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風は朝と同じように行動をして、ぼくも同じような行動をとった。
お話をしながら食事をして、それが終わると風は薬を飲み、丁寧に歯を磨いた。そしてまたぼくにおやすみなさいを言って、風はベットの中で眠ってしまった。ぼくはまた、眠っている風の小さな胸の上に座り込み、そこから死体のような風の顔と、窓の外に降る雪を交互に眺めた。
それから時が経過して、またとんとんと扉がノックされた。病室の中に入ってきたのは看護婦さんで、お昼のときと同様に、その人は無言のままだった。片付けられた食器をお盆にのせ、やはりお昼のときと同様にぼくを見て、それから病室をあとにした。
雪は心持ち弱くなっているような気がした。もしかしたら雪は、……、雨に変わるかもしれないとぼくは思った。ぼくは雨降りの日が好きだった。別に雪も嫌いではないのだけど、ぼくは雪よりも雨のほうが好きだった。だからぼくは窓の外に降る雪が雨に変わればいいな、と思った。
ぼくは雨降りを思いながら、窓の外に降る雪をじっと見つめた。
それからぼくは柱時計に目を向けた。