39話 最悪と月下
妖魔。それは人を襲う魔物とは違う存在。言えば日本にしか存在しない妖怪のような存在である。
妖魔は最低でも測定不能レベル1を超えており、力の高い個体は軽く測定不能レベル5を超える。
魔物と違うのは呪術系能力か陰陽系能力ではないと触れることすらできないという力があること
魔術系能力では触ることすらできない。
ただし、呪術や陰陽術を学んでいる人ならば攻撃を与えることはできる。言えば特定の条件ではないとダメージを与えることすらできない怪物。
これが妖魔である。妖魔との戦闘は通常の魔物とは違う。
「俺たち無理じゃないか?」
「いや、2人とも呪術系能力は持っているよ。だから、問題ない」
いや、そう言う意味じゃねえよ。そもそも、妖魔は俺らが相手するような怪物じゃねえだろと言いたんだよ!
「私たち殺す気!!」
「大丈夫。問題ない。斬撃貫通を使っていたら勝てるさ。ただ、君たちに経験をしておく必要がある。経験こそが何かあった時の対処できるメリットさ」
万が一あったらこいつが守ってくれるだろうが心配しかない。今日会ったばかりのこいつを信じろなんて無理だ。
「メリットどころか俺ら死ぬわ」
妖魔舐めてんのかこいつ。
「逃げればいいさ。もう来る」
『は?』
嫌な気配が俺たちを襲った。恐る恐る振り向くといたのは牛みたいな頭に蜘蛛みたいな体ー牛鬼
嘘だろおい!?竜王の巣に牛鬼来るのかよ!!?
「ざっけんなぁ!!」
空間を切り裂く斬撃を飛ばすも牛鬼は早い速度で避けやがった…!チッ、斬撃を避けるなんて化け物だろ!
奴は唯に襲うも唯の自動発動結界でなんとか襲われずに済むがどうにもならない。
どうする?このままでは唯がーいや、アレを使うしかねえ…!
「『月下』」
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星川サイド
「え?……零?」
「ほう?」
195超えの長身の男、黒上の男だが…"御影凶星"に似ている風貌。
変身タイプか…ただ、返信したら血縁者に似るタイプは初めて見たな…魔術系能力の変身は血縁者に似てしまうのか?
「なるほど、アレが月下の変身…エネルギー量が規格外だね…」
コートを着ているが何か意味でもあるのか?
「…すぐに終わりにしよう」
「ギャー」
牛鬼を斬撃を飛ばして体をバラバラにさせて瞬殺。先程見た斬撃の速度とは比較にならないほどに早い。
「ふむ……」
牛鬼は体が崩壊していくように消滅した。あの牛鬼のレベルは測定不能レベル4。エネルギー量は176万6331と多いが比較にならないな…
機械が鳴る。
『ピピッ個体のエネルギー量 1億6150万5000』
「ははっ…」
測定不能レベル10…!素晴らしい…エネルギー量…!
「変身によるエネルギー量増加か…愉快だね…」
測定不能レベル10の基準は8000万以上、その基準の2倍を超えたか。
これは日本三大妖怪
酒呑童子
玉藻前
大嶽丸
こいつらと同等のエネルギーを持つ。こんな秘める才能者がいるとはね…
「それだけじゃない…」
『ピピッ 個体のエネルギー量 1億1042万3209』
東雲唯の数値。エネルギー量が人外の領域にいる。
エネルギー量は生まれながらにあり、増えることはない。変身する能力があるものはエネルギー量増加することはある。
残りの例外は覚醒タイプ。言えば覚醒することでエネルギー量が増加することができる。
だが、東雲唯はその例外なタイプたる覚醒タイプではない。
ならば、答えは一つ。
生まれながらにエネルギー量が多いことだ。これが僕の知識から導いた答え。
やはり、経験は大事だね
「愉快だね…まさかこんな若い才能の持ち主たちに会えるとは…」
ここ"千年"でたくさんの才能者を見てきた。久しぶりに彼らのような存在に会った。
生まれながらにエネルギー量が規格外に多い者たち
数年ぶりか…
御影凶星超えのエネルギー量を持つ東雲唯
イレギュラーな存在東雲零
後者は彼の弟だが…
「…ははっ」
いいね、彼らを成長させたらどこまで僕を追い詰めてくれるのか。
「未来が楽しみだね…」
明るい未来の破壊は彼らに試練を与える。そんな立場が僕には欲しい。
甘ったるい試練を与えるのは飽きた。
「どうなるかね…」
ニヤリと笑った。ははっ久しぶりに笑ったよ。
顔を触ると笑っていた。口角が上がるのはいつぶりか…
いつの時代も力の強い者は力に溺れて破滅へ向かう。
やはりー
「楽しいね」
もっと地獄を与えたらどんな表情になるのかな。楽しみで心が躍るよ
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東雲零サイド
「ふう…」
視点が下がった?ああ…元の姿に戻ったか…なんかだるい…
「零。大丈夫?」
「ん?大丈夫」
倒れた。体が重い…体が重く感じる…
パチパチと手が叩いた音が聞こえた
「変身か。その年で使えるのは素晴らしいね」
「貴方…!」
唯は殺気を出す。怖いよ彼女…
「そう怒らないでくれ。」
ニヤリと笑っていた。口が裂けるほどに…
「ふむ…変身による負荷に耐えられない感じだね。力が巨大で短時間でも体が耐えられない。」
的確に弱点を…
「君の力は素晴らしいが制御が甘い。力の消費が大きすぎる。だから、変身後の負荷に耐えられない。それは課題だね。君は力を上げるより、エネルギー消費を抑える特訓をしないといけない。」
『……』
「零。君には技一つに対するエネルギー消費を1まで鍛えてもらう」
は?
「それとエネルギー回復の術も身につけてエネルギー消費による欠点を無くす。」
「…そんなことできるのかよ…」
「"できる"のではなく、"やる"。言い訳は不要」
「……」
理不尽…!
「唯。君には威力とスピードと結界維持の特訓。君の貫通ビームは威力はいいがまだまだ未熟。だから、特訓する」
「……」
あの唯が文句を言わないだと…!んな馬鹿な!
(あの未来…私が強くなったら止められるかも)
何やら複雑そうな顔をしているがどうしたんだ?
「さて、今日はここまで明日から始めようではないか」
『……』
俺たちは謎の人ー師匠によって修行をされる羽目になったのだった。
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星川サイド
二人の意思は強い。特に唯は彼のために努力をする。依存している彼女が強くなるための理由が彼を守るだけと言うのは実に笑える話だね。
なら、彼女が大事にしている彼が壊れた時、彼女は彼を止めることができるのか
破壊された恐怖を、破壊された平和の中でどう生きるのか楽しみだ…
「愉快だよ…こんなに破壊することが楽しいと快感になっている…!」
唯は零に依存して存在しているだけの弱い器。
器に成り立っているだけの要因を彼は作ってしまった。だから、彼女は無茶する。無茶という言葉を知らないのか加減を知らない。
これを世間は愛と呼ぶのだろう。それはまさに形が成り立っていない不完全な狂気
安定という言葉が存在しない堕ちてゆく残酷
「どうなるかね…」
壊したいほどに君たちを期待しよう。




