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怪々呪殺  作者: ヨウ
第3章 運命変異
20/58

20話 友禅院陽香の過去 上

20話突破!!!

19話の時の話も少し入ります。

「まったく、餓鬼がこうも子供らしくもねえことを考えるとはな」


 子供たちが“愛”だの“理解”だの語っていた場面を思い出しながら、陽香は肩をすくめて笑う。


「ガキが“愛”を語るかよ……バカバカしいったらありゃしねぇ」


 だが、どこか寂しげに呟くその背中には、陽香の“ある記憶”があった。


「でもな、アイツ(怪明)には……あったんだよ。クソみてぇな“選択肢”しかねぇ頃がな」


 陽香はふと、妹子家の使用人から差し出された酒を受け取り、グラスを傾けた。


「……ま、本人が口にしねぇなら、代わりに俺が語ってやるさ。あいつが、今でも笑ってる理由をな」


 揺れる酒の液面。その向こうに、過去の記憶がにじみ出す――


_____


6年前


友禅院家の屋敷


「何、トイレで吐いてんだお前。また、吐いているのかよ」


「…あ?なんだ、陽香じゃねえか」


酔っ払いの男がトイレで吐いているところを目撃した。


気色悪いがいつも酔っ払っているこのクソおじさんは友禅院雷人。後に友禅院怪明の親父になる男だ。


トイレしようとしていたところで男が吐いている光景は思わず、顔を顰めてしまう。


自分も吐くところだったがぐっ…と堪えてため息を吐く。


「50超えた爺が何吐いているんやら…飲み過ぎだ。どんくらい飲んだ?」


「酒瓶20。まだ、飲み足らん」


「飲み過ぎだわ馬鹿」


どんだけ飲んでんだよ。50超えても昔から変わらんなこいつ。


馬鹿みたいに飲んでおって肝臓が健康状態とか意味が分からん。こいつの肝臓は人間の肝臓なのか?


「なんだその目?」


睨まれたが無視だ。こいつ、娘2人いるのにこんな状態だ。呆れる。


「早く、トイレに出ろよ。そこにそのままいたら"アレ"が来るぞ?」


「……"アレ"か」


顔を顰めているのも無理もねえ。俺らはまとも側の人間だからな。


"アレ"というのは同性愛の男どもがここで何かしていること。


"何か"とは何か口に言うことはねえがあんなもんをガキの頃から目撃しているからかトラウマになったのは口で言わないとするか。


「それは面倒だな。全く…当主は何をしている…まともだが性癖が"アレ"なのは…」


雷人は顔を顰める。現当主は歴代友禅院当主の中でまともな部類であり、常識人。だが、欠点はある。


他者の性癖に文句を言うのは良くないと思うが屋敷中どこでもやっている男どもがたくさんいるから俺たちではどうにもならん。


「男が趣味なのは現当主から始まったことではない。だが、後継者がいない中、どうなるとかは俺でも知らん。たが、"あいつ"が狙っているのは間違っていない」


俺ら2人はトイレに出ると雷人はため息する。


"あいつ"というのはこいつの妻。男どもや女たちと仲の悪い嫌われ者。


かなり嫌っているが男嫌いになるのも無理もない生活を送っているからまとも側の俺たちからは少し同情している。


「テメェの女のことか?夫婦中が悪いもんだな」


喧嘩をしているとはあんまり聞いたことがない。爺とあの女の仲は良くも悪くもない。あの女がまともに会話する大人は爺くらい。


夫婦だからというのも理由の一つだが爺はこの友禅院家の中でまともな部類の男。


会話をまともにできるくらいに爺のことを気に入っているって話を使用人たちから聞いたが間違ってはいないな。


そうじゃなきゃ、あの女がこの家にいるわけがないし


「ふん、元から政略結婚だ。結婚せずに独身を貫こうとしていたのに…親父が強制結婚する羽目になっただけの話。もう、10年も前の昔の話だ」


元から独身生活で生涯終わらせようとしていた雷人が前当主…俺の祖父が強制的に結婚させたという話があるが実際は知らん。


俺の祖父は俺が生まれる数年前に死んでいる。だから、俺の祖父がどんな人なのかは知らないが生前に色々とやっていたせいで爺たちは面倒な役をやらされたらしい。


爺が酒好きのアル中になったのも俺の祖父が原因かもしれない。


まあ、爺の性格からして面倒事を処理するくらいはやると思うが真面目に仕事をすると言う性格ではないからそこら辺はどうなのかは知らん。


「前当主はもう、20年近く前に死んだんだろ?なんで今更…」


「死ぬ前に両家で結婚話したって話だな。本来なら当主と結婚予定だったが死ぬ直前に変えたって話だ。話は30年前に決まっていたみたいだぞ?」


「当時の俺はまだ20もいってないがな。だが、あの当主と結婚させるなら…っで俺になったわけだ。」


「いい判断だな」


「おかしいだろ。どう考えても」


いや、あの女の性格は男嫌いだからな。しかも、この家は"アレ"だ。現当主すらそんなんだからもし結婚するとしても結婚生活続かんだろ。


こいつもこいつで性格に難はあるがまとも側だから結婚するならまだマシだ。


「吐き気する…」


「また、トイレで吐くのか?」


「いや、そう言う意味ではない。胃が痛くなっているってことだ…」


胃が痛くなるだと?酒の飲み過ぎじゃねえか?


「食中毒でもなったんじゃねえか?」


「いや、それはない」


「あっそっ…」


腹が痛い原因は何かは俺は知らん。


「んじゃ、俺は部屋に戻るから」


「戻るのか?彼女でも部屋に入れるとか?」


「なわけねえだろ変態爺」


俺に彼女はいねえよ


_____


1年後


来年、大学生になる俺はいつものように歩いていると隣から声が聞こえた。


「やはり、ここにいたか」


「あ?」


後ろを向くと俺と同じくらいの身長で筋肉質の眼鏡をかけた男ー友禅院咲、俺の兄貴がいた。なんでここにいるんだこいつ。暇かよ


「俺に用か?」


「親父が来いってさ」


「……」


親父が俺に来いだぁ?進路の話でも聞こうとしているってところか?昨日したのにまたしろってことか。


昨日したはずだろ…なんで昨日やったことを今日もやらないといけないんだよ。


「進路か?」


「それもそうだが今日は…いや、なんでもない」


「……」


今日は何かあったか?う〜ん…確か、俺の兄が亡くなった命日だったな。俺が生まれる5年前、兄貴と2人兄弟だが、その上に兄がいたらしい。


って言っても、生まれて次の日に心肺停止、その後に死亡したらしい。心臓病で亡くなったと聞いていた。


「2月か…」


2月5日の景色は"現在"と同じ雪の景色だった。


「今生きていたら同じ景色でも見ていたんだろうか?」


「さあな…俺は兄だった赤ん坊のことは知らん。」


「冷たいな」


「会ったことがない人にどう感情的に言えばいいんだ?」


それはごもっともだな。


「…医者の技術じゃどうにもならん病気だ。今でも"無理"だからな。能力でもできるのには限度がある」


「……」


20年以上前の話は俺は知らない。過去に…何をしようと何もできない。


「そう言えば、あの爺に息子がいるって話は聞いているか?」


「突然の話だな。知っているぜ。」


確か、去年の夏に生まれた餓鬼のことだろ?


「あの爺の息子の名前が確か…怪明だったか?姉たちはかなり激愛しているって話は聞いている」


去年の8月に生まれ、あの大戦の日と同じ15日生まれの餓鬼。あの爺は男が生まれても態度が変わらなかったがあの女はかなり嫌っている。


男嫌いなあの女が男子を産んだことを嫌うとか自分の子供に対してかなり冷たい。あの女の娘が弟に対して激愛しているのは良かったと言えばいいのか…


まあ、あの女のことを嫌っている娘たちのことだ。あの女が喚いても無視している常識人な奴らだし、問題ないだろう。


「あの爺とあの女の子とは思えないまともな2人に甘やかされるから問題ないが…息子も似たような成長をしたら…」


あの娘たち2人は本当にあいつらの子供か?友禅院家の七不思議の一つに数えられているほどに謎だからな。俺が考えても結論を出せるような話ではないな。


「んじゃ、親父のところに行くわ」


「言ってこい」


兄貴と別れて親父のところに向かった。


結局、話は大学進学についての話だったが偏差値のかなり高い大学に行く予定だったから特に変更はなかった。


金の心配なんてないからな。この家の財産もあるが俺はこれでも霊や魔物を倒して金を稼いでいるから金の心配なんて不要。


数千万程度で充分だろうし


_____


更に1年後


大学生になった俺はとある日、屋敷で歩いていると変なババアに会った。似た目は30代後半、あの爺の妻に遭遇した。


「チッ…」


「いきなり舌打ちとはひでえじゃねえか」


こいつ失礼だな。爺とは態度が違いすぎる。この女は舌打ちして睨むだけだったが


「…気分最悪よ。貴方に会うのはまだマシね」


「逆にまとも側が少ねえからな」


俺でもまだまともな対応するとか終わっているがな。


「…そうね」


女はどこかに行ったが俺は無視した。


だが、この時の俺は予想できなかった。


まさかこれがあの女との最後の会話だとは…


_____


「ふわぁ〜酒うまいな!」


「朝っぱら飲むんじゃねえクソ爺」


歩いていたらまさか爺にも遭遇するとはな。この夫婦との遭遇率が妙に高いのは俺の気のせいか?いや、そんなもん何年も前から高いから今更か。


「ふん、今日は全然飲んでおらん。酒瓶10個しか飲んでおらん」


「少ないな」


11時回っているのにまだ、そんくらいしか飲んでいねえとは今日は槍でも降ってくるんじゃねえか?怖いから後で地下に逃げるか。


地下室…あるのかこの屋敷?


「だろ?嫌な予感がするから呑み少なくしたんだよ」


「嫌な予感?肝臓検診とかじゃねえのか?」


肝臓検診が近いから抑えているのか。それでも飲み過ぎだろ。


「……違う」


「違うのかよ」


検診日じゃねえのか。


本当に嫌な予感を感じているようだな。嫌な予感とは何か分からんがこの爺のことだ。変なことを勘付いているんだろ。


「今から我が息子たちを見に行くがお前も来るか?」


「…お前から行くのかよ。気まぐれで子供たちの姿を見ているだと思ったわ」


「そんなわけないだろ」


お前、真面目に子供の姿を見ていたんだな…普段の態度と行動からして子供の様子を見るとかそんなもんしねえと思ったわ。


これが独身生活を貫こうとしていた男の姿か?2年前と全然ちが……いや、呑んだくれなのは変わらんか

どうも、ヨウです。

ここまで読んでくださりありがとうございます!


次回で友禅院陽香の過去が終わります。


少しでも面白いと思っていただけたら、評価(☆☆☆☆☆)やブックマークをしてもらえると励みになります。


感想も大歓迎です! いただいた声が、今後の創作の大きな力になります。


次回も楽しんでいただけるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします!


それではまた次回で!

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