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 聖はその旅の途中で、そんな風に海を見ている日々の中で、白鹿の姫と出会った。白鹿の姫は戦によって両親を亡くした子供だった。(そんな子供たちはこのあたりにはたくさんいた)海の近くにある歴史ある古いお寺でそこに大きな守り神となる彫刻を掘る代わりに、(聖は自分の彫る彫刻に神様がいないことをしっていたからそのことが少し心苦しかったけど、彫刻を彫ること以外に聖にできることはなにもなかった)寝食をお世話になっているときに、そのお寺で保護されている子供たちの中に白鹿の姫はいた。白鹿の姫は彫刻に興味があるようだった。(聖は子供達の面倒を見るときに動物の彫刻を彫ってみんなを楽しませていた)白鹿の姫はたくさんいる子供たちの中で一番聖になついた子供だった。

「わたしもこんなものを自分の手で生み出してみたいです」ときらきらと目を輝かせて小さな木の鹿の彫り物(白鹿の姫のために鹿を彫った)を見て、白鹿の姫は聖に言った。お寺の住職から白鹿の姫を一緒に旅に連れていってみたらどうかと聖は言われた。(それはおそらくお寺の食い扶持を少しでも減らすための言葉なのだと思った。戦や疫病、不作、飢饉、それに大きな災害が起こって、どこもいっぱいいっぱいなのだ)少し迷ったのだけど、師匠からも弟子を取ってみるといい、きっと良い経験になる。と言われていたこともあって、聖は白鹿の姫をお弟子として自分の旅に一緒に連れて行くことにした。(それにこのままだと冬にはきっとこのお寺にいる子供たちの中にもなんにんかは餓死してしまう子供もでるだろうと思った。小さな白鹿の姫は寒い冬を越えることはできないかもしれない)そのことを白鹿の姫に「どうする? わたしと一緒に行く?」と聞くと白鹿の姫は本当に嬉しそうな顔で「はい! 一緒に行きます。お師匠さま!!」と聖の顔を見てそう言った。

「わかった。じゃあ、一緒に旅をしよう」と優しい顔で笑って聖は言った。

 白鹿の姫をお弟子にしてから聖の旅はとても楽しい、なんだかすごく気持ちが華やかな旅になった。いつもいつも白鹿の姫は厳しい旅の中で聖のことを笑顔で励ましてくれた。

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