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214 そっと、ふれあうように 幸せにしてください。

 そっと、ふれあうように


 幸せにしてください。


「先生。僕と恋人になってください」

 そんなことをいきなり名門の男子校に通っている高校三年生の森創は教師である入江愛に言った。愛は今年二十八であり、十八歳の創とはちょうど十歳年が離れていた。その創の恋の告白の言葉を聞いて、「はぁー」と愛は大きなため息をついた。

「ねえ、森くん。私は先生なんだよ。生徒であるあなたと恋人になることはできないの? 森くんなら、それくらいわかるでしょ?」とずっと真剣な顔をして愛のことをじっと見ている創に言った。

「わかりません。先生の言っていることは理由にはならないと思います」と創は言った。

 創の言葉を聞いて、愛は頭をかかえた。

 まいったな。どうしよう?

 うーんと難しい顔をして愛は悩んでいる。

 愛は創の顔を見る。

 創はずっと真剣な顔をしている。愛のことをからかっているわけでもなく、社会のことがわかっていないわけでもなく、ただまっすぐに、創は愛のことを思っているのだ。(それは愛にもわかっている。だからこそ困っているのだ)

 創は頭はいいけど、ばかだった。

 とてもやっかいなばかだ。

 全部わかったうえで、創は愛に告白をしているのだから。

「とにかくだめなものはだめだよ。森くん。せっかく名門校の優等生なんだから、将来をだめにするようなことはしちゃだめだよ。いい。わかった?」と愛は言った。

 その愛の言葉にもちろん創は「わかりません」とはっきりと言った。

 その言葉を聞いて創はやっぱりばかだと思った。(大ばかだ)

 ……、でも、やっぱり私(愛)もばかだった。だって私は結局、このあと創と(真面目さと真剣さに押し切られるようにして)恋人になって、そして私は名門大学に合格して、大学生になった二十歳の創と(つまり愛が三十歳のときだ)結婚をしたのだから。

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