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ファニーファニーは目立たない、街の人たちがよく普段の生活で着ているような色合いの、ミルク色の全身を隠すことのできるくらいに大きめのローブを着ている。
その大きめのローブにはフードがついていて、そのフードを深くかぶって、ファニーファニーはその美しい顔とその頭のてっぺんにある兎の耳を隠している。(そうするようにって、ぼくが言ったのだ)
はじめて会ったときよりはずいぶん目立たなくはなったけど、(あらかじめ大きな街の図書館て白い月兎のことを調べていたけど、一目でそうだとぼくがわかったくらいだった)それでも顔まで隠すような服を着ている人はあまりいないので、ちょっとだけ目立つ。
それなのにぼくとファニーファニーは大きな街にいて、大きな街の大通りにある市場にいる。
なかなか危険な勇気のある行動だと思う。
そんなことをしているのは、ファニーファニーが人間の街を見てみたいって、ぼくに言ったからだった。
ファニーファニーはどうやら人間という種族にとても興味があるらしい。
大きな街についてから、ずっとファニーファニーは楽しそうにわくわくとしていた。(まるで、はじめて大きな街にきた小さな子供みたいだった。見えないけど、きっとファニーファニーの兎の耳はぴょこぴょこと動いているに違いないのだ)