002
「リオン、起きなさい」
誰かに起こされた。
ザックだ。
こいつはかなりのイケメンである。
それゆえに、なにか企んでいそうな気もする。
やけに近いし。
「顔を洗いに行ってきます」
僕は立ち上がった。
ザックはにやりとして、卵を作っていく。
まるでここにきて、旦那さんのようにふるまっている。
毎日の食事はザックによるものだ。
こんなにも、引きこもっているこの僕をここまで熱心にしてくれる人はいない。
「リオン、できましたよ」
ザックは、パンとスクランブルエッグを作った。
昨日のシチューが温まっている。
それでこんなことを切り出した。
「最近魔物が多くなっているらしいですね」
食事をしながらそんなことを言ってきた。
まあなあザックの言っていることは正しいな。
それでいて、なんだか、こんなにもわくわくもしない提案。
だいたい僕が戦えるはずがないだろう。
そんなこともしらないのかザック。
「リオン婚約者のエレナが来ました、さっそくとあいさつを」
「リオンおはよう」
「ああおはよう」
二人は食事をしたのだった。
ザックはにやりとしている。
なぜならザックによる、エレナとの策略婚だからだ。
いろんな意味で王子であるこの僕をここまでしてくれるとは。
「リオン、ここで提案があります」
「なんでしょう、ザック父上」
悲しい、でも提案は聞かないといけない。
なぜなら絶対巡視の元だからである。
ほかにも、いろいろな、本当の両親のことがあるし。
「魔獣討伐でもいかがなものかと」
「魔獣討伐、いいやそんなことはできないよ」
すこし間が開いた。
そして、エレナがこういう。
「リオン様、ぜひ凛々しい姿をお見えにしたいです」
うーん。
どうしようもない。
こんなことが……
「いくか」
そういうと、ザックはにやりとつぶやいた。
「実はリオン様はかなりお強いのですよ、この私を倒すくらいまで」
「ご父上があ!」
エレナは驚いていた。
ザックは、七剣舞の王様である。
しかし、生活は質素というものが似合うという生活をしている。l
それが功を成しているのが、お金の問題だ。
彼が成功をしているのはここに尽きると僕はわかっていた。
そうして、防具をつけて、なにもかも簡単にそろった。
いざ出陣。
「行こうか、エレナはもしものことがあればだから、遠くから見ておいて」
「リオン様、わかりました」
森の中を歩く。
すると、一人の狼が倒れていた。
「大丈夫かな」
リオンは、ここにきてどうしたらいいかわからなくなった。
魔物を倒しているし、倒れている。
そこで勇気ある行動をしようと思った。
「ヒール」
(ありがとうございます)
あれ、こいつ感情に直接語り掛けることができるのか。
「例には及ばないよ、リオンってよんで」
「リオン様ー! なぜ魔獣にヒールを」
「ご賢明です、リオン王子」
(どうかお名前を)
そうだな。
このかわいい感じで、月みたいな白い毛がある。
ルナでどうだろうか。
「ねえ、ルナってどうかな」
「「いいですね」」
そうして魔獣を飼うことにしたのだった。
(リオン様、これからもよろしくお願いします)
「うん、よろしくルナ」
家族が増えたことに喜びを感じた。