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リリシズムが泣くのです

作者: 秋葉竹




つまり笑顔の絶えない

しっとりと濡れてる

やさしいだけみたいなあの部屋を想うと

泣けるのです


黄昏の駅のホームに

ゆっくり流れる

ひとへのおもいやりを

掠れた悲しみだと感じてしまう

そこではすみませんでしたと

頭を下げてしまう

なんてのは

あたりまえなのです


みあげると

黒い空が

それでもゆっくりと東から西へ

ミリ単位で動くグラデーションが

なんだかいいのです

すこしのあいだ

なにもかも忘れさせてくれる

まぼろしにくるまれた夜の

静かなやさしさが

好きなのです


か細げなガラスのハートの月が

笑えないきまじめな愛情を

すくなくともこの街には

降り注いでくれているように

肌を噛む猫の牙みたいな甘い痛みが

ひとびとのハートを

チクチクと刺激するのです


そこにもここにも

美しい想い出はまるで落書きみたいに

自由に描かれているのだけれど

彼女のほんとうの天国は

美しい声の転がるあの部屋の

ベッドの上にしかないのですね


それがそうなら

こころに転がるこのしあわせのパンを食べて

こころの奥で笑えているこの時間に

ほんとうみたいな月が静かに動くのを

みているのも

悲しみを棄てさるためには

まぁいいではないかと想うのです


そしてあの部屋へ帰ろうと

想ったって

ぜったいに過去には戻れない

寂しさに

泣いたって

それはそれだと想うのです






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