ストーカーがくる
掲載日:2025/10/22
約400字のショートショート
「あ~ぁあ、今夜はずいぶん遅くなっちゃったな」
そんな事をつぶやきながら改札に向かって足を早めている。
私はいつもの駅の改札口を出ると商店街を抜け、居酒屋やスナックが並ぶ通りを足早に歩く。そこから先は、少し暗く、寂しい路地だから。
まただ。
私はしっかりと前を向いて歩いているけれど、もう、その足音に気が付いている。
このあたりに来ると感じる、私の後ろをつけてくる気配。どうにも気味の悪い視線、遠く、近く、でも間違いなく私の後ろにいる、いつもと同じ足音。
それが今夜、私のすぐ後ろに迫っている。
-はぁ、はぁ、はぁ、はぁ
初めて聞く、そいつの息づかい。
私は意を決して立ち止まり、後ろを振り返って言った!
「ふざけるなよ、あの女は、俺の獲物だ」
男は「チッ」っと舌打ちして踵を返した。
男の後ろ姿を見送ると、私は慌てて前を向き直った。
くそ、女を見失った。
ふと、あの男の顔が思い浮かぶ。
「ちっ・・・あのストーカーめ」
まぁいい。明日また待つだけだ。
あの改札口で。
ストーカーがくる 了




