134
「わたしはあなたの本当の言葉が聞きたいの。誰かの言葉じゃなくて、あなた自身の本当の言葉が聞きたい。あなたの本当の声でね。心のこもった言葉が聞いてみたいの」と先生は言った。
先生はわたしのために新しい真っ白なキャンパスを用意してくれた。わたしと先生は二人で並んで、一緒に真っ白なキャンパスの前に座って、絵を描き始めた。でも描き始めると言ってもまだ二人ともなにも絵を描いていない。どんな絵を描くのかを二人で一緒に考えてるところだった。わたしはそっと真っ白なキャンパスから目を動かして隣に座っている先生を見た。
「これからもきっとたくさんの人たちがあなたのことを助けてくれる。応援してくれると思う。でもね、『あなたのことを本当に助けることができるのは、あなた本人だけなんだよ』。あなたを救うことができるのは、広い大きな世界の中でただ一人だけ。あなただけなの。あなたはそのために毎日毎日、いろんなことを考えながら、楽しい空想をしている。毎日毎日世界を創造をしているの。それはなんのためなのかというと、あなたのためなの。あなたが幸せになるためなんだよ」と先生は(じっとわたしの目を見つめながら、真剣な顔で)言った。
わたしはそんな先生の言葉を真剣な顔で聞いていた。
「ねえ、幸せってなんだと思う?」とそんなお話を聞いて、難しい顔をしているわたしを見て、くすくすと笑って、先生はそう言った。
「毎日が楽しいことです」と自信のない声でわたしは言った。
「うん。それはきっと正解だと思う。とても素晴らしい考えかただと思うよ。答えはいっぱいあるんだと思う。きっと人の数だけ幸せの形はあるんだと思うの。それで、私はね、幸せっていうのはさ、どういうことかというとさ、きっと、それはね、『一人じゃないってこと』だと思うんだ」となんだかとっても優しい声で先生は言った。