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「大丈夫だよ。安心して。もし君に死ぬときがくるとしたら、必ずぼくが君のそばにいてあげるからね」とファニーファニーはパンを食べ終わると、ぼくを見てにっこりと笑って言った。(ファニーファニーの口元にはパンのかけらがくっついたままだった)
「君が死ぬときには私が見ていてあげるよ。だから大丈夫だよ。安心、安心」と立ち上がりながらファニーファニーは言った。
ぼくはなんて言っていいのかわからずにその場に黙ったままで立ち上がった。
「焦らない。焦らない。いつかは必ずどんな形でも、死は訪れるんだからね。生きているものにはさ。あらゆる命に。等しく、平等にね」と歩きながらファニーファニーはぼくを振り返って見て、そう言った。
ぼくたちはそれから港についた。
そこからはとても広い青色の海と、大きな貿易港と、そしてたくさんの巨大な貿易船があった。
ファニーファニーはまず海を見て目を丸くして驚いていた。(その丸い宝石のような瞳は、本物の海に負けないくらい綺麗にきらきらと輝いていた)
「海。ねえ、海だよ!」とぼくを見て興奮した顔で、ぼくの上着をくいくいと引っ張りながら、ファニーファニーは言った。(はじめて大きな街を見たときも、市場を見たときも、こんな感じだった)
「うん。海だね。ぼくも海を見るのは久しぶりだよ」とぼくは言った。
ファニーファニーは飽きることなくずっと海を見ていた。それからふと、ぼくを見て、「港を見てもいいかな?」と興奮した声で言った。
「もちろん。許可がいらないところまでなら、ずっと見ていてもいいよ」とぼくは背伸びをしながら、ファニーファニーに言った。
(海鳥たちが鳴いている。それに、海風が、とても気持ちよかった)