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序章:神のための虐殺
灰色と夜の闇が混ざり合った空に、火花と共に黒煙がもうもうと立ち昇る。
月明かりもたじろぐような火炎の灯が荒々しく周囲を照らし出す。
燃えている多くの家屋、焼かれる村と泣きじゃくる一人の子供。人影はすべて地面に倒れ、身体からは赤い血が流れだしている。
遠くを見ると背丈が不揃いな五人の集団が見つかった。一人を除いて、それぞれが腰に、背に、剣を携えている。
そこに広がる惨劇を振り返りもせず、まるで自然の一部、石ころが転がっているような無関心さで、四人は去り、それを追うようにもう一人が慌てて追いかけた。
炎が空気を掻き乱す不気味な音と、喉を突き破るような悲痛な泣き声が、無人となった簡素な村を染め上げた。
火花の弾ける音。
家が崩れる音。
やがてすべてが灰になり、火の勢いも削がれ消えてなくなる頃。泣き声も止み、夜の帳が再び降りた。
動くものは子供の影。この村の住人はすべて、人の形をした炭となり灰と散った。
その時、生きているものに感情はなかった。
代わりに傍らにあったものは−−−−剣の形をした力だった。