8話
「はあ?修行?」
「はい、そろそろ次期当主としての教育を行いたいと思いまして」
ある日のこと、零は教育係である黒崎樹に本格的な当主の教育をやると言われ、顔を顰める。
何をするのかと思っていたらとんでもないことを言われたのだ。修行とは何か分からない零は警戒して黒崎から少し離れる。
「おっお前…俺に何をする気だ?そんなもんしたくない!」
「いえ、そろそろやらねばならないかと思います。普通なら、現在の零様の御年齢ではまだ早いですが零様は既に能力を発現しています。能力を扱うための技術を学ぶこと、更に当主として必要な知識を蓄えるにはいいかと思われます」
「そんなの知らないってば!」
自分が能力を発現したからって今更やるのはおかしいと思った零。能力とは何かは知っているため、扱うための練習は必要なんだろうとは本能的に分かる。
だが、勉強は無視できない。何をするのか分からないからだ。
兄である彰や二つ上の姉である愛香が何か紙を鉛筆で何かをしていることは知っている。
それが自分にもやらされると言うことなんだろう。あの2人の顔からして面倒な作業であることを零は理解していた。
「では、初めて行こうではないですか」
「嫌だね、勉強?とやらはしたくない!」
「ですが、やらねばならぬのがこの先の運命、当主関係なく、教育を受けるのは平等、誰もが受ける権利を持っております」
「クソみたいな権利」
「これが昔ながらの権利なので」
「そんなもん、今の俺には必要ない!」
逃げようとする零を黒崎は簡単に捕まえ、説明を続ける。
「零様の教育係を任されている私には零様を立派な当主になるように教育しないといけません。まだ4つと若いですがいつでもできるように準備はしています。さて、やりましょう」
「ふざけるなぁ!俺をなんだ思っている!勉強やら知らないんだぞ!」
「なら、理解させれば問題ないのですね?」
「やりたくない!」
「拒否権はありません。では、説明をしますよ」
「いやぁぁぁ!!!!」
こうして零はこれから勉強と能力の扱い方を教育係黒崎樹に教えられることになる。
「1+1は?」
「2!」
「1+2は?」
「3!」
「3×3は?」
「……9!」
「…流石は零様、掛け算くらいできますね。(なんで4歳児が掛け算できるんだ?)では、2X=6、Xに入る数字はなんでしょうか?」
「……3?」
「……マジか(本当に4歳児?この問題は彰様ですらまだできないのに…………おかしい、零様は本当に4歳なのか?まさか!?天才なのか?ならば、これからは中学生の範囲をやらせるとしよう)」
「?」
「では、彰様と同じレベルの勉強をしましょう」
「ふぇ?」
毎日、発狂とキャパオーバーをする羽目になり、恐ろしく、強制的な教育を施されることになるが彼は数年後、今が可愛いほどに地獄のようなーいや、死んだ方がマシと言われるほどの地獄の教育をされるのだが今の彼はまだ知らない。
ちなみに最後の問題を零が解けた理由は彰の問題集に書いてあった問題を見ていたから。
当然、国語の文章問題などは解けなかったのは言うまでもない。
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当主の部屋
「……ふむ、軟弱か」
愛香の教育係から貰った愛香の能力を見て、当主ーいや、当主を乗っ取っている当主?は何かを決める。
それは2年前に起きたあの事件のように
"彼"にとって、支配対象の血族とは道具でしかなかった
「雑魚はいらぬ。始末するか…」
立ち上がり、近くにある刃物を取る。
静かに、だが躊躇いなく、それを手に取ったのだ。その動きに、ためらいは一切なかった。
「この時間帯は彰はいない。今始末……そういや、愛香もこの時間帯は屋敷にいないな」
舌打ちして愛香が帰ってくる時間まで待つ。
ニヤリと笑って決行する時間まで経つのだった。
どうも、ヨウです。
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