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怪々呪殺  作者: ヨウ
第3章 運命変異
21/58

21話 友禅院陽香の過去 下

俺らは子供たちがいるって部屋に向かっている。


呑んだくれの爺のくせに俺と同じくらいくらいのスピードで歩けるのは少し理解し難い。


体格なら間違い無く、俺の方が大きい。


ただ、この爺は180以上。日本男性の平均が170前後と考えると背が高いが俺と爺は10センチくらい差があるから俺の方が早いのが普通なはずだ。


まあ、スタイルが良かったら歩幅広かなるって話は聞いたことがある…


そんなわけがないな。呑んだくれ爺がスタイルいいなんて気色悪い話だわ。吐き気する…


「お前の息子の怪明はどんな奴だ?甘えん坊か?」


会ったことがねえからどんな奴なのか知らねえ。爺がまともに子供を評価するのか怪しいがさっきの言葉からしてそれなりに父として子供との距離は近いみたいだが、どうなる?


「あ?ああ…あいつは甘えん坊だがあの女のことはかなり嫌っている。姉弟仲良く、母親嫌いなのは笑える話だな」


教育成功しているんだな。こいつと同じ道に辿らないように祈るしかねえが祈っておこう。


「何祈ったんだ?」


「いや、なんでもない」


この爺みたいな性格にならないことを祈っているとか口を割いても言わないでおくとするか。


「母親嫌いとかあの女何しているんだ?流石に実の息子くらい溺愛してもいいだろ」


「ふん、あいつには才能があるからな。嫉妬だろうな」


「子供の才能に嫉妬するとか心の器狭えな」


2歳児と張り合うとか何を考えてんだあの女。


歩いていると扉が開いている部屋に来た。


何か嫌な予感がする。爺と同じか変わらないが嫌な予感が俺の背後に襲った。"何か"あると


「お〜い……」


「……」


まさかこうなるとは…


俺たちが目撃したのは



ギリギリ息している母親と漆黒の目で無表情に立っている餓鬼とそのガキを抱きつく姉たちの姿だった。


血まみれなガキたちの姿に俺は声を出すことができなかった。


「…くっそっ……怪明…!よくも…!」


"何か"に噛まれた跡や刺された傷が体中にある女。あんなに怪我してんのにまだ、生きていたのかよ。


「ふん、ようやく死んだか」


「死んでねえ…よ…!」


「黙れ死人。お前には興味ない。怪明、お前がやったのか?」


「……」


頷くガキ。


「違うの!父さん!」


「怪明は私たちを助けるために…守ってくれたの!」


何?守ってくれた?


何か誤解を受けているようだが何があったんだ?


「…どう言うことだ?」


ガキの姉たちの話を聞く。


とんでもねえことをしていることが分かった。


どうやら、この女は姉たちが男嫌いではなく、弟を溺愛しているため、気に食わなかったからと包丁を持って殺そうとしていたらしい。


何を食べたらそんな行動するんだこの女。そんな理由で人を殺そうとするとか正気か?


それでやられそうになった2人を守るためにガキは能力を発現して犬みたいのを召喚して撃退して、"謎の光の式神"によってボコボコにされたらしい。


聖なる力でボコボコにされてこの女はボロボロになっていると…ふむ、正当防衛だな。


ってか、2歳児の式神にコテンパンされるとかダサすぎるだろ。


抵抗虚しくやられるとかどんだけ弱いんだ?



「…そうか」


爺は女を見て歩き、殴る。


「父さん…?」


ガキどもは驚いていた。いや、これは無理もない。


いきなり母を殴るとか子供からしたら何をしているんだ?と困惑する。だが、悪いのは女だ。


「なっ…何をするなよ…!」


「黙れ、お前はやってはいけないことをに手を出した」


また、殴る。


「いっ…痛い!」


「黙れ。あいつらの怖さと比べたら可愛いもんだろ。お前は自分通りにならないからと自分の子を殺すのか?」


「お前がどんなに過激な思想でもどうでもいい。」


「だがな、子供を殺そうとするのは"親"としてやってはいけないことなんだぞ…!」


腹に一発、脇腹に肘を打ちつけ、さらに顔を壁に叩きつける。


女は死にかけているがお構いなく、殴って蹴っている。1分も満たない攻撃で女は気を失っていた。


「……過激な思想を抱くだけの外道に"思い通り"の現実なんぞ来るわけがない。」


「お前ら、この部屋から離れろ。ここは俺がやっておく」


3人は部屋から出た。


「陽香、3人のことを頼む」


「……分かった」


面倒な役をやることになるとはな。爺、あんたに同情する。


_____


その後、あの女は生きていたが治療は遅く、すぐに亡くなった。


誰も女の事を助けなかった。


友禅院家の中で嫌われていた女の末路は残酷な結果となったが誰も記憶の底に残ることもなく、まるで女がいなかったようにいつもの生活は戻った。


爺は前よりも少し明るくなっていた。


「爺。妙に顔色が明るいな」


「ふん、酒のせいだ」


「酒のせいね〜…」


酒を飲んでいるとはいえ、そこまで顔色が明るくなるか?それに酒を飲む量が妙に増えている。


「爺、何本目だその瓶」


大量にある瓶が爺の横にある。1人で飲んだんだろうと分かるがそこまで飲むか?


「40」


「どんだけ飲んでんだよ」


飲み過ぎにも限度があるだろ。いくらなんでも…40本飲んでいるとか本当にこの爺の肝臓はどうなってあがる。


「アル中で死ぬぞお前…」


「ふん、死ぬわけないだろ」


馬鹿みたいに飲んでいるのに?まだ、朝10時だぞ…やっぱり、妻を亡くしたことには流石に爺でも心にダメージを受けるか


「あの女のことでか?」


「……」


「当たっているか」


図星だったようだな。


「…ケッ、あいつが死んでも俺は変わらん」


「そうか?そんなに酒を飲んでいるようだが?」


「……」


「自暴自棄になってるがそのままじゃ、お前の子たちに顔向けできんぞ」


「俺が堕ちようがあいつらは関係ないだろ」


「いや、あるだろ」


爺の娘たちは中学生くらいか?いや、まだ小学生だと思うがある程度の心の整理はできるが


「怪明のことをどうするんだよ」


「…あいつのことは2人に任せている」


なんで息子のことを娘たちに任せているんだ?この爺


「お前がやらないとどうにもならんだろ。怪明のことを知っているお前が何もしないとか何を考えてんだ?」


「さあな」


「さあな」じゃねえだろ。これ以上話しても頑固不器用爺の心に響くとか無理だな。諦めるとするか


「んじゃ、また」


「ああ」


その場から離れて俺は怪明を探す。


あの2人はある程度元気になったが怪明だけは違った。


まだ、心の傷は残っているはずだ。


しばらく歩いていると見つけた。


「……」


やはり、ダメージはまだ残っていたか。


無表情で貫く生活を送っていた怪明は前と比べて明るさが無くなっている。


2歳児にはあまりにも強すぎた。あの現場を見て何も変わらず、お終いとはならない。


心の傷が深かった。クソでも一応、母親だったんだ。心の傷があってもおかしくもない。


「…お前が怪明か」


「……誰?」


俺のことを知らんのか。いや、無理もないか。会った回数なんぞ数える程度しかない。知らない方が普通か


「俺は友禅院陽香。お前の従兄弟だ。お前の父親の弟の子と言えば分かるか?」


「……」


親戚関係を2歳児が分かるわけねえわな。


「分からんか。まだ、2歳だもんな」


「……ワイは…母を殺したようなもんだ…何故、構う?」


何故、構うだと?


「構ってはいけない理由はあるか?」


「…ワイは…」


「人殺しだと言いたいのか?」


「…!」


動揺している顔を俺に向けた。どうやら、俺の言葉は図星だったようだ。こんなことを考えるとは子供らしくない。


「お前の母親を殺したのは見殺しだ"俺たち"大人だ。お前のせいじゃない。あの怪我でも助かる可能性は大いにあったからな」


「……なら、何故、助けなかった?」


「助ける理由がないからだ」


あの女を助けたところでこの家でメリットなんてない。


あのまま、助けたら今度こそ、こいつの姉たちは殺されていただろう。実の子供を殺そうとしている奴を助ける"義務"なんて俺にはない。


助けるべき者が犯罪者だろうと助ける精神は甘い考えだ。全ての人を助けたいなんぞ、綺麗事なことを言っている方だけの馬鹿だけだ。


「人は全員助けるべきか?くだらん、この家に聖人みたいな人間なんて存在しない。そう言う奴は現実を甘く見ているだけだ」


全ての人を助けるなんて現実ではあり得ない。あり得る現実でもない。


「不平等に助けるのが"人間の本質"だ。ただ、助けるのは事情の知らない人を助ける人くらいだ。」


「そんな奴は助けないといけないと内心思って動いているがその人が必ず助けるなんて"ない"」


人だって嫌いな人は必ずいる。嫌っている人はいる。あの女がこいつをそう見ているように、俺はあの女を助けない。


助けることが全てではない。受けるべき罰は受けるべき思想が存在する世界で助けることが善意ではない。


「人間の正義は人それぞれだ。お前がやったことが"悪"と思っても俺たちからしたら"善"だ。善意であの女を倒したわけではない。お前は守るべき大切な人を優先して守るために動いたことだ」


悪いなんてない。こいつがやったことは大切な人を守るために動いただけのこと。女がやったことが"善"と言うのは女と価値観が合う奴らしか分からない。


「後ろ向きになることはない。守るべき義務を果たしたお前は"英雄"だよ」


「…英雄…」


「そうだ、誇れ」


「お前はよくやった」


これだけ言っておけば後はこいつの姉たちがなんとかするだろうな


「ふはは!」


「……」


こいつ笑っただと?突然、笑うなよ。


「いいね!ワイも前向きになるわ!」


立ち上がって怪明は俺を見る。


「"ありがとう"」


「!」


「あとは大丈夫だ」


走ってその場から去った。どこに向かったのかは俺には分からん。だが…


「……あんな性格だったのか」


少し、爺に似ているな。元々の性格は爺よりだったとはな。


「やれやれ……」


親子揃って不器用で優しいんだな。いや、怪明の方がマシか


「……」


今思ったんだが怪明の一人称が"ワイ"だったな…


「あんな一人称どこで覚えたんだ?」


後で書いたんだが怪明から一人称の"ワイ"は姉たちの趣味からしたらしい。


そんなことあるか?


_____


現在


……あれから4年経ったのか。


怪明はもうあの時より背が高い。相変わらず明るいが、笑顔はあのときと変わらない。


あの時、俺は確かに“英雄”だと言った。


だが――本当の意味での英雄に、なったのはあいつの方だったのかもしれないな。


……ま、今更素直に認める気はねえけど。

どうも、ヨウです。

ここまで読んでくださりありがとうございます!


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感想も大歓迎です! いただいた声が、今後の創作の大きな力になります。


次回も楽しんでいただけるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします!


それではまた次回で!

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