とある艦魂の明晰夢
年明けすぐにあげようと思いましたが、内容がアレだったので、少しあとにしました。スイマセン
※注意
この短編は「新大東亜戦争記」の番外編となりますので、まだ其方を読まれていない方は其方の方を読まれてからで、お願いします。
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目を開けるとそこは少し広い部屋だった。
そこにはたくさんの……そう、ほんとに男女問わずいろいろな国の人が飲み物や食べ物を楽しそうに食べながら話している。
「…………」
私はまたかと思いながらその中をただ一人歩く。誰も私に気づかない、脇を通りすぎても、試しにその人に触って見ようともだ。
そうこうしていると、私はその騒いでいる集団の中で一番騒がしいところに辿りついた。そこにも先ほどは少し違い女性だけだがいろいろな年や国の女性達がおしゃべりしている。
彼女達の雰囲気や喋っている内容から誰かの歓迎会をやっているようだ。
その時、一人の髪の毛を一つに結った女性が主賓と思われる女性に飲み物を渡そうとした。私はそれにつられてその先にいると思われる主賓をみる。
そこにいたのは、金髪の十五歳ぐらいの少女だった。多分ハーフだろうか顔立ちは日本人に近かった。彼女は周りの女性達の雰囲気に少し飲まれ掛けていたが楽しく談笑している。
「ああ…やっぱり……」
わたしの中でこれが夢なんだろうと、確信に変わる。そう、そこにいた少女には見覚えがあるからだ。
先ほどの女性が再び彼女を呼ぼうと彼女の名前を言う。私はその女性の声と一緒に彼女の名前を呼んだ。
「『赤峰』」
そこに居たのは紛れもない昔の自分だったからだ。
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突如頭痛がおきて思わず目を閉じた。
すぐに開けたが、その時には私は先ほどとは別の場所に居た。
目線の先には「私」が艦内の通路を歩いていた。私はその後ろを付いていく。
その時「私」は前から来た大柄の男性にぶつかってしまった。
『っきゃ!!』
「私」は思わず倒れてしまった。
私は何もせず彼女の後ろから見ているとぶつかった彼が「私」に手を差し伸べながら、しかし顔はとても不思議そうな顔をしながら
『大丈夫かい? お嬢さん??』
その瞬間「私」は驚きながら彼の手を取った。
彼に手を取られながら「私」は起き上がった。
『あ、ありがとう…ございます……それと…ごめんなさい……』
『構わないよ、ぶつかってしまったのは私だしね、ほら』
彼はポケットからハンカチを出すと彼女に渡した。
『??』
『ほら、これで汚れをおとして』
戸惑っている「私」に彼はそう言った。
「私」は少し赤くなりながら埃とかを落とした後、彼に返した。勿論、感謝の言葉も添えてだ。
『どういたしましてっと……ところで君は何でこんな船の奥深くに居るんだい? 理由によっては艦長室に連れて行かなきゃ行けなくなるけど……』
彼は頭を掻きながらそう言ってきた。
『……』
「私」は言うのに戸惑っていた。
それはそのはずだ。本来なら自分たち艦魂は普通は見えないし、見える人もものすごく少ない上、その見える奴の大体は才能や霊感がある程度あるやつぐらいしかいないのだ。
『義龍』
『へ?』
『私の名前は深沢義龍さ。無理に言わなくてもいいからさぁ君の名前を言ってみて』
「私」はキョトンとおどろいた顔しながら彼の顔を見た。
彼は笑いながらそう言う。
『……信じてくれる?』
『まぁ内容によってだけど……』
「私」がそう聞くと何か微妙な回答が帰ってきたが「私」は彼に言った。
『は、はじまして深沢さん。私はこの戦艦『赤峰』の艦魂の赤峰です』
『はっはっはっは、そうか宜しく、赤峰ちゃnってえぇぇぇえええええええ!!!??』
『ふえっ!?』
彼の驚いた声に「私」も驚いてしまった。
これが二人の物語の始まりだった。
私はその二人を見ながら微笑んだ。
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『ふかざわさ~ん! きましたよ~!!』
『お、赤峰来たか、じゃあ食べるか』
『はい!』
再び頭痛が起きまた私は思わず目を閉じた。そして、その声に惹かれて私はゆっくりと瞼を開けた。
そこには「私」と義龍が露天艦橋で持ち寄ったお昼ご飯を食べようとしてそれぞれ持ってきたモノを出していた。ついででいうと義龍はおにぎり、「私」は……よく分からない物体を持ってきていた。
『な、なあ赤峰……これはおにぎりだよな?』
義龍は彼女に悟られないように何となく聞く。
『はい!!』
「私」は元気よくそう答えた。
彼は『お、おう…』といって少し黙った後、
『誰かに手伝ってもらったのか?』
義龍は少しぎこちない顔で「私」に話しかけてくる。
「私」は満面の笑みで一言。
『北村さんが手伝ってくれました!!』
『あ の や ろ う』
「私」がそういうと義龍は額に手を当てながら今頃は腹を抱えて大爆笑している親友に対して呪詛を少しだしていた。
義龍はもう一度赤峰の持つ風呂敷にあるおにぎり(ダークマター)見た。
それからはなぜか緑色の瘴気みたいなオーラみたいなものが出ているのを少し離れてみている私からも確認できる。
『あ、あの何かまずいことやってしまいましたか??』
「私」が少し少し涙目になって義龍の方を見る。
その時の「私」はテンパっていて気づいていなかったが義龍はちょうど「私」の表情が涙目+上目使いが彼にクリンヒットしたいたらしく「私」の声に反応することなく口をポカンと開けたまま固まっている。
......彼らに触ることが出来たなら今、思いっきり義龍をぶん殴りたい……。
一方私は目をぐるぐる回しながら化学兵器と固まったままの義龍の顔を交互に見ている。
実際何故あの時「私」はこのあまりにも固まっている義龍に対しても、毒々しい色や瘴気をだす化学兵器を作り出した北村に対しても疑問を抱かなかったのかが地味に今でも私自身不思議に思う。
そのあと現実に戻ってきた義龍が結局化学兵器をたべて医務室に運ばれたことは割愛させてもらう。
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また、突如頭痛がおきて思わず目を閉じた。
すぐに開けたが、その時にはまた私は先ほどとは別の場所に居た。
目の前には結構月日がたっただろうか十七、八ぐらいの「私」が私の艦内にある艦長室に向かっていた。
「私」は走って向かっているのだが、本当なら「転移」を使った方が断然早いのだが多分使わないのは義龍を驚かしたいのだろうと適当な結論を出して私はついていく。
そんなことを考えていると「私」は艦長室の前についた。そして「私」はドアをノックせずに勢いよく開けながら
『義龍さ~ん!遊びにき―――』
そこまで言うと「私」は固まってしまった。私も続いて中をみるとそこには…
『zzzzzz』
『ひっ、ね、姉さんこれは』
蒼峰が倒れかかっている義龍を一生懸命支えていた。
倒れかかっている義龍の目の下はここ数日の徹夜ために気を抜いてしまったため蒼峰に倒れかかるように寝ていた。
ドコッ!!
『ぎゃ!?』
艦魂の馬鹿力で殴られた義龍が思いっきり床に顔を打ち付けた。
義龍は一時、その場で痛みに悶絶した後、勢いよく立ちあがった。
『な、いきなり何をするんだ赤みn』
『天誅!!』
ベキッ!!
『ぎゃぼふ!?』
割と本気の右ストレートが決まった義龍は奇妙な悲鳴を上げた後、その場に力なく倒れた。
「私」はそのまま怒って立ち去った。
このあと誤解も解けて、仲直りして互いのことを「義龍・あかね」と呼びあうになり、さらに二人の仲は親密になった。
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また、頭痛がおき目を閉じる。
痛みもすぐに治り、目を開けるとまた場所が変わっていた。しかし、そこはいつも見る夢と違った。
『もうすぐ始まるな』
『しっかり警護してくれよ、深沢君』
『身を挺してでも守れよ、義龍』
『はっはっはっは、わかっています』
『ほら、義龍いくぞ』
目の前にいるのは三十過ぎくらいの義龍と北村とを見ると四、五十歳ぐらいの男性がいる「私」は、いない。
二人は目の前に建っている舞台のそでから演説しようとしている男のななめうしろに立った。
周りを見渡してみると場所はどこかの公園である。
舞台のかけられている看板には、「松林秀元外務大臣演説」と書かれていた。
突然拍手が鳴り響く、先ほど義龍たちと話していた男が壇上出てきて演説を始めた。
彼が松林外相だったのか。
「(今まで、見てきた夢は「私」がいて私の記憶を私が見ているという感じであった。でも、この場所には私は、一度も来たことがなかった。・・・・・・多分この映像は義龍の記憶なんだろうなぁ)」
その演説を見ながら、私は何となく感じた。
松林の演説は佳境に入り、会場小野ボルテージもだいぶ上がってきている。
義龍を見る。
義龍は松林の演説を聴きながらも周りを警戒していた。しかし、ほかの警備の人たちは松林の話に聞き入ってしまっていた。
松林は天高く腕を突き上げる。それとともに会場のボルテージも最高潮になった。
その時、一人の青年が人ごみをかき分けて最前列に出てきた。その青年はポケットから拳銃を出して、松林に狙いを定めた。
周りの警備は気づき、彼を止めようと走るが気づくのが遅れた。間に合わない。
林も気づいた。しかし、彼はすでに松林に銃口を向けている。さらに松林は腕を高く上げていて避けることができない。何もかも気づくのが遅かった。
乾いた音が四回、会場に鳴り響いた。
突如の銃声に会場はパニックになった。
青年は四回目の発砲の直後にたどり着いた警備のタックルを受け倒れた。
私は松林を見る。
彼は床に倒れていたが弾が掠っただけで軽傷だった。
しかし、
彼の上には血を流して倒れている義龍が倒れていた。
『深沢君!?』
『「義龍!!」』
北村が駆けつける。
松林はほかの警備に引っ張らられて、壇上から退場した。
『早く、救急車を呼べ!』
ほかの警備が叫ぶ。
しかし、義龍の傷は三か所、更に一発は胸にあたっていた。
『ここから、一番近い病院は!?』
『えっと・・・・・・仙都海軍病院です!!』
『なら車で運ぶぞ、救急車を待ってる余裕はない!!』
『はい!!』
そういって、彼らは義龍の運び始めた。
私はずっと動けなかった。そしてわかった。これは義龍が死ぬ事件「西京公園事件」だと。
また頭痛がして、視界が暗転した。
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再び目を開けると、病室であった。
目の前のベッには義龍がいた。意識は戻っているが、目で見てわかるほどに衰弱していた。
その横には、北村が座っていて義龍と話している。その顔はどこか苦しそうに見える。
また、「私」はいない。今この部屋には私と義龍、北村、そして看護婦がいた。
『いまお前なんて言った!?』
『・・・・・・・』
突如、北村が義龍の胸ぐらをつかみあげた。義龍は黙っている。その眼は少しうつろになっている。
『――――私は、もう、もた、ない』
その言葉に北村は今まで見たことがないくらい怒りで満ちた顔になる。
私も看護婦も反応できなかった。私がびっくりしたのは、北村がこんな怒りだけ行動をしていることを今まで見たことがなかったからだ。
『――――私は、もう、もた、ない・・・・・・だから、お前、に、託す』
『この大ばか野郎が!!』
北村は義龍を何度か殴る。義龍は抵抗しない。
看護婦は止めようとが駄目だった。
『こんなとことであきらめる気かよ!! お前がここで死んだら、この国はどうなる!? お前の大切なものは・・・・・・アカネはどうすんだよ!!?』
北村がそういいながら、また拳を振り下ろした。
その時、義龍の目に光が戻り、北村の拳を受け止めた。
『――お、れっだって・・・・・・』
『あぁ!?』
『まだ・・・・・・いき、たい』
『なら生きようと努力しろよ、お前はそんな簡単にあきらめような奴じゃないだろ!!』
北村はさらに怒鳴る。
義龍はそれに臆さない。
『お前、だって、わかって、るだろ』
『何がだ!!』
『俺の、体が、もた、ない、ことを』
『!?』
北村の顔が驚くが義龍は続ける。
『た、ぶん、ま、やくで、痛み、をやわらげて、いる、だけだろ。わかるん、だよ、馬鹿が』
義龍は笑う。
反対に北村は義龍の言いたいことと実際そうであることを知っているためにどんどん暗くなる。激情を抑えられているのか拳からは血が出ている。
義龍が言いたいこと、それは
「私はここで死ぬ」
という言葉だった。
北村は義龍を離した。
看護婦はすぐに義龍の容体を確認する。北村は本気で殴ってはいなかったらしく、あまりひどい傷にならなかった。(まぁ元から危篤相手に何やってんだよって話だが(笑))
また、頭痛とともに視界が暗転した。
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視界が戻った直後「私」が転移して義龍の病室に入ってきた。
看護婦と北村が驚くが、義龍は至って冷静だった。
『義龍!!』
「私」はそういって義龍に駆け寄る。
『よかっ、た、間に合った、ようだ』
義龍がそういう。しかし、その眼は先ほどの北村とケンカしていたときよりも、ずっと霞んでいた。
「私」は一生懸命話しかけているが、その双眸からは幾筋の涙が流れ出ている。
彼女もわかっているのだ。私も、その時そうだったから。
義龍はそういって「私」の頬に右手をそっとあてる。
「私」はその手を握る。
『泣か、ないで、くれ・・・・・・あかね』
『無理、だよ・・・・・・よしたつ。ずっと・・・・・・ずっと一緒にいるって言ったじゃん。逝かないでよ、ねぇ、置いていかないでよ、一人にしないでよ、よしたつ・・・・・』
その言葉を聞いた義龍は手探りで左手で枕元に置いてあった軍帽を手に取り、そして「私」にかぶせる。
『・・・・・・なん、で?』
『御守り、だ』
『こんなの、もらったってうれしくないよ、もっと一緒にいてよ!』
「私」がそういって軍帽を脱ごうと義龍の手を離すが、どの話した手が今度は私の手を掴む。その力はまるで子供が軽く握るくらい、弱々しいものだった。
『かえ、ってくる』
『え?』
『必ず、かえ、ってくる・・・・・・約束、する、たとえ、転生しても、かえ、ってくる、から・・・・・・それ、までの、おま、もりだ』
『・・・・・・』
「私」は何も言えず、只々、彼の言葉を聴きながら、俯くことしかできなかった。
『だから』
義龍の目が閉じていき始め、手もずり落ちていこうとする。
「私」は義龍の手を一度つかみなおす。
『だから、 泣か、ないで、くれ・・・・・・あか、ね 』
そう言い、彼はこの世から去った。
享年三三、だった。
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「よしたつ!!」
そう言って赤峰は自室のベッドから飛び起きる。彼女の息は荒かった。そして、そんな彼女の心を表すかのごとく、深夜の真っ暗な空に小雨がふっていた。
彼女は枕元にあった、義龍の軍帽を抱いた。そして、彼の死に際の言葉が蘇る。
『だから、 泣か、ないで、くれ・・・・・・あか、ね 』
しかし、彼女は泣き出す。
彼に言われたよに強くなろうとした。泣かないようにと、昔の私とは変わろうと努力してきた。死んだ彼を悲しませないようにと、でも・・・・・・
「無理だよ・・・・・・会いたいよ、よしたつ・・・・・・」
そう言い、彼女は独りで泣き続けたのであった。
感想、誤字脱字の指摘がありましたらよろしく願いします。
そして、これからも、どうぞよろしく願いします。