表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
255/400

255

 ドナが目を覚ますと、そこはとても不思議なところだった。

 そこにはドナがずっと見たかった青色の空が広がっている。

 大地にはちゃんと色があって、緑色の草原が永遠に続いていた。

 世界には、優しい風が吹いている。

 寒くもなくて、お昼寝がしたくなるくらい、あったかい。

「綺麗なところ」と思わずドナはそんなことを吹き抜ける風の中で言った。

 ぐるる、と聞き慣れた声がした。

 みるとそこにはドミノがいた。

「ドミノ!」

 とドナが嬉しそうか声を出すと、ドミノはいつものようにドナに体をくっつけて、ぺろぺろと赤い舌でドナの白いほっぺたを舐めた。

「ドミノ。くすぐったいよ」と笑いながらドナは言った。

 青色の空と、緑の大地と、優しい風。

 ここはどこだろう?

 ねえ、ドミノ。

 ここはどこなの?

 あなたが私をこんなに素敵なところに連れてきてくれたの?

 とそんなことをドナは思った。

 言葉を持たないドミノはなにも言ってくれない。

 ただ優しい青色の空のような瞳で、ドナのことを見ているだけだった。

「ドミノ。これからずっと、ずっと一緒にいようね。二人だけで。ずっと一緒にいて、私たち、幸せになろうね」とドナはドミノを抱きしめながら、涙を流してそう言った。

 すると、そのドナの涙がドミノの顔に落っこちて、そして、その涙の落っこちたところからだんだんとドミノの体の全部に広がっていくようにして、大きな白い光が輝き始めた。

 ドナは驚いた。

 そして、その眩しい白い光の中で、白い子供の狼だったドミノの体が『人間の子供』の姿に変わっていった。

 ドナの目の前で、人間の子供になったドミノを見て、ドナはまた、とっても、とっても驚いた。

 なぜならその姿は、『ドナのよく知っている子供の顔と形をしていた』からだった。

 そんなドミノを見て、ドナは思わず、嬉しくて、嬉しくて、にっこりと本当に幸せそうな顔で笑った。


 悠久の眠り ゆうきゅうのねむり 終わり

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ