22話 運命は残酷に、夜は明けない
我が娘となった葵が屋敷に来て早1週間過ぎた。
「パパ〜」
あっという間に俺に懐いて抱きつくほどに甘くなった。
うん、距離感縮むの早くない?
こんなに心が開くようなものだったか?
「よしよし」
頭を撫ぜていると更に甘えてくる。まるで、妹と相手しているような…姉さんたちもこんな風に俺が甘えていたから激甘なんだろうか?そう考えると俺ってかなりやばかったのでは?大丈夫?
「むう〜…」
頬を膨らませる子が1人、俺の隣で抱きついていた。俺の妹、絵里である。絵里も俺に甘えてくる甘えん坊。葵に構うことが多くなったせいで不満を抱いているのか?
嫉妬なのは可愛いがあいからず、優のことを嫌っているのはどうにかしてほしいがあいつと絵里じゃ、相性が悪いのか会っても喧嘩が勃発してしまうから無理に仲良くなるのは…無理か。
喧嘩にならないことを祈るしか俺には何もできない。
「にぃに〜!あおいにかまいすぎ!ずるい!私も!」
「はいはい」
絵里にも頭を撫ぜると絵里も甘える。甘えん坊しかいないのかここ…いや、それくらいが丁度いい。
「…両手に花だね」
「何を言ってんだお前」
優、いたのかよ
「いたさ」
「……なんでいるの!」
絵里が不満な顔をして優を睨む。2人の仲が前より悪化しているのは俺の気のせいか?絵里が何やら恐ろしいオーラを出しているんだけど…なんだこれ?
「パパ〜」
「随分と変わったね。葵は」
「ああ…変わり過ぎてびっくり」
「それには同感だよ」
同感って…まあ、間違ってはいないか。1週間でここまで心が開くとは俺も予想外。
ただ、最初は甘えるというか…俺と一定の距離を離れていたからな。警戒したから甘えては来なかったが一緒に寝て5日目?くらいから少し甘えてきた。
手をつなぐとか触るのにも少し時間がかかった。
まあ、最初から甘えてきたわけではないが1週間でここまで変化するとは思わなかったと言っておく。びっくりするような心情の変化。
人って変化するもんなんだな。
「パパ〜好き〜!」
「俺もだよ」
可愛いな
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その頃、別の場所では
「ふわぁ〜眠いわね」
エリーは外に出て、散歩をしていた。外は雪が降っているため寒い。少し震えているが問題はなかった。
「……」
空を見上げていると雪が降っていた。真っ白な雪が彼女の目に映る。
「日本に来て…35年ね…時が過ぎるのは早いわ…」
日本に来て早35年、最初は大変だったが好きな人ができた。
好きな人は楽しく、笑えられる人だったが家族を失ってから人が変わったように別人になった。
それでも面影はあったからずっと好きに一途に愛した。でも、自分たちが苦労して産んだ子供たちが殺されたことは怒りに覚えるくらいに激怒した。
子供を殺した人間は"当主"ではないことは分かっていた。だから、真犯人を見つけるために我慢した。
でも、我慢はできなかった。許せなかった。大事な子供たちが殺されてしまった時点で彼女の心は限界を迎えていた。
子供を作るのが怖かった。だから、6年、子供を作る気がなかった。
由紀が誕生した後もこの子もやられるかもと心配と恐怖が彼女に襲った。
怖かった、大事な人が殺されてしまうことを
「零…ごめんね…お母さんがこんなに頼りなくて…」
9番目に生まれた子。零は東雲家の運命を変えた。殺されそうになった由紀、愛香を救い、運命から逃れることができた子
「……」
運命は大きく変わった。大きく変化し、東雲家はこれからーいや、もう既に変わっている。
どんなにこれから大きな試練が待っていても必ず変えることはできるだろう。
そう、エリーは信じていた。
だが、彼女の願いは叶うことはない。
これからの先の運命は"今"以上に大きなことが起きてしまう
「ん?」
彼女に猫が現れた。それは彼女がかつて"実家"で育てていた猫とそっくりだった。
「あら…どうしてここに?」
知り合いなのか猫の頭を触ると
彼女の脳内に流れる"未来"
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「……」
倒れている男性の前に無言で立っている零
「…零…?」
「……」
光のない目がエリーを見る。
_____
「…絵里?」
動かない10代後半くらいの少女が息を引き取った。
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「なんで俺たちから離れる?」
「離れる?まあ、間違っていないね」
「間違っていないと簡単にいうんじゃねえよ!俺たちは家族じゃねえのか!」
「家族さ。それは今も昔もこれからも変わらない事実さ」
「…これからどうする気だ?」
「…大丈夫さ。これからのことは決めている。私は大人の都合のために犠牲になる子供を減らす」
「大丈夫だと?…犠牲になる子供を減らすことはお前ならできるかもしれない。だが、それだけで納得するはずがねえだろ!なぜ!あんなことをした!」
「お前がやらなくても…」
「なぜだと?ならなくてだと?お前に分かるか?兄さん」
「この気持ちが…許せなかったに決まっているじゃないか」
「……」
「大事な人を奪っておいて必要じゃないからと実の子供すら捨てるこの世の中が私は嫌いなんだ。2度と私のような被害者を出さないためにやった。」
「…それが答えなのか…」
「答え?ふっ…それが答えさ。私は結論を出した。私は生き方を決めた。」
「今更、撤回するなんて甘えたことは私にはない。」
「"優"…お前…!」
「私はもう、君が知っている"私"ではない」
「さらばだ、"零"」
"黒"髪の男と"銀"髪の男の最後の会話
_____
「……何か言いたいことはあるか?」
「ふっ…どんなに頑張っても"運命"からは逃れることはない…」
「……」
「ここまでなんだな…って悔しいよ…」
「……」
「でも…これが運命…なのかな…お兄ちゃん…"あの子"のことを…私の子を…よろしくね…」
「!何…」
「あはは…そんな顔…久しぶりに見たな〜…ごめんね…託すことになって…」
「…"冬華"……ーーー」
「っ!あはは!……私もだよ…ずっと…"愛している"」
銀髪の男は銀髪の女をーーー
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満月が見える夜
「……零、色々とあったね…」
「…そうだな。ふっ……なあ、"唯"」
「?」
「楽しかったか?俺と一緒にいた時間は…」
「ふっ…楽しかったわよ。貴方と一緒にいたことは…私の宝物だよ。"零"」
老人2人は笑いあって……
______
「……!はぁ…はぁ…今のは…」
今見えた謎の記憶、いや、"今"起きていない記憶。
「にゃ〜」
「……まさか…これからの未来?いや…そんなわけ…」
見えていた未来の1部にも満たない一瞬の映像。それはあまりにも…
"残酷"
「でも……いや、そんなわけ…」
顔色を悪くなったエリーは猫を抱っこし、屋敷へと戻った。
彼女が見えた"未来"に何があるのか
その時の彼女には知らない
"夜"は明けないのだから…
どうも、ヨウです。
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