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「ただ、今朝は少し数値が高いね。だからいつものとは違う、特別なお薬を服用してもらうことになるけど、風ちゃん、飲んでもらえるかな?」

「……はい。大丈夫です。宜しくお願いします」と風は妙に神妙な態度でそう言った。その数値が高くなってしまった原因が昨日の真夜中のお散歩にあるということを風は自覚しているのだろう。風は反省しているのだ。

 診察が終わると大麦先生と冬子さんは笑顔で病室を出て行った。二人がいなくなると風は「はぁ~」と大きなため息をついた。「特別なお薬って、とっても苦いの。……飲むのやだな」と風は言った。「ま、しょうがないか。元はといえば、私の不注意のせいだもんね」そう言って風は笑顔になった。

 とんとんと病室の扉がノックされた。

 そこから入ってきたのはトレイを持った秋子さんだった。

 風が名前を呼ぶ前だというのに、その看護婦さんが秋子さんであることが、なぜかぼくにはなんとなく理解することができた。(自分でも不思議だったけど、でも、風の言った通り慣れるとそういうことは自然とわかるようになるのかもしれない)

「おはよう、風ちゃん」

「おはようございます。秋子さん」と秋子さんと風は朝の挨拶をした。

 挨拶を交わした二人は、それからとても楽しそうに微笑んだ。看護婦さんはやっぱり秋子さんだった。

「おはよう、猫ちゃん」と秋子さんはぼくにも朝の挨拶をしてくれた。ぼくは「にゃー」と鳴いて秋子さんに朝の挨拶を返した。秋子さんは二人の朝ごはん(やっぱりほとんど同じ献立だった)を机の上に置くと笑顔で病室をあとにした。風はベットから這い出して、朝ごはんを食べる準備を始めた。ぼくも机の上に移動した。

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