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 列車はベンチに座っているぼく目掛けて突進してきた。ぼくはその光に息を飲んだ。

 ……このままこの場所にいつづければ、ぼくはこの列車に引かれるかもしれない。ぼくは心の中でそう思った。かんかんという音は今ではとても大きくなって、本来の役割である警告音の役目を立派に果たしていた。綺麗だと感じた光は洪水になり、ぼくはそのまぶしさに恐怖を覚えた。ぶおーーーーー!! という音がした。それは列車を引く機関車の煙突から勢い良く煙が発せられた音だった。でもぼくにはその音がまるでなにか巨大な獣の咆哮のように聞こえて、自分の身を小さく震わせた。

 ……ぼくはここにいてはいけない。この場所から一時でも早く逃げ出さねばらならない、とぼくの心が叫んだ。だけど体はちっとも動かなかった。(小さく震えていたと思う)やがて列車の走る振動を体に感じ、巻き起こる風がぼくの前髪を揺らし始めるくらい列車が接近してきた。

 ……ここでぼくの人生は終わる。ぼくはここでこの列車にひかれて、死んでしまうのだ。……でも、それでもいい。そうなってしまってもいいんだ。ぼくは巻き起こる恐怖を心の奥底へと押し込めていた。体の震えは止まらない。大きな光がぼくを飲み込んでいった。

 ぼくはぎゅっと目をつぶった。

 直後、きーーーーーー、という高い悲鳴のような音がぼくの直ぐ近くで鳴り響いた。それは耳をつんざくほどの奇声だった。ぼくは思わず両手で自分の耳を塞いだ。いったいなにが起こったんだろう? ぼくはそんなことを疑問に思った。

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