表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/400

51

 黒猫の子猫は病院の外に出た。

 ぼくは階段のところから移動して、病院の待合室を抜けて、さっきまで黒猫の子猫がいた玄関の前のところまで移動した。

 そして、開いているドアを抜けて、病院の外に黒猫の子猫を追って出て行こうとした。

 すると開いているドアのところから、……びゅーと、とても冷たくて強い風が吹いた。

 ……ぼくはその風のあまりの冷たさに、その透明な風の中に、『死というものの存在』を強く感じた。

 白い雪が、その風の中で、まるで散るたくさんの花びらのように舞っていた。

 ぼくは凍えるような冬の寒さで一瞬、体を動かすことができなくなった。 

 でも、ぼくはその風に負けずに、開いているドアを通って病院の外に出た。

 病院の外は真っ暗だった。

 雪の降る闇の中に光る二つの緑色の瞳が、遠くからぼくのことをじっと見つめていた。

 ぼくは雪の中を歩き始めた。

 この寒さの中を黒猫の子猫のいるところまで歩いていけるか心配だったけど、病院の外を歩き始めると、なんだかもう寒すぎて体の感覚はほとんど麻痺してしまったようで、あまり寒さなどは感じないようになっていた。だから四本の足の裏も、もう冷たいとは感じなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ