11話
事件から早半月
「クっーソ!」
老人は物を投げる
「まさか私の足が動かなくなるとはな…!」
自身の足を見る。一見見ると何も問題はなさそうに見えるが完全に神経が終わっていた。
足だけではない。内臓の機能が落ちていた。重要な肝臓や膵臓、腸、肺(左側)、心臓までもやられた。
機能が完全に死んだわけではないが点滴や看護する使用人がいないと生活できないほどに障害が残ってしまった。
能力の力が弱まったわけではないため、洗脳活動は実行できるが以前のような活動は難しい。
「ざっけんなよあの小僧!」
怒りを露わにするも行動を起こさない老人。
それも当然だ。零の攻撃は、洗脳した対象を通して支配者へと届く。
今回が“この程度”で済んだのは、ただの幸運に過ぎなかった。
それはそのはず、零の攻撃は洗脳した対象から通じて支配者に攻撃ができるという力を持っていた。
今回が“この程度”で済んだのは、ただの幸運だった──次もそうとは限らない。
まともに生活できないほどに体の機能の低下は流石の老人でもお手上げだった。
「流石に次は考えないといけない。最初の時点で始末するべきだったが…それは余計にあの小僧の覚醒を招いてしまう。不味いな…」
零の覚醒はとんでもなかった。すでに老人がどうこうできる領域を超えている存在。
最早、小僧だからと文句を言えるレベルではない。1人の人間として認めないといけない。
未熟な人間であると甘い考えを捨てなければならぬ事態になってようやく、老人は理解した。
だが、遅すぎた。理解するのが既に後悔してしまう領域へ達してしまった。
「80年生きた私がここまで制御できぬとは…認めるしかないだろう…あの小ーいや、あの男は我々がどうにかできないほどに成長している。しばらくはあの家に手を出すことしないでおこう」
方針を変える、次、手を出したら死ぬのだから当たり前であるが東雲零の脅威のレベルを更に上げる事態となった。
「年は長く生きれるような体ではないが……私と同じことをできる一族の人間なんぞいない。」
「私のような末路をたどらぬよう、痛い目を見る前に気づかねばならんのだ…」
だが、80年生きている老人は理解している。これから、自分たち一族の末路がどこに堕ちるのか、未来はどうなってしまうのか。
それは時代に置いてかれてしまった老人すら理解できる。
滅亡
その単語が老人の頭の中にあった。
「……しばらくは休養だ。あと、数年の先の短い人生だが次あの男に手を出す時は」
老人は決める。
「滅亡の刻だ」
声にならない覚悟が、病室の空気を鈍く震わせた。
______
その頃、東雲家の屋敷では
「はあ?集まり会?親戚会じゃなく?」
先日、倒れてしまった零は顔を顰める。
相手は教育係の黒崎だった。
「はい、我々と同じく、権力の強い一族同士の集まり会でございます。次期当主になられる零様のご参加は我が当主様からは何も言われていないため、参加は零様の自由となっています。どうされますか?」
「参加しない。いつものように日向ごっこする」
日差しの差し込む縁側で、ただぼんやりと過ごす──零が何よりも好む静かな時間だ。
「お好きですね。日向ごっこ…それと、今日の予定はここまでです。」
黒崎は片付ける。いつものように勉強をする時間だったが、今回は短い。
何かの集まり会が原因なんだろうと零は理解する。
今日は勉強時間が少なかったため、内心は気楽な気持ちになるも面倒なことをしているんだなと顔を顰めたいような気持ちになってしまいなんとも複雑な気持ちになる。
(そんな集まり会なんてする必要ない。いちいち、面倒なことをする)
黒崎の行動からしてこの屋敷で行うようだ。
……零の小さな足音が、静かな廊下に消えていった。
どうも、ヨウです。
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