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208 愛ってなんだろう? ほら、一緒に歩こうよ。

 愛ってなんだろう?


 ほら、一緒に歩こうよ。


 それはとても美しい風景だった。桜の花びらが咲き乱れる幻想的な風景の中で、松はにっこりと笹を見て笑っていた。

 その松の笑顔に思わず見とれてしまって、笹は筆を止めて、ぼんやりと松のことを見つめてしまった。そんな笹を見て、「もう、ちゃんと描いてよね。こうして笑っているのも、たいへんなんだよ」と松が文句を言った。

「ごめん」と笹は言って、筆を動かし始める。松のことを描くために。松の愛しい笑顔をずっと、色褪せることなく、忘れないでいるために。


 笹が松に一目惚れの恋をしたのは、高校一年生の春だった。高校の教室で同じクラスになって、初めて松を見たときに、笹は松に恋をした。

 松はとても美しい少女だったから、それはきっと笹だけではなかったと思う。(ほかにもたくさんいたはずだった)松は背が高くて、髪が長くて、美しい顔をしていて、大きな目をしている、ほっそりとした少女だった。性格は明るくて、おしゃべりだったけど、みんなの中心になるという感じではなかった。普段はとても大人しいのだ。でも、本当は、しっかりしているし、負けず嫌いだった。(仲が良くなってから、そういう松のことがわかった)

 笹は高校一年生の夏に松に告白をした。でも、やっぱりふられてしまった。(まあしょうがないと思った)松は笹以外にも告白をされていたようだった。(そんな噂はよく友達から聞いた)松が誰と恋人になるかは松の自由なのだから、まあ、しょうがないことだけど、誰かと一緒にいて幸せそうな松の笑顔を見るのは、ちょっとしんどいな、と笹はぼんやりと授業中に松のことを見ながらそんなことを思っていた。

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