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LittleMages

作者: 空花玲奈
掲載日:2026/06/12

灰色に曇る空の下、シトシトと細い雨が降る。

とんがり帽子に黒いローブ、緑がかった長く黒い髪の少女が黒い影のようなモンスターと対峙している——


東京、港区——

キャッキャッと楽しそうに歩くJCらしき3人組。

紺色のブレザーには、アザブ・インターナショナル・スクールと金の刺繍が施されている。

黒髪に長めのボブの少女が振り返ると、後ろを歩く2人の少女に話しかけた。


「セカンダリーのテストも終わったし、コンビニにでも立ち寄りますか?」


MCMのイエローのリュックをし、両手を長めの金髪に回し話す少女。


「凛、エレナ的にはファミチキな気分。」


セミロングのアフリカ系の少女が2人の会話に割って入る。


「ナディアは、からあげクン希望。」


少し考えるとニコッと笑いながら凛が言った。


「じゃ、プレミアムロールケーキで!!」


ケラケラと笑いながら角を曲がる凛。

角を曲がると、黒いローブを着た少女が倒れている。

倒れている少女に駆け寄る3人。

心配そうに凛がローブの少女に話しかけた。


「大丈夫ですか?」


「ねぇ、この人魔法使いじゃない?」


ローブの少女を見ると凛に話すエレナ。

目を覚ますローブの少女。

L.L.beanのグリーンのトートバッグを道路に置くとナディアが手を伸ばした。


「大丈夫ですか?ええと……。」


「ありがとう。えっと、私は澪。」


澪がナディアに手を握ろうとした、その時——


「あれは……。」


口に手を当て驚いた表情のエレナ。

電柱から現れる黒い影。

黒い影に気付くと、立ち上がるローブの少女。


「ここは私が、下がって。」


凛たちを後ろに下がらせると、黒い影と対峙するローブの少女。

ローブの少女が勢いよくステッキを振り下ろす。

スカッと空を切るステッキ。

何も起きずローブの少女がステッキを悲しげに見つめる。


(そんな、どうして……。)


ニタニタと笑いながら、4人に近づく黒い影。


「マズい、何とかしないと。」


凛がそう言うと、目の前に現れる赤い色の妖精。


「助ける~。」


「あなたは何者?」


凛が赤い色の妖精に尋ねる。


「僕はメラ~。炎の妖精だよ~。助ける~?」


凛が迷わず答えた。


「助けるわ!!」


すると、光りに包まれる凛。

赤いラインが入った黒いとんがり帽子、黒いローブの下に赤いアクセントが入った黒いドレス姿の凛が姿を現した。

メラが言う。


「行くよ~。」


凛の足下の赤い魔方陣が光ると、ステッキを振り下ろす凛。

凛の炎の魔法に包まれ消滅する黒い影。


「1件落着、かな?」

 

メラと目を合わせる凛。


東京、港区、青いコンビニのイートイン——

モグモグと美味しそうに鮭明太のおにぎりを食べる澪。

澪に優しく話しかけるナディア。


「澪さん、お腹が空いてたんですね。」


右手にロールケーキ、左手にロイヤルミルクティーを持った凛が澪に尋ねる。


「どうして、あんな所で倒れてたんですか?」


うつむくと表情が暗くなる澪。


「それは……。」


コンビニに明かりが灯る。

コンビニの壁の時計を見ると6:35分、パチンと右の指を鳴らし皆に相談するエレナ。


「続きは私の家でどうかな?今、パパ海外出張で家にいないし。」


東京、港区、エレナの自宅マンション——

窓から温かみのあるオレンジの光が漏れる中層のマンションを見上げる澪。


「高級そうなマンションだね。」


「パパ、外資系だから。」


そう言うと、入り口の自動ドアを抜け、コンシェルジュに軽く挨拶するエレナ。

エレナを追って、エレベーターに乗り込む3人。

 

エレナの自宅マンション、リビング——

ミノッティの高価なソファの上であぐらを組んで座る凛。


「えと、何で倒れてたんですか?」


「ええと、敵と戦っていて。その後、黒い影に吸い込まれて——」


澪が話を始めると、外から女性の悲鳴が聞こえる。

窓に近づき外を見る4人。

窓越しに若い女性が黒い影に襲われているのが見える。


「私が行く!!」


急いで部屋を飛び出す凛。

後を追うエレナ達。

外に出ると、怯える女性に凛が話しかける。


「ここは、私に任せて!!逃げて下さい!!」


慌てて、その場を立ち去る女性。

黒い影と対峙する新人魔法使いの凛。

勢い良くステッキを振り下ろす凛に黒い影の右腕がビヨーンと伸びる。

ビヨーンと伸びた黒い右腕に弾き飛ばされ、ドンッとアスファルトに叩きつけられる凛。

エレナが澪に懇願する。


「お願い、凛を助けてあげて。」


困惑し、エレナから目を逸らし下を向く澪。


「……ごめんなさい。私、魔法が使えないみたい。」


エレナが呟く。


「何とかしないと。私も魔法が使えたら……。」 


突如、エレナの目の前に現れる黄色い色の妖精。


「僕はテラ、土の妖精~。使う~?」


驚きながらもエレナが答える。


「使うわ!!凛を助けなきゃ!!」


光りに包まれるエレナ。

光の中から、黄色いラインに黒いとんがり帽子を被ったエレナが現れた。

テラがエレナに話かける。


「行くよ~。」


エレナがステッキを振り下ろす。

ドンッ、ドンッと次々とトゲのように隆起する地面。

エレナの土の魔法がバリバリと音を立て黒い影を追い詰める。

エレナが叫ぶ。


「今よ!!凛!!」


立ち上がるとステッキを振り下ろす凛。

追い詰められた黒い影にボンッと凛の炎の魔法が炸裂した。

消滅する黒い影。


「やったぁ。」


抱き合い喜ぶ3人。

その様子を少し離れた場所から見つめる澪。

再び、エレナのマンションに戻った4人。

エレナが壁の時計を見ると、時計の針が9:55分を指していた。


「今日は遅いから、みんな、家に泊まりなよ。」


皆に言うエレナ。

それを聞いて大喜びの凛。


「お泊まりだ!!お泊まりだ!!」


ナディアが凛を見て言う。


「凛、ちゃんと両親に電話しなよ。」


明かりの灯ったマンションを見つめニタニタ笑う黒い影——


東京、港区、エレナの自宅マンション——

自宅マンションの前で澪と会話するエレナ達。


「私達、学校があるから。後でファミレスで。」


「……そうだね。学生だもんね。」


伏し目がちに答える澪。

バイバイと右手を振ると、笑いながら澪に話す凛。


「澪っちは、お留守番ね。」


3人の後ろ姿を、1人手を振り見送る澪。


(……学校か。)


その様子をニタニタと笑いながら見ていた黒い影が3人の前に立ちはだかる。

黒い影を見ると大声で叫ぶ澪。


「あれは、みんな気をつけて!!」


澪が慌てて、3人を追いかける。

ニヤーッと不気味に笑うと、大きく口を開け、ズゴゴゴゴと4人を吸い込む黒い影。

黒い影が右手で口を拭うと、満足げに腹をポンポンと叩いた。


黒い影の腹の中を歩く4人——

空腹から腹をさする凛。


「もう、かなり歩いたよ~。お腹空いたぁ。おにぎり食べた~い。」


あたりを見渡すエレナ。 


「ここは何処?出口はあるの?」


最後尾を歩く澪が口を開く。


「ここは、複雑な迷路のようになっていて、特別な方法でもない限り表には出れない。」 


澪の話を聞き、肩を落とし呟くナディア。


「そんな……。」


「みんな気を付けて、何かいるよ。」


凛が何かを見つけ指を差した。

澪が小声で呟く。


「あれは、ピカ……。」


凛が指差す方向を見ると急いで走り出す澪。








「ピカ!!」


澪の前の水色の妖精が振り返ると、ギュッと水色の妖精を抱きしめる澪。

涙で溢れる澪に話かける水色の妖精。


「澪、帰って来ちゃったの~。」


黒いローブの右袖で、涙を拭くと水色の妖精に話しかける澪。


「ごめんね。ピカの命懸けの魔法で私だけ助けて貰ったのに。」


ピカが澪達を見ながら言う。


「困ったね~。じゃあ、僕の魔法でみんなを~。」


イヤイヤと首を横に振る澪。


「それじゃ、前と同じだよ。」


ピカを見つめると、うつむき小声で話す澪。


「もう、離れ離れは嫌……。」


その様子を見ていたナディアが呟く。


「何とかしなきゃ、私だけ何の力もない……。」


1人うつむき焦るナディア。


「僕はねフウ~。風の妖精~。何とかする~?」


突如、ナディアの前に現れる緑色の妖精。

妖精に驚くも、ナディアの決意は変わらない。


「何とかしたいわ!!力を貸して!!」


ナディアが光りに包まれた。

光の中から現れる緑のラインが入った黒いとんがり帽子のナディアの姿。

フウがナディアに声をかける。


「行くよ~。」


ナディアがステッキを振り下ろすと、緑色の風が皆を包み込み、ゴゴゴーッと皆を上へ押し上げる。

ナディアの風の魔法が、黒い影の鼻を刺激した。

黒い影の鼻がムズムズする。


「へ、ヘクシュン!!」


黒い影の鼻から飛び出す凛達。

くしゃみの勢いで頭が下がる黒い影。

黒い影が頭を上げると、凛達の前でステッキを構える澪と隣で浮かぶピカが見える。

目を合わせ、うなずく澪とピカ。

ピカが黒い影を見ると、澪に声をかける。


「行くよ!!澪!!」


ピカの声に合わせ、ステッキを振り下ろす澪。

澪の足下の魔方陣が紫色に光る。

バリバリッ!!雷の魔法が黒い影を直撃する。

両手を上げ、消滅する黒い影。


「やったぁ!!」


大喜びする後ろの3人。

ピカと顔を合わせ笑顔の澪——


東京、港区、ファミレス——

都内のファミレスでピザを食べる4人。


「フンッ!!ねぇねぇ、私達ヒーローみたいじゃない?」 


立ち上がると、腰に手を当てポーズを取る凛。

隣の席でポーズを取る凛を呆れ顔で見るエレナ。

凛が隣でチョコンと座る炎の妖精に聞いた。


「メラもやる?」


「メラもやる~。フン~。」


凛の隣でチョコンと座るメラが腰に手を当てポーズを取る。

その様子を見てクスッと笑う澪。

冷たい抹茶ラテを1口飲むと、ナディアが話し始めた。


「あの黒い影って何なのかしら?」


ナディアの隣で、静かに座る風の妖精が答える。


「あれはね~。フウ的にはね~。台風みたいな~。」


エレナの隣に座る土の妖精が口を開く。


「テラ的には~。地震かな~。」


「つまり、災害みたいな物?」


テラを見るエレナ。

カツ、カツ、カツと音を鳴らし、ヒールを履いたキャリアウーマン風の女性が近づいてくる。


「澪、探したのよ。」


ネイビーのスーツを着て立つ女性を見上げる澪。


「お母さん……。」


澪の左手をつかむと、強引に店の外に連れ出す母。

唖然とした表情の凛達。

母が待たせていたタクシーのドアに手をかけた瞬間、背後から大きな音がした。

ドゴゴゴゴ……という轟音と共に巨大な黒い影が町に現れる。

外に出ると巨大な黒い影を見上げる凛達。


「大きいよ、どうする?」


焦る凛にメラが聞く。


「飛んでみる~?」


突如、現れる赤いリボンが付いたほうき。

ほうきに跨がるとフワリと浮かび、巨大な黒い影へと飛び去る凛。

ほうきに跨がり、凛の後を追うエレナとナディア。

巨大な黒い影の周りをグルグルと飛び回り魔法を繰り出す凛達。


「どうする凛、魔法が効かないわ。」


ナディアが魔法を当てるも、ダメージのない巨大な黒い影。

巨大な黒い影に苦戦する3人を呆然と見つめる澪。


「行くわよ澪。」


澪の左手を強引につかみ、タクシーに乗せようとする母。

うつむき過去を思い出す澪。

 

——1年前、澪の自宅。

母が責め立てる。


「澪、こんな成績じゃ、いい高校に行けないわ。」


澪の心がミシミシと音を立てるように砕け散った。

ドアを開け自身の部屋に入ると、ため息を漏らし、うつろな目で壁にもたれかかる。

胸に手を当て、うつむきながら座り込む澪。


「助けて!!」


窓の外から女の子の声が聞こえる。

窓から外を見る澪。

女の子に襲いかかろうとしている黒い影。


「助けないと。」


突如、現れる水色の妖精。


「助ける~?」


水色の妖精を見て驚く澪。

再び、外から声がした。


「誰か助けて!!」


首を縦に振ると水色の妖精に答える澪。


「助けるわ!!」


澪が光りに包まれる。 

光の中から現れる紫色のラインが入った黒いとんがり帽子に黒いローブの澪。

ローブの下には紫のアクセントが入った黒いドレス。

勇気を出して窓を開け、ベランダから飛び出す澪。

澪を見てニタァと笑う黒い影。

黒い影が澪に近づく。

水色の妖精が澪に声をかける。


「行くよ~。」


足下に紫の魔方陣が現れるとステッキを振り下ろす澪。

バリバリッ!!雷の魔法が黒い影に直撃する。

黒い影が塵となり消え去った。


「ありがとう。魔法使いのお姉ちゃん。」


澪に感謝する女の子。

少し間を置いて笑顔になる澪——

 

現在、東京、港区、ファミレスの前——

苦戦する3人を見る澪とピカ。

澪が母の手を振り払う。

目を合わせ、共に首を縦に振る澪とピカ。

2人が声を合わせる。


「うん、行こう!!」


ほうきに跨がり、仲間の元に向かう澪。

澪が仲間に叫ぶ!!


「弱点を狙って!!」


黒い影の攻撃をかわしエレナが言う。


「弱点?」 


ナディアが指を差した。


「あれじゃない?」


ナディアが指差す所には、アホ毛のような黒い角がある。

凛が皆に言う。


「みんな、あそこを全力で攻撃!!」


澪、凛、エレナ、ナディアの4人がステッキを振り下ろすと、紫、赤、黄色、緑の4重に重なった魔方陣が4人の前方に展開する。

キュイーンと音が鳴ると、凛の声に合わせ4人が叫ぶ!!

 

「世を照らす、光となれ!!」

 

4重の魔方陣から放たれた澪達の全力の攻撃が黒い影の角を貫く、黒い塵となり消滅する巨大な黒い影。

黒い巨大な影を倒し、母と向き合う澪。

澪の後ろに立つ、凛達を見て母が言う。


「友達が出来たのね。」


空を見上げると、澪を見る母。


「好きにしなさい。ただし、死なないこと。」


そう言って1人タクシーに乗り込む母。

タクシーに乗り込むと、バックミラーに映る澪が小さくなってゆく。

目が潤むと、少し上を向き笑みを浮かべる母。


「死なないで、約束よ。」


母の乗るタクシーを涙ながらに見送る澪。


「お母さん。ありがとう……。」


ドゴゴゴゴ……という轟音と共に再び、背後から巨大な黒い影が現れる。

凛が澪に声をかける。


「行こう、誰かを助けに!!」


そっと涙を拭くと振り返る澪。

凛と澪がほうきに跨がる。

今、青い空へと4人の魔法使いが飛び立つ——


妖精は、誰かを助けたい心に反応する——

読んで頂きありがとうございます。

よろしければコメント等頂けると嬉しいです。

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