123 星に願いを きらきら星、見つけた?
星に願いを
きらきら星、見つけた?
ぼくはその光景を見て、……思わず足を止めてしまった。ぼくは大きな青色のバスの白い待合小屋の中にいたので、その明るい夜に大きな青色のバスの白い待合小屋の外に出るまで気がつかなかった。周囲の大地には人工の明かりは一つも灯っていなかった。ぼくのいる世界を照らし出しているのは、空に光る無数の星の光だけだった。……ぼくはその場に立ち尽くしたまま、その星の光を自分の眼球から限りなく吸収して、体の内側の隅々まで行き渡らせたいと思った。
そして実際にその行為を試みてみると、意外なほど簡単に星の光はぼくの内側にたくさん、たくさん入ってきてくれた。
ぼくの体は小さく震えていた。それはどんな種類の震えだったのだろう? ……よくわからない。それはもっと勉強して、ぼくがきちんと大人になることができたのなら、わかるようになる感情なのだろうか? もしそれがわかるのなら、ぼくは『大人になってみたい』、と、このとき生まれて初めて、……、思うことができるようになった。
……星。星を探す。
そんな言葉がぼくの頭の中を一瞬よぎった。寝起きで、すっきりとしたぼくの意識はその一瞬のひらめきを見逃さなかった。ぼくは今、現実にぼくの目の前にある明るい満天の夜空を高速で流れ落ちるながれ星のようなその思考を逃さず、きちんと捕まえた。
そうだ。ぼくは居眠りをしにこの場所にやってきたんじゃない。『ぼくは星を探しにこの場所にやってきた』んだ。ぼくは自分の本当にやるべきことを、大切な人たちとの約束を、そして自分の一番大切な目的を(はっきりと)思い出した。