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 先生が描いた絵はわたしの絵だった。にっこりと笑っているわたしの絵。(でも、実際には、わたしはにっこりと笑ったりはしていなかったから、それは先生の空想したわたしの絵だった)わたしは先生の描いてくれたわたしの絵をみて、それはとても素敵な絵だったのだけど、すごく恥ずかしくなって、顔を真っ赤にしてしまった。そんなわたしを見て先生は嬉しそうに笑った。

「創作ってさ、なんのためにあるんだろうって、そんなことをね、よく眠る前に考えているんだ。お布団の中で。ひとりぼっちでね。ほかに考えることもないからさ」とふふっと笑いながら、わたしのためのお布団を床の上に敷いてくれている先生は言った。先生が敷いてくれたわたしのお布団の横には先生のお布団があった。わたしと先生は今日は先生の寝室で、二人で一緒に並んでお布団の中で眠るのだった。その日はわたしはお家には帰らないで、そのままお母さんとの約束の通りに、先生のお家にお泊まりをすることになっていた。わたしは用意してきた大きな荷物の中からパジャマをとりだすと、先生に案内された先生のお家の真っ白なお風呂に入って、(とっても綺麗なお風呂だった。だけどものが少なくて、なんだか少しだけ、さみしい感じがするお風呂だった)お風呂はあったかくて、シャワーをあびて、髪の毛と体と洗ってから、白いゆげがもくもくとしているお風呂場の中で、薄い緑色の(温泉のもとを先生がいれてくれた)お湯につかっているとなんだかとっても眠たくなってきてしまった。「ふー。気持ちいい。なんだか生き返る」とにっこりとしてタオルを頭にまいているわたしは言った。

 お風呂から出ると、わたしは真っ白なパジャマに着替えをして、ごしごしと歯磨きをしてからキッチンにいる先生に声をかけた。(先生は椅子に足を組んで座っていて、床をみつめて、なにか考えごとをしているようだった)先生は「よくあったまった?」とわたしに言った。わたしは「はい。体の芯まであったまりました」とぽかぽかとする体からゆげを出しながら、先生に言った。先生は「よろしい」というとわたしの頭を一度なでてから、先生はわたしと交代でお風呂に入りにお風呂場に言った。わたしは先生がお風呂からあがるまでの間、キッチンにいて、そこでずっと椅子に座ってじっとしていた。

 先生がお風呂からあがると、わたしがキッチンの椅子の上で眠たそうな顔で、うつろうつろしていたので、先生はわたしの手をひいて寝室まで歩いていった。わたしはお布団の中にはいって横になった。すごく気持ちよかった。先生が電気を消してくれて、わたしと一緒に自分のお布団の中にはいって、ずっとわたしの横にいてくれたからなのかもしれないけれど、なんだかすごく安心できて、わたしはその夜、真っ暗な闇の中で、とてもぐっすりと眠ることができた。(本当は眠ってしまう前に先生ともっといろんなお話がしたかったのだけど、わたしは眠くて、眠くて、あっという間に眠ってしまった。そのことが少しだけ残念だった)

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