表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
166/400

166

 学校の授業が終わったところで、友達の山本虎が「兎。海に泳ぎに行こうよ」と言った。いつも明るくて元気な虎は、今日も朝からずっと笑顔だった。

「水着持ってきてない」と勉強道具をかたずけながら、兎は言う。

「わたしの貸してあげるよ」とうずうずしながら虎は言う。(幼馴染の虎とは小さなときから、水着の貸し借りをよくしていた。ほかの友達とはもちろん、そんなことはしなかった)

「いいよ。別に。それにそんなに泳ぎたくないし」と小さく笑って兎は言う。

「兎。泳ぐの好きじゃん」と虎は言う。

「うーん。どうしようかな?」兎は悩む。

 海に行って、泳ぎたくないわけではなかった。

 それから、元気な虎に押し切られるようにして、兎は「わかった。いいよ」と言って虎と一緒に海に泳ぎに行くことにした。

「やった!」とはしゃいで虎は言った。

 兎や虎のように地元の子供たちが泳ぐ秘密の場所があったので、(小さな子供のころから、よくそこでみんなと一緒に泳いでいた)二人はいつものようにその人気のない砂浜に自転車を漕いで行った。

 海辺に吹く風がすごく気持ちよかった。

 いつものように砂浜に着くと兎は水着に着替えようとした。

 すると驚いたことに、虎は白の上着と紺色のスカートという学校の制服の下に水着を着ていた。兎の横で虎は制服を大胆に脱ぎ始める。そして自分の鞄の上に制服を無造作にたたみもしないで置くと、競泳水着のような紺色の水着姿になって(あれを着たままで授業を受けていたのか。すごいな)「先に行くねー!」と兎に笑顔で言って、海まで走って行ってしまった。

 そんな虎を見て、兎は目を大きくして驚きながら、相変わらず高校生になった今もずっと虎は小さな子供のままだな、と思った。(まるで本当の小学生みたいだと兎は思った)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ