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カトゥオール シアンティフク 11  作者: 双鶴


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3/14

3話

春が、少しずつ初夏に溶けていく。

むさ大のキャンパスには、風が多くなった。

風は、記憶を運ぶ。誰かの声や、あの日の匂いを。


湊斗は、図書館の窓際で本を読んでいた。

結菜は、隣で静かにノートを開いていた。

2人の間には、言葉よりも長い沈黙があった。


「この風、去年の文化祭の日に似てる」

結菜が、ふと呟いた。


湊斗は、ページをめくる手を止めた。

「…あの日、君が“科学って、綺麗だね”って言った」


「うん。あれは、たぶん嘘じゃなかった」

結菜は、窓の外を見つめた。


風が、ノートの端を揺らした。

その揺れが、2人の記憶を重ねていく。


---


碑文谷のアパート。

陽翔が、洗濯物を干しながら空を見上げていた。


「湊斗、最近静かだな」

大翔が、コーヒーを淹れながら言う。


「結菜といると、あいつは“静か”が似合うんだよ」

陽翔が笑う。


「俺たちも、なんか落ち着いてきたな」

大翔が、カップを差し出す。


「青春って、騒ぐことじゃなくて、静かに残るものかもな」

陽翔が呟いた。


---


奥沢のアパート。

結菜は、ノートの余白に言葉を綴っていた。


「風の記憶。沈黙の輪郭。湊斗の言葉は、たぶん肯定だった」


窓の外で、風が街路樹を揺らしていた。

その揺れが、今日という日を記憶に変えていく。


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