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恋する火星の家出では、お店のサービスとして、お誕生日だとケーキがひとつ、ただ(無料)になった。君は急に「実はね、私、今日がお誕生日なんだ。だからケーキが無料で食べられるんだよ」とにっこりと笑って私に言った。
その君の言葉を聞いて、「今日がお誕生日なの!?」と言って、私はすっごく驚いた。
「うそじゃないよ。ほら、見てみて」といって、君は可愛らしい真っ白なお財布の中から学生証をとりだして私に見せてくれた。すると確かに今日は君のお誕生日だった。(生年月日のところに今日の日にちが書いてあった)
「えっと、お誕生日おめでとう」とまだ、驚きながら私は言った。
「どうもありがとう」と嬉しそうににっこりと笑って君は言った。
「じゃあ、ケーキ。一緒に食べるよね?」と学生証をお財布の中にしまいながら、君は私に言った。私は「うん。もちろん」と思わず、なんだかおかしくなって、くすくすと笑って君に言った。
ケーキは全部大きめに切ったケーキばっかりで、丸い大きな山なりになっているケーキを六等分に切ったもので、チョコレートケーキやいちごのストロベリーケーキ。チーズケーキ(白いレアチーズケーキもあった)やフルーツケーキ。それから一つだけ種類の違うアップルパイ(タルト)なんかの種類があった。どのケーキもたっぷりと生クリームが使われていて、(アップルパイはりんごがたくさんはいっていた)真っ赤ないちごや色とりどりの季節のフルーツなどの具材も大きかった。(なんでも大盛り。大きめというのが、お店の基本的なお客さまへの心遣いのようだった)
私は迷ったけど生チョコレートを使ったシフォンケーキ(生クリーム付き)にした。(昨日、君が食べていたバナナチョコレートパフェが美味しそうだったことを思い出したからだった)
君は季節のフルーツを使った生クリームのケーキにした。いろんな種類のフルーツが大きめにカットされてケーキの中に入っている白い生クリームたっぷりのフルーツケーキだった。
君のケーキはお誕生日だから(学生証をみせて店員さんに言った)お店からサービスとしてプレゼントされて、ケーキの上にホワイトチョコクリームの板に書かれたお誕生日おめでとうのメッセージが乗っていた。私のケーキはもちろんお支払いがあった。(君はケーキ代は二人でわける? と言ってくれたけどもちろん、断った。だって今日は君のお誕生日だったから)
店員さんが持ってきてくれたケーキは(お皿も)やっぱり大きかった。ケーキは甘くてすごく美味しかった。私も君もお腹がいっぱいだったけど、ちゃんとケーキを全部食べることができた。
「お腹いっぱい。もうなにも食べられないね」と幸せそうな顔で君は言った。そりゃ、あれだけ食べたのだから、それはそうだろうな、と思いながら同じようにお腹いっぱいの私は「うん。もうなにも食べられない」と言ってにっこりと笑った。