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 先生の作ってくれた大きくざっくりきったいろんな野菜のまぜこぜカレー(そういう名前のカレーなのだそうだ。先生のお家の家庭の味のカレーらしかった)は、すごく美味しかった。わたしは、ふだんはそんなにはやくご飯を食べたりはしないのだけど、思わずいそいでぱくぱくと食べてしまったくらいだった。とてもいい匂いがして、煮込んだ大きな野菜が美味しくて、お肉も柔らかくて、カレーはなんだかお母さんがよくお家で作ってくれたカレーに似ている味がした。

 ぱくぱくと銀色のスプーンでカレーを大盛りのご飯と一緒に口に運んでいる(ほっぺたを膨らませている)わたしを見て、先生はすごく嬉しそうな顔をした。

 先生は飲み物に牛乳を用意してくれた。わたしは牛乳をごくごくと飲み干した。先生の飲みものはコーヒーだった。ブラックの大人のコーヒーだった。(お湯を入れて、コーヒー豆を挽いて、先生はコーヒーを作っていた。わたしはそういうコーヒーを今日、はじめてみた)「どう? 美味しい?」と先生は言った。「はい。とっても美味しいです」と口をもぐもぐしながら、わたしは言った。すると先生は「よかった。久しぶりにさ、頑張って作ってよかったよ」とにっこりと笑ってそう言った。

 先生は自分のお皿のカレーを食べた。「うん。美味しい。いつものやつ」とふふっとわたしを見て先生は笑って言った。わたしは先生よりもずいぶんと早くカレーを食べ終わってしまった。すると先生はからっぽになったお皿を見て「おかわりする?」とわたしに言った。わたしは、ちょっとだけ恥ずかしかったし、失礼かなと思ったけど、先生のカレーはすごく美味しかったし、お腹もすごくすいていたので)「……、はい。お願いします」と小さな声で顔を赤くしながら、先生に言った。「正直でよろしい。いっぱい食べてね」とお皿を持ちながら先生は言った。

 わたしは先生にカレーをよそってもらって、おおきくざっくりきったいろんな野菜のまぜこぜカレーをおかわりした。おかわりの大盛りの野菜いっぱいのカレーをわたしはちゃんと全部、残さずに美味しく食べることができた。(お腹はすごく大きくなった)

 先生はチョコレートケーキを買ってきてくれていた。あとでわたしを驚かせようと思って、秘密にしていたようだった。わたしはそんなに(つまり先生の期待通りに大袈裟に)驚いたりはしなかったけど、もちろん、嬉しかった。それは箱の中にあるチョコレートケーキをじっと見ているわたしの顔を見て、先生にも伝わったようで、先生はとても嬉しそうな顔をしていた。

 食べ終わったカレーの後かたずけをしたあとで、(後かたずけはわたしも手伝った。今度は手伝いますというと、じゃあ、一緒にお片づけしようね、と先生は言った)先生はチョコレートケーキをお皿の上にのせてテーブルの上においた。そこに生クリームをスプーンで二杯、チョコレートケーキの上にたっぷりとのせてくれた。それからわたしは先生と一緒にチョコレートケーキを食べ始めた。チョコレートケーキはとっても甘くてすごく美味しくて、わたしは口の中にチョコレートケーキのひとかけらを入れたとたんに、すごくびっくりしてしまった。(先生はコーヒーを飲みながら、そんなわたしをみて、ころころと笑った)

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