32話
「俺様が来たぞ!」
「遅れたわ」
集まって10分もしないうちに怪明と藤原が来た。
ようやく来たか
「そいつがお前の女か……ん?なんか1人多くね?」
藤原は膝枕して眠っている蓮を微笑ましく見ている舞がいることに困惑していた。
こいつでもそんな表情するんだな。珍し
「誰だよこいつ」
藤原は舞が誰なのか首を傾げると萩が俺らの代わりに教える。
「蓮の許嫁」
「…お前は何を言っているんだ萩…」
さらに困惑していた。そんなに困惑することか?
まあ、俺も驚いていたから分からなくともないが藤原が今の話を理解できていない。
そんなに困るような話でもないと思ったが、どうやら予想以上に理解が追いついてないらしい。
「マジか。蓮に許嫁って…」
「俺もそう思ったがまあ、蓮だし」
「どんな解決の仕方…」
変な目で見るな怪明。
「蓮に問い詰めても意味ねえだろ」
あいつがまともな回答をするようなタイプじゃないのはお前だって知っていることだろ。
「まあ、答えてくれないのは間違いないけど…ワイでも驚きなんだぜ?いつの間に許嫁なんて…」
「蓮だし」
「納得」
「それで納得するのかよ」
お前、俺に変な目で見ていたくせに何勝手に解決したように明るくなるんだよ。意味が分からん
藤原なんて天井見上げてボーッとしているぞ。
こんな感じでカオスな状況になっているわけだが、平和には過ごしている。どうなったらこんなことになるんだとは思っている藤原と怪明に詳しい説明をするのは面倒。
今回集まったのは俺に許嫁ができたことを伝えること。蓮にも許嫁ができたという予想外な展開はあったが特に大きな問題なったわけではない。
それは良かったと言えるのかは俺でも知らないがまあ、目的を果たすことができる。
「怪明、藤原。この子が俺の許嫁の唯だ」
「東雲唯です。よろしくね」
唯が微笑むと怪明が少しびっくりした顔をしていた。驚くことなんてないだろうにどうしたんだ?
「何驚いているんだよお前」
「そりゃ、驚くわ。零が明るく嫁を紹介するなんて思わんわ。初めて会った時と大分違うぞ」
唯のことに驚いているんじゃなくて俺のことかよ。なんで俺を見るのか分からんが昔と違うか…
いやまあ、あの時と比べたら明るくなったのは自覚はあるが今言うことか?
「今言うことか」
「お前な…」
「それに変わったのは俺だけじゃねえだろ」
「大門寺かな、変わったのは」
萩が俺と怪明の会話に入ってきた。
確かに大門寺は昔と比べたら変わっている。俺以上に変わっているんじゃないか?
いや、なんで唯の紹介で過去を思い出す羽目になるんだよ。
呆れていると藤原がとんでもねえことを言い出した。
「ふ〜ん、お前の女。思ったよりお前と似合ってー「あ?」ヒィッ」
『……え?』
恐ろしい気配が感じた……アレ?唯?
青筋を立てて藤原に対してキレている唯。やばい、これはめっちゃキレている。
「私と零が似合っていない?舐めているの?」
「あ…いや…」
あの藤原がビビって怯えているだと…!?
傲慢で蓮のツッコミ担当である藤原がここまで追い詰めることができるとは…唯、恐るべし
「何かあった方がいいんじゃない?」
「…すみませんでしたぁ!!!!」
全力で土下座する藤原にその場にいた俺たちは無言になった。
「なら、よろしい…」
場の空気を支配している唯は不気味で恐ろしい微笑みをする。
周りを見るとまともに見ているのは俺と萩くらい。
怪明は震えて萩に抱きついている。
大門寺は驚いた顔をして固まっている。
蓮はいつの間にか起きていて舞に抱きついている。
舞も蓮に抱きついて2人とも怯えていた。
親友ですら恐怖を感じている絶望の顔をしている。
(まさか、あの藤原がここまで怯えるとは…天獄すらあの表情になるのはとんでもないな…)
(やばいだろあれ!萩に抱きついてるとかワイのプライドが許せないとしてもアレはやばいって!なんかおるん!)
唯の背後に鬼神が現れた。やべえやべえ、兄者ならまだしも藤原ではどうにもならん…
「落ち着け唯。そこまで追い詰めなくてもいいだろ」
「…むぅ〜」
頬を膨らませる唯は俺の顔を見て何か感じたのか鬼神を消す。とりあえず、落ち着いたから良かった良かった…
「大丈夫か?藤原」
「……」
反応なし、気絶しているのか?いや、目開いているし、意識はあるかも
「……姉御と呼ばせてくれ」
「……は?」
何を言ってんだこいつ?皆…見ている…
「姉御はいいな!」
「姉御呼びするか」
「姉御呼びはいいね!」
「藤原のくせになかなかいい案だな」
「いいね!採用!!」
「…いいな」
なんでお前らまで賛成するんだ?あと、なんで姉御呼びなんだよ…
「…えっと…なんかやりすぎた?」
困惑する唯。
これから唯は怪明たちから姉御呼びをされることになったのは言うまでもない。
_____
「……」
夜の中、歩く男がいた。白髪の男は何かの気配に感じて東雲家の屋敷へと歩き、着いた。
「ここだね…」
彼が感じたのは巨大な霊力と神聖力。
「この屋敷の中に僕の弟子に相応しい子がいる…」
陰陽術で屋敷の中を見る。その中にいたのは銀色の少年ー零の姿があった。
「この子か…魔力もあるようだけど…まっいいか」
彼はその場から離れた。
「戦闘の才能のある子の中で高い部類…」
「僕の息子以上にあるとは…」
「鍛えたらどれくらい化けるかな」
陰陽師である彼の目には、零の中に眠る圧倒的な素質がはっきりと映っていた。
「――この子は、ぜひとも僕が育てたいね」
心の奥底から、弟子にしたいという衝動が込み上げてくる。
「期待してるよ、少年……」
ニヤリと笑い、月明かりの下にその姿を消した。
どうも、ヨウです。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
次回から主人公と唯が戦闘するという展開を予定しています。
少しでも面白いと思っていただけたら、評価(☆☆☆☆☆)やブックマークをしてもらえると励みになります。
感想も大歓迎です! いただいた声が、今後の創作の大きな力になります。
次回も楽しんでいただけるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします!
それではまた次回で!




