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……思い出したから、ぼくはすぐに星を探し始めた。無数の星の中からぼくは、『ぼくだけのために輝いている星』を探し出さなければならないのだ。……それはどんな星だろう? 名前も形も場所も、ぼくにはなにもわからなかった。けれどもぼくはぼくの星を探し出さなければならないのだ。
ぼくは両目を凝らして夜空を見上げた。数億、数十億という数の星がそこにはあった。(あるいは、もっと多かったかもしれない)
その中のどれが自分の星だろう?
ぼくの意識は、ぼくの直感は、ぼくの星をちゃんと見つけ出すことができるのだろうか?
ぼくは懸命に星を探した。
……、でも、それは簡単には見つからなかった。満天の夜空に輝く幾億、数十億の星は、そのどれもがとても美しく輝いていて、そのどれもが同じ星の光にぼくには見えた。とてもこの(とても広い)星空のどこかに自分だけの特別な星があるとは思えなかった。
でも、それでもぼくは自分の星を探し続けた。時間は十分にあったし、真夜中だというのに、周囲に吹く風も暖かく、なによりも十分な睡眠をとったことからぼくの頭はすっきりしていた。それはつまりぼくの体調は万全だということだ。星もそのすべてが夜空に出て輝いている。(きっとそうだと思った)雲もない。雨も降らない。星とぼくとの間には、遮るものがなにもないのだ。
こんな好条件の中でも、自分の星を見つけられないのだとしたら、それはきっと一生、ぼくは自分の星を見つけられないということだ、とそんなことをぼくは思った。
だからぼくは懸命にぼくの星を探した。