新たな出会い
それから数週間、美咲と直人はますます親しくなり、気づけばお互いに毎日のようにメッセージを送り合うようになっていた。
年齢差や生活の違いにもかかわらず、心の距離は確実に縮まっていた。だが、そんな中で一つの転機が訪れる。
その日は、落とし物を拾った日以降、ふたりが初めて実際に会う日だった。
メッセージで何度かやり取りをしていた中で、直人が「良かったら、一度お茶でもしない?」と誘ってきたのだ。
美咲は最初、少し戸惑ったが、彼との会話が楽しく、また本当に信頼できる人だと感じていたため、誘いを受け入れることにした。
「駅前のカフェで待ってるね。」
美咲はそのメッセージを受け取ると、少し早めに家を出た。彼と会うことに心が躍ると同時に、どこか緊張があった。
制服姿のまま電車に乗り、駅前のカフェに到着すると、すでに直人が到着していた。
「美咲ちゃん、こっち。」
スーツ姿の彼は、メッセージのやり取りで見慣れたあの落ち着いた雰囲気を漂わせ、カフェの席に座っていた。
大人びた彼の姿に、美咲は一瞬心臓が跳ねるのを感じたが、笑顔で手を振りながらその席に向かった。
「お待たせしました。」
「いや、僕が早く来すぎただけだよ。美咲ちゃん、制服姿も似合ってるね。」
その言葉に、美咲は少し顔を赤らめながらも席に着いた。
二人はメッセージで話していた通りに、まずはお互いの近況や仕事、学校の話をしながら、穏やかな時間を過ごした。