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13話
病室の窓から、午後の光が差し込んでいた。
結菜は、目を閉じていたが、湊斗の気配に気づいていた。
「来てくれて、ありがとう」
結菜の声は、風のように細かった。
「君の声を、録音したい」
湊斗が、そっとマイクを差し出した。
「何を話せばいい?」
「君の“今”を、残してほしい」
結菜は、ゆっくりと頷いた。
そして、静かに語り始めた。
「命って、思ってたより柔らかい。
でも、思ってたより強い。
私は、怖くないよ。
だって、あなたたちが、私の中にいるから」
湊斗は、何も言わなかった。
ただ、録音ボタンを押した。
その沈黙が、すべてを語っていた。




