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「兎。勉強教えて」

 と、テストの前になって、虎が慌てて兎にそう言ってきた。

「いいけど、今からじゃきっと間に合わないよ」といつも真面目な兎がさぼってばかりいる虎にいう。

「やらないよりはいいでしょ?」とむっとした顔をして数学の教科書とノートを両手で持って団扇のようにして風をあおいでいる虎が言う。

「まあ別にいいけどね。今度からはちゃんと勉強しなきゃだめだよ、虎」と数学のノートを虎に見せながら兎は言った。

「ありがとう、兎」と自分の椅子を兎の机のところに移動させて座って虎は言った。

 結局、勉強を教えてあげたけど、虎の数学のテストの成績はあまり良くないものだった。(先生にすごく怒られてた。だけど虎はあんまり反省していないみたいだった)

 その日の帰り道で、兎は海を見ることにした。海沿いの道の歩道の邪魔にならないところに自転車を止めて、白い砂浜を歩いて、自分の歩いた足跡を砂の上に残しながら、兎は海の波の押し寄せるところまでやってきた。

 海は、美しかった。

 日の光を反射して、きらきらと眩しいくらいに輝いていた。

 そんな美しい海を見ても、兎は泣かなかった。

 少しくらいは、私は大人になれなのかな? とそんなことを気持ちのいい海風の中で、海の遠いところを見ながら、白い砂浜の上に座り込んで、兎は思った。


 海を見るとね、私はあなたのことを思い出します。


 兎と海 うさぎとうみ 終わり

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