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供養食堂 灯(とも)  作者: 脇汗ベリッシマ
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はじまり


「忘れられないごはんは、心に一番近いところにしまってある。」



音もなく火が揺れていた。

 土間の囲炉裏に置かれた鉄鍋から、ゆるやかに湯気が立ちのぼる。

 味噌と出汁の香りが、まだ目覚めきっていない体の奥に、じわりと染みこんでくる。


 ――ここは、どこ?


 そう思ったときには、すでにともはその場に座っていた。

 誰がそうしたのかもわからない。けれど、不思議と不安はなかった。

 ただ静かで、あたたかくて、懐かしい台所のような場所。


「……灯さん。お目覚めですね」


 背後から声がした。白い髪の青年が立っていた。

 彼は微笑みながら、ゆっくりと言った。


「ここは“狭間はざま”です。現世と来世の、ちょうど途中。

 あなたは……もう、戻れないところまで来たんです」


 ああ、と灯は思った。

 わかっていた。

 体の痛みにも、めまいにも、何年も前から気づいていた。


 でも、言えなかった。

 頼れなかった。

 働かなきゃ、止まったら、全部こわれてしまうと思っていたから。

 気づいたときには、帰り道の街灯が滲んで見えて、

 気がついたら、もうここだった。


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