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カトゥオール シアンティフク 11  作者: 双鶴


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7話

むさ大の研究棟。

午後の光が、廊下の床に淡く広がっていた。

結菜は、白衣のポケットに診断書を入れていた。


「悪性リンパ腫」

その文字は、紙の上では静かだった。

でも、心の中では、粒子のように揺れていた。


湊斗は、結菜の歩き方が少しだけ遅くなったことに気づいていた。

実験室での手元が、ほんの少し震えていたことも。


「結菜、最近…疲れてる?」

湊斗が、誰もいない実験室で声をかけた。


結菜は、ノートを閉じた。

「うん。ちょっとね」


「検査、受けた?」

湊斗の声は、風よりも静かだった。


結菜は、ポケットから診断書を取り出した。

「…見せるね」


湊斗は、紙を見つめた。

何も言わなかった。

でも、その沈黙が、結菜には届いていた。


「大丈夫だよ。すぐに治療始めるし、まだ初期だから」

結菜が、微笑んだ。


湊斗は、頷いた。

その頷きは、たぶん肯定だった。

でも、心の中では、粒子が乱れていた。


---


碑文谷のアパート。

陽翔が、冷蔵庫のプリンを見ながら言った。


「結菜、最近来てないな」


「湊斗、なんか様子変だった」

大翔が、論文のページをめくりながら言う。


「…何かあったのかもな」

陽翔が、プリンを冷蔵庫に戻した。


---


奥沢のアパート。

結菜は、ノートの余白に言葉を綴っていた。


「診断。沈黙。湊斗の頷きは、たぶん共鳴だった。

でも、粒子は揺れている。まだ、観測されていない」


窓の外で、風がカーテンを揺らした。

その揺れが、未来の予兆だった。


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