に対して好意的なのだ。

 他の者達であれば、ダークエルフの少女本人を前にして、何ら気遣うことも躊躇うこともなく、ゼフィリーに向かいこう告げただろう。




 だって、ソイツ喋れないでしょ?と




 BABELでは、通常の会話はもちろん音声入力だが、魔法の使用には先ほどミリアがやってみせたように、呪文の詠唱が必要である。

 たとえ武器を持てなくとも、パーティの皆に守られながら魔法で援護することが出来れば・・・

 そう、先程ミリアが使った一番弱い治癒の魔法でも使えれば、まだパーティの中に居場所も有る

 現に、姫プレイをしている者ですら――上手い下手も、計算も思惑も色々あるものの――回復やらサポートでパーティに貢献するのだ。


 それすら出来ないダークエルフの少女は、完全に唯のお荷物。


 完全な寄生でも構わないと言う奇特な人間は、実のところ現実的にはほとんどゼロである。

 相手が元々友人で、諸々の事情があるだとか

 相手に良い所を見せようだとか

 そこには、何らかの思惑が無い限り成立しない、と言っていい。


 少なくとも、レベル上げと言う行為に対し、効率性を求めている者にとっては、お荷物は自分の足を引っ張る者として嫌悪する対象。

 もっとも、そんな者にとっては見るからに役立たずのこの少女は、見えている地雷で無視するだけな筈のだが・・・

 

「ん?そんじゃなんで嬢の服はこんなボロカスなってんねや?」


 ただ無視すればいいだけの対象に、態々関わる必要がない。

 ならば何故他のプレイヤーがこの少女に攻撃的である必要がある?


 そう疑問に思ってしまうほどに、ゼフィリーは理知的で真直ぐな人間であった。


 集団での妬みやそねみに拠る八つ当たり、と言う発想がゼフィリーには無いということ。


「それは・・・この子が街の外に行くと、敵の湧き時間が異常に成るんです。

 それも、他のパーティには目もくれず、この子のいるパーティだけを標的にして襲ってきて。

 少し時間が経つと、どこからとも無くダークエルフのパーティが・・・」


「マジかっ!?」


 大マジです、と頷くミリアが、何処か諦めた顔で既にぬるくなってしまったコーヒを啜る。

 

「私が組んだ時は、たまたま高レベルの人が通りがかって、助けてくれたんですけど。

 私達が逃げる為の時間を稼ぐのが精一杯って感じでした」


 ダークエルフは敵の上位種で、通常であれば中レベル後半のパーティで、なんとか一体を倒し切る程度の相手だ。

 魔法も使う上に、回復役や防御が低く体力も少ない魔法使いから狙ってくるという、人間さながらの厄介な行動を取ってくる為、レベル上げの獲物としての選択肢には通常入れられない。

 廃レベルの者であれば、一対一でも勝てるかもしれないが・・・それも職業による上、敵の個体差にも大きく左右される。


 今もって『この種族のこの職業で、このやり方であれば勝てる』と言う攻略法が確立した、という話は聞かない、そんな厄介きわまる敵である。


 それが、パーティを組んで来たのであれば、高レベルでも一溜まりもない。

 低レベルのこんな街に居る連中なら、尚の事だ。

 逃げる時間を稼げたということが、『たまたま通りがかった』者達がただ者でないことを示している。


 つまりは、そういうことかい・・・


 そん時にパーティさそったんがミリアで、助けに入ったのがアルナイ・コンビって訳やな。


「つまり、嬢を連れてったパーティは大惨事、その他のパーティは狩りにならんから、誰も嬢を誘えんと」


 それが一週間以上経っても、ダークエルフの少女・ベルティータがレベル1のままな謎の正体。


 寧ろ一週間以上も、さほど広くもない街から外に出ず、街中をうろつく犬や猫を追いかけて過ごし

 不当な暴力を不特定多数から振るわれながら、笑顔で過ごせる事がゼフィリーには信じられなかった。

 椅子に座りながら脚をぶらぶらさせて、空になったグラスを望遠鏡のように構えて、楽しそうに周りを見回している少女に、真っ直ぐに向き直り真剣な口調で語りかける。

 

「なぁ嬢、まだレベル1なんやしキャラクター作りなおしたらどうや?

 そーすりゃ何のハンデもなしで皆とパーティ組めるし、何の不自由もなくレベル上げ出来る。

 はっきり言うとな、そのハンデ抱えたまま続けても、きっと嬢自身が辛いで。

 ウチもランダムでこんなナリ引き当てとるから、多少なりとも苦労はわかってるつもりや」


 ゼフィリーは、自分をグラス越しに見ていた吊り気味の大きな目が、更に大きく見開かれ


 その真中で、金色の大きな瞳が・・・酷く傷ついた色を浮かべていく様を、真正面から見てしまった。


 2012.11.29

 2016.09.15改

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