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……すべてが、終わる。ぼくはその言葉を頭の中で繰り返した。
「死とは影のようなものなのです。つねに私たちの後ろにべったりと張り付いて離れないものなんです。でも、それは死に悪意があるわけではありません。死とは命にとって、もっとも信頼できる友人とも呼べるような存在なのです。それは信用に足る確固とした形を持っている概念なのです」
「それは神様のようなものですか?」とぼくは言った。
「神様と死は別のものです。でも、私たちは神様を見ることも、感じることも、考えることもできませんが、死はきちんとその存在を認識することができます。『死は神様よりも少しだけ私たちの近いところにいる』、と定義できる存在ですね」と睡蓮さんは言った。
……、がたんごとん、という列車の走る音がした。そして直後、……、かちかち、と天井の明かりが点滅した。
「他人のことが気になりますか?」と睡蓮さんは言った。
「他人の目が気になりますか?」と睡蓮さんは言った。
ぼくは黙っていた。ぼくは黙って、ただ睡蓮さんのとくん、とくん、という優しい心臓の鼓動の音にだけ、その耳を傾けていた。(それは、命の音色だった)
……、がたんごとん、と、また列車の走る音が聞こえた。




