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 黒い森の中には、木の実のなっているところがあった。

 それを教えてくれたのは、ドミノだった。

 ドナはその少し硬い木の実をとって、ドミノと一緒にもぐもぐと食べた。

 木の実はにがくて、美味しくはなかったけど、それでも、たくさん食べるとお腹はいっぱいになった。(木の実は大変ではあったけど、集めれば、両手に持ちきれないほど、森の中で集めることができた)

 もし、このままこの色のない大地で暮らしていくのなら、この黒い森の中のどこかに手作りの家を作って、そこで暮らしていくことになったと思う。

 だけど、ドナはそうしなかった。

 なぜなら、『ドミノが明らかに、ドナのことをどこかに案内しようとしていた』からだった。

 ドミノはドナに歩くようにすすめるようにして、ドナを先導して、歩いた。

 ドナはそんなドミノについていくようにして、初めてみる世界の中をドミノと一緒に歩き続けた。

「いいよ。わかってる。私はずっとドミノについていくよ」とドミノの白い毛並みを撫でながら、ドナは言った。

 やがて黒い森を抜けて、また色のない大地に出た。そして、色のない大地の上をドナとドミノは再び歩き続けた。

 夜が訪れては、一緒に寄り添うようにして眠って、朝がくれば一緒に目を覚まして、また歩いた。

 ドナは青色の空が見たいと思った。(そんなときはドナはドミノの空の青色のような美しい瞳を見た)でも、空はずっと曇っていて、青色の空を見ることはできなかった。

 けわしい、実の少ない大地は、確実にドナの力を奪っていった。

 そして、あるとき、ドナは歩くことができなくなって、倒れた。

 ドミノは倒れたドナの横に座り込んで、ドナのほっぺたをぺろぺろと赤い舌で舐めた。

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